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第3話

数人の人達の中の1人の男の人がこちらに歩み寄って来た。ヴァイスが、少し唸る。よしよし、大丈夫だからとなだめても警戒は解かない。


「えと、こんにちは。」

「どうも?」


「「……。」」

沈黙…


何がしたいんだ。


「あの、何の用ですか?」


「あ!えっとですね。…もしかしてNPCですか…?」

「………はい?」

「え。」


…私がなぜNPCと認定されてんだ…

訝しげに見ながらちゃんと指摘をしておく。

「…その聞き方でゲームの中の人に声かけてるならやめたほうがいいですよ。それと、アイコン表示オンにすれば聞かなくてもわかるはずです。説明書読んで出直してください。ちなみに私はプレイヤーです。」


「……す、すみませんっ!」


ため息をついて、ヴァイスを撫でて国方面に歩き出す。非常識な人だまったく。


慌てて先ほどの人が追いかけてくる。

待機していた数人もこちらにくる。


「何やってんだ。バカ。」

「何したんだよバカ。」

「何してんのバカなの?」


……全員からバカ呼ばわり…。

「だって…初期装備でチビドラゴンと一緒だったら…ってうわ?!」


あ、チビに反応したヴァイスが襲いかかる…まあ、PK・PVPの類はオフにしてるから届いてないけど。


「こら、ヴァイス。めっ!」

キュウ…。

怒られたことに落ち込んで小さく鳴く。


すぐに反省したので、攻撃しようとしたことを謝らせようとする。

「ほら、ごめんなさいは?」

キュウゥー…


嫌そうな顔だね。でも、だめ。こういうことはちゃんとしておかないとね。

「ごめんなさいは?」

「あ、あの。俺が悪かったんですし…別に…」


む。

「黙っていてくれます?あなたが悪いのは知ってます。悪いことをしたら謝ることは基本なことです。ここはきちんとしなくてはならないのです。」


あなたが悪いというところに反応し…彼も落ち込む。


「…ほら、ヴァイス?」

キュゥー…キュウーウ!


大きく頭を下げてごめんなさいとした。

すぐに褒めてあげる。

「よくできました。よしよし。」

キュウ!!

スリスリと撫でてくれとすり寄る。



「何このほっこりするシーン」

「平和な。」

「かわいい!!」



あ、本題がズレてる…。

「それで何の用ですか?」


「あ、えっと!」

「もうあんたは黙ってなさい。うちのバカが失礼なこと聞いてごめんね。あのね、私たちあなたの事をイベントが起きるキー的な存在かもってさっき見て思っちゃって、あんなこと聞いちゃったの。本当にごめんなさい。」


イベントキャラということかな?

まあ、ヴァイスは目立つもんね。


「別にいいです。ヴァイスは目立つのはわかっていますし…イベント探しでもしてるのですか?」

「イベント探しっていうか…さっき大きなドラゴンが山に寝そべってるのを何人か確認してて見に行こうってことになったの。近くにイベント発生のキー的な存在もいるかもってかんじで探しながらね。」


ああ。


「ヴァイスのお父さんのことですね。それは。残念ながらもう行ってもいないですよ?仕事があるとかで、私にヴァイス預けてどっかに飛び立って行ったので。」


「…………」


ぴしっと石になった音が聞こえるかのように固まりました。


ん?


「「「まさかの、イベント遭遇者だった!!!」」」

「…………。」


女の人含めた3人は大きな声で叫び、バカ呼ばわりの人は何かをつぶやく。小さくて聞こえなかった…

イベント遭遇者だったという叫びの意味を少し理解できずに何回も心の中で復唱をしてみる。


…………あぁ、そういえばアレ、イベントだったのか。


「え、何。自分でも今気づいたみたいな顔。」

「え。だって、初期リスポーン地点に大きなドラゴンいたら思考回路停止しますよ?普通。」


「まあ、そうかもしれないけど…リアクション薄くない?」

初めからイベントに出会ったのだから驚いている方なのだけど。

「ちょっと待った。初期リスポーン地点?……君、まさか今日始めたの?」

「はい、そうですけど…」


「ねぇ!ちょっといいかな!」


ん?さっきのバカ呼ばわりされた人が話しかけてきた。

「なんです?」

「運の数値いくつ?今のところ出会った人の中でね!50が最高なんだ!でも、攻撃の最高が99だって人がいたから初期数値の限界は99だと思うんだ!!それで、君はいくつ??」


こういうのは言わなくてもいいと思うのですよ。自分の情報ですし、私に不利なことしか起きない可能性もある。この人たちが悪い人でないとしても、知らないうちに利用されている可能性もあるし…


「黙秘で。」


「…ェ。なんで!!」

「いや、お前は本当に馬鹿か?」

「笑って教えてくれる人ばかりじゃないんですよ?今まで出会ってきた人は優しい人だったんです。普通警戒するに決まってますよ?」

「そうよ!バカはいい加減にしなさい!」


ボコボコですね。


「ほんっっっと!ごめんなさい。初期リスポーンがあの山ならよく死ななかったわね?」

「ヴァイスは強いですから。」

キュウ!!


さて、そろそろ情報を与えるわけにはいかない。

「友達と約束しているので、もう行っていいですか?」

嘘ついてすみません。ここにいたくない。


「え!そうなの!ごめんなさいっ!引き止めすぎたわね。この街道まっすぐ行けば着くわよ。また、縁があったら会いましょ?」

「では。」




ふぅ、なんとかできたね。

ヴァイスを抱っこして国へ急ごう。絡まれる前に。



「………アレ、仲間にしたいね。ギルマスに話そう。」

「だよね。すぐ報告だね。」

「取り合いになる前にとっておきたい。」

「…嘘は下手だね。」


「「「だからいいんじゃん」」」




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