#12 試験
頑張れ受験生
試験当日、レオは会場の前で入場の時を今か今かと待ち受けていた。
見渡す限り人、人、人。
ざっと1000人近くはいるだろうか。
グリモア魔法学校への受験資格があるのは14〜30歳で実際合格するのはほとんどが20代だという。それだけ難しいということだ。
試験内容は筆記と実技の2科目で毎年千人以上の中からわずか20名に絞られる。特待生に至ってはその内の二名だ。
倍率500倍超、その中を勝ち抜かなくてはならない。
正直今すぐにでも吐きそうだ。
大学受験──
ちょっとだけ勉強ができること以外の取り柄がなかった俺が第一志望に落ちたあの時──
大丈夫だ。この世界で俺の魔法使いとしての実力は充分合格できるレベルのはずだ。魔力量と呪文の解読、自分の持ち物に自信を持て、大丈夫だ。大丈夫。
世界が不安定に揺らぐ。頭にたっぷり水が入ってるみたいにぐらぐらと。
不快に響く耳鳴りの中で送り出してくれた家族の顔が浮かんだ。
「父さん、母さん、シン…。」
そうだ、約束したんだ。俺を信じてくれたんだ。
門が開いた。
駆けるように筆記試験の教室に向かう人の流れの中でレオはゆっくりとだがしっかりと歩を進めた。