ほうきぼしのおっぽ
冬童話祭2022応募作品です。
お空にほうきぼしがながれると、ほうきぼしのおっぽからたくさんのながれぼしがおちてくる。
ながれぼしはキラキラときらめいて、小さくくだけて雪のようにさむいさむいこの町にふってくる。
そんなながれぼしのおっぽから、ことしはかわいいかわいい雪だるまのきょうだいと、雪ん子のしまいもふってきた。
町の人はおおさわぎ、かみさまのつかいかしら、いやいや、まじょのつかいにちがいない。
言いあらそいをしてばかりでだーれもほうきぼしの子どもにちかづこうとしませんでした。
あんまりみんながかこむから、あんまりみんながおびえた目でじぶんたちを見てるから、雪だるまと雪ん子はこわくなってかなしくて泣いてしまいました。
ほうきぼしのかけらできた子どもたちはなみだといっしょにキラキラときえてしまいそう。
おとなたちはあんしんして、よかったよかったわざわいがさったとちりぢりにさっていこうとします。
すると、町の子どものなかでもおくびょうでいつもバカにされてた男の子がほうきぼしの子どもたちにかけよりました。
おとなたちはなんてバカなことを、あれはやっぱりダメな子どもだとおこります。
ほうきぼしの子どもたちはそんなおとなにおびえ、走りよる男の子にびくびくしましたが、おとなしそうな男の子がハァハァといきをきらせてひざに手をついているのを見て、すこし泣き止みました。
雪だるまのきょうだいがいいます。
「ダイジョブ」
「走ったからつかれたの」
雪の積もった広場をおとなたちをすりぬけて走ったので、ちょっぴりいきがあがった男の子は、優しく心配してくれる雪だるまにうれしくなりました。
雪ん子のしまいはまだおびえています。
「なんでみんなこわい顔するの」
「わたしたち、なにもしないよ」
雪だるまのきょうだいはそっと雪ん子をかばいます。男の子はそんな雪だるまにやっぱりわるいまじょのつかいなんかじゃないっておもって、だから雪ん子にごめんなさいしたくて、しかたありませんでした。
「ごめんなさい、ねぇ、かわいい雪だるまさんと雪ん子さん、ぼくはポチャム、なまえをおしえてくれませんか」
ポチャムと雪だるまと雪ん子はとっても仲良しなともだちになって、町のにんきものになっていきました。
あんなにうたがっていたのにね。
おしまい