ファミレス
イケメンの若者
(さて、今日は半年ぶりのオフの日だ)
イケメンの若者
(何故ならば! 私の正体を知らない、実の妹と食事をする日だからである)
イケメンの若者
(今日は、いくらピンチの者が周囲に居たとしても、警察や他のネイキッドサンに任せるとしよう)
イケメンの若者
(だって、オフだからな。はっはっはー)
――某ファミレス――
イケメンの若者
「やあ、柚音。元気そうだな」
柚音
「あ、お兄ちゃん。久しぶりだねー」
イケメンの若者
「よっこらっしょっと」
私は、4人掛けのテーブルに腰を降ろした。
柚音
「辞めてよ、それ。おじさんくさい」
イケメンの若者
「俺も、もう若くないからさ。許してくれよ」
柚音
「お兄ちゃん、まだ28でしょ……そんなんだから、顔はいいのに彼女が出来ないんだよ」
イケメンの若者
「むむ……気を付けるとしよう」
イケメンの若者
「ところで、大事な用とは一体何なんだ?」
柚音
「まあまあ、そう焦らずに……それより先に注文済ませちゃおうよ」
イケメンの若者
「わかった」
私と柚音は注文を済ませた。
イケメンの若者
「それで、用とは何なんだ。まさか彼氏が出来たのか?」
柚音
「そんなんじゃないよ。それに、彼氏は去年から居るよ」
イケメンの若者
「……」
柚音
「どうしたの、お兄ちゃん?ぼけーっとして」
イケメンの若者
「き、き、聞いてないぞ。い、いつ出来たんだ!」
柚音
「だから去年だって言ったじゃん」
イケメンの若者
「お兄ちゃんに報告が無かったぞ!」
柚音
「なんで20歳にもなって、お兄ちゃんにわざわざ彼氏が出来たこと報告しないと駄目なのよ」
イケメンの若者
「いや、それはそうかもしれ……むむ!?」
私の右乳首がピクピクと振動している。
これは私の特殊能力の一つ”乳首センサー”である。
周囲の人々のピンチをこのセンサーでばっちりと知ることが出来るのだ!
イケメンの若者
(くそー、こんな大事な時にセンサーが反応するとは……)
柚音
「じゃなくてね。話っていうのは……」
右乳首は、一秒間に3回くらいのハイペースで波打つように震えている。
どうやら、ピンチがこの近くで起こっているようだ。
私は、我慢できず、立ち上がった。
イケメンの若者
「すまん、柚音!ちょっとトイレに行ってくる!」
柚音
「え、急だね……いってらっしゃい」
イケメンの若者
「ああ、帰ってきたら話を聞かせてくれ!」
私はトイレの個室で、全裸マンへと変身した。
全裸マン
「さあ、今行くぞ!」
私はトイレの個室のドアに手を掛けたところで、ふと考えた。
全裸マン
(大丈夫かな、柚音にバレないかな……)
全裸マン
(ええい、何を言っているんだ俺は!!ピンチの人を助けるのが優先だろうが!!)
全裸マン
(よぉし!今、行くぞ!)
私はマスクを普段よりも深く被って、トイレを飛び出した。
ウェイターの女の子
「きゃ、きゃーーーー!!変態!!!!」
全裸マン
「むむ、危なーい! ”全裸ブースト”!!」
***********************
* 全裸ブーストとは!
*
* 腸内で圧縮したおならを勢いよく放出することで!
* 瞬間的に前方へスピードアップする技である!
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私は、ウェイターの女が落としてしまったすべての食器を、地面に着く前に回収した。
全裸マン
「怪我はないかい?」
ウェイターの女の子
「ぷ、ぷらん……ぷらん……」がくっ
ウェイターの女はその場で気絶した。
全裸マン
「なかなか皆、慣れてくれないものだな……この衣装に」
”うわー、変態だー”
”全裸だー”
”こら、まーくん。見ちゃだめよ”
”あ、全裸マンだ”
午後14時のファミレスは、一段と騒がしくなった。
全裸マン
(センサーの反応がかなり近い……これはこのファミレスの中みたいだな)
全裸マン
(厨房かな……)
厨房のコック
「おいおい、こっちに来るなよ!衛生的にヤバいだろうが!」
全裸マン
「はっはっ。それなら、安心するがいい。朝シャワーを浴びたばかりだ」
全裸マンは厨房の奥へと足を進める。
全裸マン
(この大きな冷蔵庫が怪しいな)
目の前の冷蔵庫は、業務用でかなり大きい。
その上、温度計の針は 【マイナス15度】を指していた。中はかなり寒そうだ。
施錠が施されていて、外さないと中へは入れない。
全裸マン
「誰か、この冷蔵庫の鍵を持ってきてくれないか?」
厨房のコック
「なんで変態に鍵を渡さないといけないんだよ!」
全裸マン
「恐らく、この中に人が閉じ込められてるはずだ」
厨房のコック
「ハハハ、そんなバカな話があるかよ。冷蔵庫に人が閉じ込められるなんてよ!」
厨房のコック
「ねえ、店長!……あれ、店長いないな……」
全裸マン
(むむ、センサーの反応が弱まっている……これは一刻を争うぞ)
全裸マン
「仕方ない。弁償は後でするとしよう…… ”全裸チョップ”!!」
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* 全裸チョップとは!
*
* 全裸マンが渾身の力で、右手を振り下ろすだけである。
* 当たるとめちゃくちゃ痛いから、注意してくれ。
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私の ”全裸チョップ” で、冷蔵庫の鍵は、ドアの取っ手諸共、粉砕した。
全裸マン
「大丈夫か!中の人!」
冷蔵庫の中には、倒れたおじさんが居た。
厨房のコック
「て、てんちょう!!お、おい誰だよ!店長が中に居るのに鍵を閉めた奴は!」
全裸マン
(く、店長さん。心音がかなり弱まって危険だ……よーし、ここは……)
全裸マン
「”全裸スリスリ”!!」
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* 全裸スリスリとは!
*
* 全裸マンが、相手に自分の体を擦りつける技である!
* 全身を使って、相手の体を隈なく暖めることが出来る!
* さすがの全裸マンも、女性に対してはこの技は使わないと決めているようだ
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全裸マン
「うおおおおおおお」スリスリスリスリスリスリスリスリスリスリ
厨房のコック
「おい、てめえこんな時に店長に発情してる場合かよ!」
店長
「う、うーん暖かい。助かるー」
厨房のコック
「店長!大丈夫ですか?」
店長
「……ギリギリだね」
厨房のコック
「おお!やった!……みんな!店長ギリギリ大丈夫だって!」
彼の一言で、厨房が湧いた。
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店長さんは救急車で運ばれていった。
私はその時のゴタゴタした状況に紛れて、トイレで着替えを済ませた。
イケメンの若者
「す、すまない 柚音。かなり待たせてしまった」
柚音
「遅い!遅すぎだよ!」
柚音
「お兄ちゃんが居ない間に、また例の ”全裸の変質者” が出て大変だったんだから」
イケメンの若者
「ははは……あれ、お兄ちゃんのハンバーグは?」
柚音
「冷めて可哀想だったから、私が食べといた」
イケメンの若者
「えー、とほほ」
柚音
「それよりさっき言いかけてた話なんだけどさ……」
イケメンの若者
「あー、うん。そうだそうだ。何だい?話って」
柚音
「……絶対に笑わないで聞いてね」
イケメンの若者
「笑わないよ。約束する」
柚音は私を手招きする。どうやら、よほど周りに聞かれたくないことらしい。
柚音の吐息が私の耳をくすぐる。
柚音
「なんか、私。裸だと、怪力になっちゃうみたいなの」




