第15話
「あ!コトリさんっ!シャール知らない…っていたぁ!ちょっとどういう事!どこに入るのっ!」
「まさか俺のとこか?」
冒険者ギルドに着いた途端、リーヴさんとコールドさんに出迎えられた。
「違う。」
即答するシャール。コールドさん嫌いなのかな?
あれだよね、今の発言聞いたら自惚れ屋に見えるよね。
『…どーでもいいからどけ。』
マルガさんが2人を強引に退けて突き進む。
まあ、冒険者ギルドのマスターですしね。
それに続いて入っていく。
強引に退けられた2人も私たちの後を追うように動くが連れをみて固まる。
『あら、さっきの子じゃない。』
『ん?ファラン知り合いか?』
『コトリに頼まれて少し魔法講座をね。ま、コトリに頼まれなかったらやらないけど。』
『へー。そういえばマルガは…』
とマイペースな龍王ゼクシア様とファラン様の会話を表情を青くしながら聞く2人とその他大勢。
そして、その場にいたプレイヤー全員(コトリとシャールを除く)がそれぞれ思った。
(コトリって誰だ影響力高すぎだろっ!)
(なんでいんの!)
(龍王ゼクシアじゃねぇか!)
(不用意に話しかけるな。殺されるぞっ!)
(機嫌を損なうな!)
(黙っていないと殺されるっ!)
(コトリさん………ぇ。)
(コトリさん関係なのはわかった!だがこれはイベント途中なのか!それとも素?!)
そんな緊張感高まる中、
気の抜けた声が響く。
「龍王様、ファラン様早くこっち来てください。」
『ん。おう、すまん。なんだ?』
『悪かったわ。それで…』
(お前がコトリかぁ!)
(女の子っ!)
(おい、お前…龍王ゼクシアに睨まれてんぞ。)
(え?んなわけ………すみませんすみません下心はありません!許してください許してください)
(あ、あっちの会話に戻った。…よかったな。見逃されたぞ。)
(………)
(どした………!おい、その剣どっから来た。)
(………しぬかとおもった)
(……コトリって子に手を出すとダメだと掲示板に書き込め。)
(瞬殺されるぞ。)
ちらっと周りを確認しましたが…
なにやらギルド内が静かですね。
龍王様に緊張してるのでしょうか?
まあ、とんとん拍子にことは運ばれてますが。
『で、クラン名は[折り紙同好会]でいいんだな。』
「はい。」
『じゃ、今のところのメンバーは、クラマスがコトリ、サブのクラマスがシャール、その他のメンバーが、龍王ゼクシア、龍王妃ファラン、俺、ヘルシャ、ナーシャあと、ロルフ、アイシャだな。』
「え。ロルフとアイシャも入るのですか?本人に聞いてないですが。それにアイシャはまだ子供ですよ?」
『嗚呼、ロルフにはさっき連絡取ったら入ると言ったし、クラメンに年齢制限も人数制限も特に無いからな。』
人数制限ないとか…新たな国作れそう。
『さて、登録は終わったはず。全員持ち物を確認しろ。鍵があるはず……ん。あるな。』
皆さんもアイテムボックスぽいもの持ってるんですね。
「私も確認しました。これはどう使うんですか?」
『どこでもいいから扉に使う。そしたらそのクラン専用のマイホームに入れる。今はなんもない部屋になるな。倉庫は最初100があるが、特殊イベントというものがあってだな。それはクラン同士が競うものだったりする。ポイントを取得していくんだが…それを使って家具やら設備やらを整えられるんだ。』
「へー。そんなことになってるんだ。」
「シャールは知らなかったの?」
「うん。IPが足りません。って言うのはイベントポイントの略なのか。」
「へー。なら、イベント頑張らないとね。」
「討伐系が多いけど……コトリはどう言うスタイルで戦ってるの?」
「それは…」
『はい、ストップ。』
ファラン様か、ストップがかかる。
「「?」」
『ここで話す内容でもないと言うことじゃ。』
「あ、ロルフさん。」
『私もいるの!おねーちゃん!私、おねーちゃんのマイホーム見たい!』
『そうねぇ。そこでお話ししましょっ。今はなにもないだろうけど。』
それもそうだ。
自分の手の内を明かすものじゃないよね。
「そうですね。じゃ、移動を…」
「待っていただきたい。」
なんか、体をガクブルと震えさせながら勇気を振り絞って言っているようなリーヴさんが立っていた。
(勇者がいるぞ…)
(うおっ。勇者だ!)
(コトリって子の後ろめっちゃ睨みつけてくるんだけど(笑))
(邪魔すんな的な…)
(まるでゴミムシを見るようだ…)
「あ、リーヴさん。…なんか、すみません。シャールさんを奪ったみたいな感じになってしまいました…」
「……ぇ?…コトリさん…クラン作ったの?」
「はい、今作りました。」
「コトリ、謝ることない。元から脱退考えてたと言った。」
「だから、そこだよ。なんで。」
「………まあ、ちょっと魅力を感じなくなったと言うか…魅力を感じる人が変わったと言うか。」
「………。」
魅力を感じる人というのは誰だろ?この中にいるのかな?
私が不思議に思ってるとリーヴさんが虚ながら目を向けてきた。
「?」
「…。」
「ま、アレだな。」
急にコールドさんがポンとリーヴさんの肩に手を置いた。
「ライバルが増えたわけだ。」
「ふふ、そうですね。」
「……コトリさんには負けません。」
おっ。リーヴさんの目に光が!
「はいっ。」
『じゃっ、いこー!』
アイシャに手を引かれてギルドの奥に入っていく。
引かれる途中苦笑いで、振り返って手を振っておく。
あっちも苦笑いで振り返してくれるが龍王様が近づいていくのが見えた。その後はアイシャが適当に使ったマイホームの鍵でマイホームに移動させられたので何を言ったのかはわからない。
『おい、ライバル宣言はいいがあの子を甘く見ないことだ。すでにお前達を超えている。』
「え。」
『そうだな。お前ら確か討伐系のクエスト受けてたな。あの子の初の討伐の数聞いたら驚くぞ。』
「え…コトリさんはテイマーで…ヴァイス君がいるからじゃ…」
『ま、それだけではないと言うことだ。』
『ほら、いくわよ。』
次々と消えていく重要キャラクター達を見守るプレイヤーはコトリについたの情報を集め始める。
だが、始めて2日しか経っていないため、目新しい情報はなく、街の人に聞くと紙細工師としか広まってないと言う。謎が深まるばかりであった。