第42話
ストックがあまり溜まってないのでとりあえず月一で投稿できたらなと考えてます。
「……………………」
酒場にやって来て合流はしたのですが、こんなに大勢が来るとは思わなかったのか、微動だにしなくなってしまいました。カイルがどうにか落ち着かせたのですがあまり効果はなく。私だけ近づいて他のみんなには離れてもらいました。
「こんにちは」
「……………………」
「私がクランマスターのコトリと言います。」
「………………(ぺこ)」
「はい、よろしくお願いします。」
「……………………」
人見知りの場合は相手が話すまで待つのがいいんです。相手には相手のリズムがありますから。
「…あ、の」
「はい」
「……あな、たのクラン、に、入れて、もらえません、か。」
「はい。いいですよ」
「……!」
「私のクランは折り紙を折ってもらいますが大丈夫ですか?」
「……はい。折り紙と絵描き、得意、です」
「手先が器用なのですね。よろしくお願いしますね。では申請出しますね。」
ゆっくりとした動作で申請を出して、ゼンさんも仲間になりました。
黒髪で紺色の目ですね。とってもイケメンさんではないでしょうか。
「あ、そうだ。クランバッジを渡しておきますね。」
「……?」
「「クランバッジ?」」
「3人とも注意!これはイベントでは装備しちゃダメだからね。」
シャールが注意事項を伝えてくれました。
「?」
「「どゆこと?」」
「鑑定したらわかる」
あははと、苦笑いしながら3人に手渡します。
「…………」
「「ほわっ?!」」
「クラン内の秘密ですよ」
「「「(こくこく)」」」
さて、3人にもミサンガを作らなければなりませんね。サラ達は用事は済んだでしょうか?
『コトリ様〜』
あ、噂をすればですねっ。
疲弊した様子のお姉さんを連れて、2人は戻って来ました。2人と一緒にツルが一体戻ってきました。あれ?2人にはつけてなかったはず…と言うことはこの子は。
『コトリ様のおかげでまた助かりました。』
『取り逃がした殺し屋がまた奇襲してきたんだけど、コトリ様のツルが捕まえてくれたの!!』
役に立ってくれたと言うことですね。
よくやりましたと褒めて、アイテムボックスにしまいます。
『殺し屋に賞金がかかってたみたいで、これはコトリ様にお渡ししますね。』
またお金増えちゃいました…。
「あ、シャール。このお金ってクランメンバーが自由に使えるようにできたりしない?」
「できますよー。クラマスがそう言うの設定できたはずです。」
そうなのですね。もっと早くに気づけばよかったです。
私は木材買うだけだし自分のお金はそんなに入らないので、8割ほど預けて使えるようにしましょう。…おお、クランバンクというとこですね。
「そーそー…ってコトリさん?!」
「はい?」
「……3389万ってどう貯めたの?!」
他のみんなまで興味津々ですが、イベント報酬のお金だったりお店の売り上げだったりするんですとお伝えしておく。
「みなさん気軽に使ってくださいね〜装備整えたりしてもらって構わないです。」
倉庫もクラメン共有のがあるようなので、彫刻の鳥達を1人一体出せるように預ける。
「…なんで鳥達預けてあるの?」
「ソロでサポートが欲しかったりしたら使ってあげてください。この子達にはクラメンの言うことは聞くように指示してありますから。“起動”が起こし方で、“おやすみ”が倉庫にしまう前に彫刻に戻す合図にしてます。魔法は使えませんが強いですよー。」
「「至れり尽くせり。」」
「いや、やりすぎじゃね?」
「そーですか?」
別にそうは思わないですが。
龍仙は止まることなく、消えることなく私のそばを飛んでいます。このまま消えないでほしいですね。
「すみません、少しよろしいですか?」
「え?あ、はい。どうかしましたか?」
「貴女がコトリ様でお間違い無いでしょうか。」
急に現れた存在に皆さんは反応せず動かない。いや、まるで時が止まったように動いていない。異変に気付いた私に動いている人が謎を解く。
「すみません、ただ今接続を一時的に切らせてもらいました。私はこのゲーム会社の社長の秘書をしていて、アバターネームはアウエルと言います。」
「へ?」
「まず主な内容だけ手短に終わらせますと、貴女の作り出した紙でできた龍のデータを消したりはしません。この世界はランダムの世界。何が起きてもおかしくない運で作られるように自由度を高く制作しました。なので、運の力の1つで作り上げたプレイヤーの作品を破壊する権利は運営にはございません。しかし、貴女がシャークに伝えた条件は守っていただきたく思います。ゲームバランスが崩壊する可能性がありますので。」
「あ、えっと、それは構いません。私はこの世界を楽しみたくてきています。この子のステータス見て、やめたほうがいいと思ったからあの提案をさせていただきました。」
「ありがとうございます。貴女はこの世界を楽しみたいと仰りました。貴女の持つスキルを手加減して使うことはその楽しみを損なわせることはありませんでしょうか?」
「いえ、全然ありません。本来動かないものが動くだけで楽しいですから。」
「…そうですか。では、生産の面以外で修正したほうがいいことは何かご意見ありませんでしょうか?」
生産以外で…ですか。あまり意識して見たりはしていませんからそんなすぐに思いつきません。
「あ。」
「なんでもいいですよ」
「意見というか質問なのですが」
「はい。」
「シャーク以外にも運営さんはゲームをしているのですか?」
「え?あ、はい。数人はしています。」
やはりそうなのですね。
「楽しそうですか?」
「……どういう意味でしょう?」
「あ。深い意味はなくて…私を倒すって目標を立ててもらって、私以外も楽しめるイベントを考えてほしいという願いを聞いてくれているのは知っています。その制作に関わっていて、彼ら自身が楽しんでいなければ意味がない気もするので…イベントを考えてくれているその人達は楽しむのを第一に考えているか気になっただけなのです。」
「……少し、お待ちいただいても構いませんか。」
「はい、いくらでもいいですよ」
「…失礼します」
接続は切れたままの状態で待つようです。これ戻った時は違和感なく戻れるんでしょうか?それともみんなには接続が切れました的なメッセージが流れているのか見えているのかしてるのでしょうか。心配かけてないかが心配ですねぇ。
5分くらいでアウエルさんは戻ってきました。
「すみません、お待たせしました。」
「いえいえ」
「…彼らに直接第一に何を考えているか聞いてきました。」
「それでどうでしたか?」
「…コトリ様が考えておられたことは考えておらず楽しむことはしていませんでした。」
「それは困りました。それだと視界が狭まって楽しいイベントも見落とされるかもしれません。若者のアイデア力は素晴らしいと思いますから、何事も楽しんで考えてほしいです。」
「……すみませんが、コトリ様。これから私が聞きたい質問は個人情報となりますので断っていただいて構いません。貴女のご職業をお尋ねしてもよろしいでしょうか。」
個人情報の流出はこの空間では絶対にあり得ませんのでともいい、私は特に隠してないのでいうことにする。
「私は保育士をしています。」
「…………バカなお誘いだと笑ってくれて構いません。…子供達を連れて我が社に見学に来られませんか?我々も未来ある子供達のアイデアを使い、楽しいイベントを思いつかせたいと考えております。」
「えっ?ゲームの会社の見学ですか?ご迷惑にならないでしょうか。それに、そう言ったことは保護者様や、職場の人たちと相談して見ないことには…」
「それで構いません。もし来られそうであれば社長のメールアドレスから私のメールアドレスをお送りするので…」
「社長さんにメールすればいいんですねっ。」
「……そうですね。そうしていだだいたら…」
あれ?先ほど何か話しを遮ってしまいましたかね?大丈夫そうです…かね?
それにしてもゲーム会社ですか。楽しそうなイメージはありますが、どんなところなのでしょう?パソコンいっぱいありそうですね〜。まあ、行けるかはわかりませんが…
皆さんのところに戻って仕事に行った時に園長先生に相談して…
保護者の方ありでもいいのかアンケートを取ってからにしましょうとのこと。
行くのは全然いいみたいです。ただし年長組だけとなってアンケートをとってみると。
“保護者同伴でなら”
“子供だけだと不安なので親一緒なら”
と親参加でならとなりました。
「…皆さん行きたいんですねぇ」
「子供より行きたそうです。」
社長さんにメールをしてみると子供達にとあるテーマで絵を描いてきてほしいとのことでした。
そのテーマは…
「はい、みんな〜。今日はお絵描きします。今日は最近楽しかったことです!お母さんやお父さんとお出かけとか、嬉しかったことでもいいよ〜」
“はーい!”
この子達が書く絵や思いが彼らに伝わるといいのですが。それにしても、挑戦者達に会えるかもしれないのですね。ちょっと嫌な始まり方でしたが挨拶は大事ですね。子供達の様子を見つつ、時間があったらやってから帰りたいですね。
当日、金剛先生、笹川先生は学年違うのでお留守番です。すごく悔しがってましたね。
そしてそのかわりに、子供達のお父さんは全員参加で、お母さんもちらほら。皆さん目が輝いてますね。子供達に負けてないです。
「はい、みんな。小鳥先生との約束覚えてるかな?」
“うん!”
「走らない、離れない、人の話を邪魔しないちゃんと聞くが守れなかったらすぐに親御さんと帰ってもらいます。」
“守る!”
“守らせます”
そんなに深刻そうな顔で親御さん達まで言わなくても…まあ、子供達は興味惹かれるものがあれば体は動いてしまいますからちゃんと見ておかないと。
エントランスの受付に声をかけると、男性が2人やってきた。
「今日はようこそいらっしゃいました。ご案内しますね。私は社長の御影と言います。」
「私は秘書の逢川と言います。」
「今日はお招きありがとうございます。私は小鳥あすかと言います。今日1日お願いします。」
「「!」」
自己紹介が終わって少し間が空きましたが案内に移ります。実際に作っている場所や、アイデアのための図書館があったりとビル1つが楽しい場所でした。
会議してのようなところで子供達が書いた絵の紹介をするみたいです。
みんなを並ばせて、社員の人達は笑顔で見守る中、1人ずつ絵の紹介してもらいました。
最後の3人が同じ内容だったのと私のことだったのは少し嬉しかったですね。
こちらのお披露目は終わったと思ったのですが、先生方や保護者の方に何かアイデアがないかとアドリブが入りました。社員の方々も知らない感じだったみたいで少し話し合いをしてみることになりました。
なぜ私に期待をする目で見てくるのですか。そんなの考えてないですよ??
でも子供達の楽しかったことをイベントに繋げるとしたら…
「子供達の楽しかったことを参考にしたらどうでしょう」
と親御さん達と話して見ました。
“いつも戦うイベントじゃなくても競うだけでいいんじゃないかしら”
“遊園地とかいいんじゃないか?遊べるしミニゲームが沢山あるし、器用な人そうじゃない人も楽しめそうだよな”
“ファームみたいに一定期間の間にどれだけ育てられるかとかもいいかもっ”
“新鮮なもの、味が熟しているものが一番とか…料理専門のイベントとかっ”
次々と楽しそうに話し合う姿を見て、一部の社員達も途中から参加、参加してない社員達はメモを取ったり、頷きながら話を聞いていたり…
なんかこれ自体が楽しいですね〜。
ニコニコと見守っていたら、秘書さんに呼ばれてしまいました。
「どうかされましたか?」
席を離れ、秘書さんの逢川さんのそばに行きます。
「この後は解散していただくだけなのですが…小鳥先生にはあっていただきたい方々がいまして。」
「もしかして、挑戦者達でしょうか?ここにはいなかったのですね。時間あればご挨拶をと思っていたのです。」
「それはちょうど良かった。」
もう1人の引率の先生に少し席を外すと伝えて、その部屋を出ます。
「さっきの部屋のムードと全然違うので驚かれるかもしれませんが…あと、お願いがあります。」
「?」
死屍累々というべきでしょうか。言葉が出てきません。
冷えピッタン貼って眠ってる人がいたり、パソコンとにらめっこしてたり、打ち込んですぐに消している人だったり…すごく現実って感じです。
逢川さんが部屋の扉をノックしたら顔を上げるのは1人だけ。
「…逢川さんか、そちらは?」
「今見学に来られている子供達の先生の1人です。」
耳にペンを刺したままこんな散らかった部屋ですみません。と謝られてしまいました。
「ここでは何をしているのか説明を」
「あ、はい。今はある企画を立ち上げるためにアイデアを絞り出してるとこですね。」
ある企画というのは私を倒せるための企画でしょうか。
「どんなものが上がっているのですか?」
「今のところいいのが上がってない…ありきたりだし、あのプレイヤーを満足させられるような案は…」
「…誰かのための企画なのですか?」
「へ?あ、えーっと、一応誰でも楽しめる企画だ…です。」
「それなら、先ほどの言葉は撤回してください。どなたのことかわかりませんが、プレイヤー1人のために企画したものでは意味はないと思います。」
「……」
呆気を取られてしまった開発部長さん。
バレないようにしないといけないのにあまり口走ったらダメですね。でも何かお手伝いできないでしょうか。
「どんなものがあるのですか?イベントが目の前で完成するってワクワクしますねっ」
眠っていた人が起きたのでおはようございますと挨拶してどのような案があるのか聞いて見ました。
「……僕のは…そんなにいいものは…」
「ええ?楽しそうなのいっぱいあるじゃないですか。強化合宿って学生時代にあるやつですよねっ。運動部とかそういう専門的なのには入ってなかったので体験してない人は五万と居ます。キャンプでもいいと思いますよ。所持物何もなしから始まるサバイバルとかっ!」
「所持物何もなしから……それいい!」
「でしょう?」
パソコンとにらめっこの女性が私を呼びます。
「はい。」
「私の案の中…何かいいのあるかしら。」
「わぁ。色々ありますねっ。これとかどうです?鬼ごっこ。」
「でもそれ、ありきたりだし…」
「なら少しルールを変えて…フィールドに特殊効果を持つアイテムとか散りばめて…それを使えば、鬼の動きを止めたり、倒したりできるようにしたり。」
「倒したりできたら鬼いなくなっちゃうわよ?」
「割合を1:1にするんです。逃げる側と追いかける側。もちろん鬼が有利になるようなアイテムも散らばせて…」
「……いいわね…」
お役に立てたなら幸いです。
「今、保育園の子ども達と親御さん達もこんなのがあったらいいのではって話し合ってます。篭りっきりだと楽しいアイデアも浮かばないです。他の人と交流してみるのも手だと思いますよ」
「……あすかさん、そろそろ戻りましょうか。」
「あ、はい。お邪魔しました。」
あんな感じで良かったでしょうか。私が誰なのかということが内緒なのは少しドキドキしました。私の提案したイベントどちらかができることを楽しみにしてましょう。
「今日はありがとうございました。子供達にもいい経験だったと思います。」
「後半はほとんど討論会みたいになってましたけど…」
「子供達も参加できる内容だったし楽しかったよね?」
“うん!”
保護者の皆さんと子供達が出て、私達もと出ようとしたら引き止められました。わたしだけ。
「?」
振り返ると、1人男性が息を切らせてそこにいました。
後ろにも企画班の6人ぐらいが駆け寄るのが見えました。
「何か忘れ物をしてましたか?」
「……貴女のプレイヤーネームをお聞かせください。」
あらら…そちらですか。
その内容ではないけど後ろの人たちも聞きたそうな顔をしていた。
逢川さんに指示を仰ぐために視線を送ると笑顔で頷きました。言っていいということでしょうか。
私が答えようとすると後ろからわたしのお迎えに来た子ども達3人くらいが代わりに答えてしまいます。
「小鳥せんせー!はやくー」
「はーい…あ。あはは」
「コトリ…?」
「そうだ。彼女がコトリだ。逢川がお前達に第一に何を考えているかと問うたろう。」
「は、はい。」
「その質問は彼女からの質問だ。」
「…」
「新しい質問いいですか?」
「……なんだろうか。」
「ここでのお仕事、楽しいですか?」
「もちろんだ。それがなんだと…」
「それはそれは、良かったです。」
「っ。」
「何か大きな目標ために一生懸命になることはとても良いことです。でもそれは楽しんでやってください。根を詰めず、休憩挟んで…体調を崩さないように。わたしを倒すという課題に期限はありません。時間制限なんて求めてません。アイデアはいろんなところに落ちています。元気な状態では見つけられます。しかし体調を崩せば視界は狭まる。しっかり休んでしっかり楽しんでお仕事してください。イベント楽しみにしてますね。」
「「「「「……」」」」」」
「…僕がわかりますか。」
「…えっとー…」
挑戦者は5人そしてそのリーダーが後ろの方達…つまりわたしのことを知っている運営の人…
「シャーク?」
「…正解です。貴女は現実でも貴女なのですね。」
「それは…褒めてます?」
「いい意味ではあります。」
「それならありがとう」
「……」
現実でのお名前は矢部さんだそうです。
「せんせー、まだー?」
「ごめんね、もう行きますよ。先にお父さん達のところに行っててくれますか?」
“はーい!”
転ばないようにねーと声をかけて戻ったのを確認して、そろそろお暇させていただきますと話します。
「小鳥さん」
「はい?」
「またいつでも歓迎いたしますので気軽にいらしてください。」
「えぇ?流石にご迷惑では…」
「そうですね、社長は毎日いるとは限りませんが、私は祝日以外毎日居ますのでご連絡先をお渡ししておきますね。」
いや、逢川さんの連絡先教わっても使う日なんてないと思うのですが…
「何困らせているんだ…逢川」
「…逢川さんって、遠回しに行くタイプですか。やめといたほうがいいですよ。彼女はド鈍感なので。」
「…なんのことですか。」
「どこから私はど鈍感だという結果に落ち着いたんですか。」
詳しく話して見なさい。シャーク?
「……」
「…結構怖いですね。大人しくしときましょう。またゲームの中では標的として扱いますので、またあちらで。」
「標的じゃなくてフレンドとして見て欲しいんですがねぇ…」
「本気でやりあって倒せたら仲良くしてあげますよ。」
ほんとですかねぇ…
流石に連絡先はお断りしました。使うことなんてなさそうですから。もし、ここの見学に来たら逢川さんの名前を出してみることにしましょう。来ることはないでしょうけど。
シャークとの会話を聞いて何か思いついた顔をした逢川さんが少し気になりますが、待たせてしまった保護者の方と子ども達と先生と帰りました。




