#2 魔法
展開が鈍い
※表現を調整しました(19/02/06)
カーンカーンカーン
突如鐘が鳴り響いた。
この音は何度か聞いたことがある。
この近くにあるイヨールの森には魔物が住んでいて、それが時折村に現れるのだ。
これはその警告の鐘で、この後は大抵──
「アイラさん!魔物です!」
こうやって連絡役の男がアイラ、つまり俺の母に助けを求めにくる。
母はかなり腕利きの魔法使いらしい。
気になる!
魔物と魔法使いが戦うなんてなんてファンタジーな光景だろうか。見たい。見たすぎる。
父の制止を振り切り家を飛び出た。
見つけた。母が犬のような魔物の前で杖を掲げている。
「オルク・ラコ・シパーク・プロジ
── 燃えろ、フレイム!」
呪文のようなものを叫び杖を振り下ろした瞬間
辺りが光るほど燃え盛る炎が魔物を包み込んだ。
圧巻だった。本当に本物の魔法だ。
前世では感じたことのない興奮は、その日帰って両親に大説教を食らっている間も一向に冷めなかった。
その日から俺は魔法の勉強ばかりするようになった。
我が家はあまり裕福ではなかったが母のおかげで魔法に関する本はたくさんあったから本当に運が良かったと思う。
読めない字や魔法のあれこれを母に聞くたび
「あんなに勉強嫌いだったレオがねぇ」
と首を傾げられた。
別の世界から来た俺からすれば魔法なんて夢に溢れたもの使いこなしたいに決まっているがこの世界ではそうではないらしい。
思い返せば前世でも結構勉強は黙々とやれるタイプだった。まぁ友達いなくて他にやることなかったってのもあるけど。
2回目の人生くらいは友達と遊んだりしてぇなぁ…