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勇者でなくとも冒険を。  作者: どく
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#1 認識

ムズい。

おかしいおかしいおかしいおかしい



ぼんやりとしていた意識が突然はっきりとしてくる。



氾濫した川のように溢れ押し寄せてくる記憶と感情に飲まれ思考がまとまらない。



「どうかしたのレオ?」


心配そうな母の声になんでもないよと笑って返す。


そうだ落ち着こう


まずは状況の整理だ。


目を閉じて

ゆっくり息を吐く。


自分の手元に視線を向ける。


食べかけのパンとスープ。


古い木のテーブルの真ん中には大きなチキンが置かれている。


そしてその向こうには女の人と小さい男の子が座っている。

お母さんと弟のシン。不思議な顔でこちらを見ている。


俺の隣で黙々と肉を食べてるのが父だ。


大丈夫。知っている。

自分の誕生日を祝われて喜んでいた。

それがレオで今の俺だ。


だいぶ落ち着いてきた。

俺はレオを"知っている"


違和感の原因も分かったんだ。今までも俺の意識は確かにレオの中にあった。


でもこの6年間俺がレオだと思ったことなんてなかったんだ。


だって俺は。

だって俺には狭山裕翔って名前があるから。


あの日死んだんだ。


大学を中退して。ヒキニート。

あの日もいつもみたいにゲームしてた。


突然だった。胸が苦しくなって息ができなくなった。カメラのピントがずれてくみたいにゆっくり意識が遠のいて。

こんな簡単に終わるんだなっていっそ面白く思った。


職なし友達なし彼女なしのクソみたいな男はあの時確かに死んだんだ。


だから…


これはいわゆる"転生"ってやつだ。



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