フレンドリーファイア ~ いじめられっこのぼくは、今日もVRで自爆する ~
「おし、敵が密集してるな。いってこい鉄砲玉!」
「えぇ?」
武器を取り上げられて丸腰のぼくは、心ばかりの不満を口にする。
「逆らったらリアルでひどいぞ」
けど声を低くされてぼくは、
「は、はいぃーっ!!」
情けない声をあげて、爆弾一つ抱え持つ。
「ぼくだってな。たまにはまともな方法で敵を倒したいんだっ!」
敵の密集値へと突撃しながら本音を絶叫する。驚く敵たちの顔が目に入ったとたん、背中に衝撃。
フレンドリーファイア。いじめられっこのぼくが、この世で唯一必要とされる瞬間。
「いっしょにリスポーンしてくださいっ!」
これが、ぼくのいつもの断末魔。この声を合図にしたように、ぼくの視界が真っ白に塗りつぶされた。
フレンドリーファイア。友情なんて欠片もないただの起爆手段として、今日もぼくはVRのサバゲーに駆り出されている。
この悲しい居場所を変えてくれる人が現れるなんて、この時ぼくは知る由もなかった。