路上にて③
全裸マン
「しまったぞ。お嬢さんが人質に取られてしまった」
不覚だった。
お嬢さんが躓いて転んでしまうことを予想できていなかった私のミスだ。
お嬢さんは可哀想に、コートの男の腕の中でぐったりとしていた。
コートの変態
「ふへへ。悪いな、変態さん。こいつは俺が先に見つけた獲物なんだ。あとでこの嬢ちゃんを起こして、たっぷりと俺の裸体を見せてやろうって魂胆さ!」
全裸マン
「なんだと!そんな変態行為、この私が許さん!」
コートの変態
「……おまえ、それ本気で言ってるのか?」
全裸マン
「私が冗談を言うように見えるか?」
コートの男は私の圧に押されてか、後ろに一歩下がる。
正義たるもの、悪の存在を許す訳にはいかない。
そんな私の情熱が、彼を後ろに下がらせたのだ。
コートの変態
「そ、それじゃ、俺はそろそろここを離れたいんだが……いいかな?」
全裸マン
「駄目に決まっている!さあ、お嬢さんを離すんだ!」
コートの変態
「諦めの悪い男だな。仕方ない、こいつをお見舞してやるしかねえか」
そう言うと、男はコートのポッケから拳銃を取り出して、私にそれを向けた。
彼は勝利を確信したような、意地の悪い笑みを浮かべている。
コートの変態
「ほうら、ゲームオーバーだ。さあ、その裸体を穴だらけにされたくなかったら、さっさとここから立ち去れよ」
全裸マン
「馬鹿な真似はよせ。そんなことをしたら……」
コートの変態
「へっへっへ、俺がなんで拳銃を持ってるか分かるか?俺は実は普段は警官をやってるのさ。だから、撃ったって仲間に頼んで揉み消せる。それに俺は銃を撃つのが得意なんだ……これを聞いても、まだ立ち去ろうって気にならないかい?」
全裸マン
「……ああ、むしろ必ず貴様をぶっ倒すと心に決めたよ」
私は、怒りに震えた。
警察ともあろうものが、このような悪に手を染めるなんて!
許せん、正義の拳をお見舞してやらねば。
私は一歩、前に出た。
コートの変態
「正気かよ、あんた!?おい、それ以上近づいたら撃つぞ!」
全裸マン
「ああ、撃ってみろ。真の正義に、そんなものは効かない」
コートの変態
「あああ!俺を舐めやがって!くらえ!」ばきゅーーん
全裸マン
「”全裸ガード!!”」
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* 全裸ガードとは!
*
* 全身の筋肉に力を込めることで、
* 鋼のようなボディをつくりだす技である!
* ただ、力んでいるだけじゃんとかは言わないであげよう。
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カキーン!!
鉄と鉄がぶつかり合う音と共に、私の胸筋にぶつかった銃弾が、勢いを失ってポトリと地面に落ちた。
コートの男は、それを目撃し、開いた口が塞がらないといった表情でその場に佇んでいた。