#16 水晶
お腹痛くなる
※誤字報告ありがとござます(19/02/24)
部屋に入ると既に多くの新入生が思い思いに時間を潰していた。
今日は入学手続きと学生証の作製を行うらしく呼び出されたのだがその場所というのがこの明らかに怪しげな占いの店で地図を読み違えたのかと何度も確認してしまった。
「え…あなた、あの時の!?」
突然の声に驚く。
振り向くとナーガに襲われていたあの時の少女が立っていた。
「やっぱり!貴方もグリモアに入学なさるんですね!」
「貴方"も"ってことは──」
「ええ、まだ名乗っていませんでしたね。私はミラ、ミラ・シェヘラザード。これからよろしくお願いしますね。」
驚いた。ミラ・シェヘラザード、もう1人の特待生だ。
「ご、ごめんね、あの時は寝ちゃって。俺はレオ、こちらこそよろしく。」
多少どもったが笑って見せる。
カランカランッ
突如ドアが開き如何にも占い師というような格好のグラマラスな美女と試験の時の眼鏡の男の人が入ってきた。
女性は紫の布が敷かれた机に大きな水晶玉を出し生徒に順に手をかざすよう指示した。
俺たちの横に立っていた男が名前を呼ばれ、メガネと少しやり取りした後水晶の上に手を出した。
まるで豆電球に電気を流したように水晶が紫の光を放つ。
どうやらこれで自分の魔力の質や量を測るらしい。
「次、レオ。」
俺が呼ばれたのはかなり後だった。
「レオ、討伐選考。ゴーレム破壊数…33体。」
メガネが独り言のように読み上げる。
「あぁ…この子が例の…。レオくん?だっけ、これに魔力込めて。」
ハスキーな声だ。酒灼けかもしれない。
言われるがまま手をかざし集中する。
鋭い光が拡散し全てを白く塗りつぶし直後漆黒に包まれ何も見えなくなった。
「バカバカバカ、今すぐやめなさい。」
ゆっくりと元どおりの景色が取り戻される。
「白、偏りのない魔力。量は大魔導士サマくらいあるんじゃないの、これ。知らないけど。」
投げやりな結果が伝えられメガネが書き付ける。
ここ最近強い光を放ち過ぎている気がする。
目の奥がまだジンジンと痛んだ。