2-2.5 【盾】
前のほうからここの描写だけ移動させました。
土曜日の午後、村入口の川で術の訓練をしていた。
【堅信】を受けて以降は、鍛錬よりも上級神術の訓練に時間をかけている。
不思議なことに堅信式直後は土以外の基礎神術が少し難しく感じたが、その違和感も訓練でなくなりつつあるところだ。
上級神術で一番先に習得できた、というか直後から使えたのは【上級地固め】だ。
基礎土術の【地固め】は、かけた対象の表面を瞬間的に硬くする効果を持つ。他の三つの基礎神術に比べ、正直使いどころがわからない「使えない術」だと思っていた。
しかし嬉しい誤算というべきか、上級になると一気に使える術となるようだ。
今までは一定の硬さ向上だったものが、【上級地固め】は術力をかけた分だけ効果が上がる。
たとえば雨でぬかるんだ泥だけではなく、水たまりですら一瞬足場にできるほどだ。
ここまでくると、もう表面に硬い何かが一瞬発生していると思ってもいいのかもしれない。
「これは水面の忍者走りを練習するしかない」
そう思って川の浅いところで、足を交互に運ぶたびに次の【上級地固め】を置く訓練をしている。
なかなかうまくいかないうちに術力を使い果たし、聖タンポポ茶を飲んだ直後のことだった。
【上級地固め】を出す位置を間違えた際に、その違和感に気づく。
「あれ、これってもしかして空中にも出せる?」
予想外のことにまたも声が出てしまう。
どうやら聖の術力を同時に使った結果、なんと空中に【上級地固め】が出せるようになった。
感覚としては空中に聖の術力を出して、それを【上級地固め】で固めるイメージだ。
金色に光る堅くて小さな物体で、形もある程度はイメージしたとおりになる。
使う術力もたいしたことがないので、飲んでかなり時間が経ったあとでも、四、五発ならいつでも使えた。
つまりは好きなとき、好きな場所に、即座に短時間のみ出せる堅固な盾だ。
俺の人生の身の安全は、これでさらに向上したと言っていいだろう。
投げるようにして使えば武器としても悪くなさそうだが、複数同時に出せないので身を守る用が良さそうだ。
「オリジナル術を編み出してしまったな。これはシンプルに【盾】と名付けよう」
俺の人生を名前どおりに守ってくれることを期待したい。
他の基礎神術とも組み合わせられないかと試したが、火・水・風の基礎神術とはうまく混ざらなかった。
訓練でなんとかなるかもしれないし、他の上級神術にうまく組み合わせられるかもしれない。そこは今後に期待だ。




