第七話 体力作りは紫雲で
汚れても良い格好で集合です。
安定のジャージ師弟とユニク◯コーデの普段着で来た新米警官です。
今回、当て字の◯が多く、少しお下品かも。先に注意喚起させて頂きます。
「相模部長、こんな早起きしてランニングしてたんですか? すごいっすね」
サトウさん寝癖ついてますよ、これです。あれ、ベトついた。髪の毛洗ってないんですかぁ? バッチー。突然、ふわっと柑橘系の匂いがした。顔をしかめ、ベトベトしてんのをサトウさんのダウンコートにこすり付けた。無造作ヘアー? 俺は認めん。相模さんを見習え。素敵な五分刈りだ。
「あれ、どうしたの? なあに、ミリィちゃん。相模部長、見てください。ミリィちゃんが俺にタッチしてくれてますよ!」
俺もユニ◯ロ愛用してたよ。その薄いダウンコート知ってる。同じ様なラフな格好なのに人間だった時の俺とは違う。何かムカつく。足の長さか? やはり顔か?
「ああ? それはちょっと違うな。んー、大方うん◯でも踏んだんだろ。ほら、嫌な顔してる。質問はなんだったかな。……朝か。そうだな、最近はついでにモンスター狩ってた」
相模さん、半分不正解。空を自由に飛べるようになったスッゲー俺は、もう◯んこなんて踏まない。ふーん、そっかぁ。ひとりモン◯ン気分だったのか。
そういえば、女児アニメの主人公でミラクルな魔法少女になったんだって、俺、伝えたことあったっけ?
「最近、魔物が減ったなぁとは思ってたんだけど、魔界にちょっと帰ってるとかじゃなくて、本当にいなくなってたんだ。相模さん、ありがとうございます」
「わたくしも、もう少し頑張らなきゃいけませんわね」
黒うさぎが耳をピンッと伸ばし、直立して腰から深々と頭を下げた。アスカちゃんは右頬に手を添えて、ほぅっとため息を吐いている。
「アスカたんは今、原作のラストん時ぐらい強くなってるよ。これ以上魔力強化して筋トレしたら、ガチムチな魔法少女になっちゃう! そんなのアスカたんじゃない」
「俺もアスカちゃんは今のままで、充分かわいいと思うよ。大丈夫。いざとなれば、俺達置いて逃げていいから。相模部長が何とかしてくれるよ。俺もがんばるけどね」
アスカちゃんにウィンクした。犯罪者だ。捕まえる側が罪を犯す。これもまたサスペンスドラマの定番! 逃げろ、アスカちゃん。奴は女の敵だ。
「わたくし、そんな卑怯なことしませんわ。敵に背を見せ、逃げるだなんて。……女が廃ります!!」
アスカちゃんの心意気に惚れる。かっこいいよ。でも、
「このメンバーの最弱はサトウさんだよ。人の心配より自分の心配したら?」
黒うさぎに同感だ。
そして、黒うさぎもサトウさんを敵認定したらしい。アスカちゃんの前に立ち、踏ん張るが、お前は護衛に向いていない。
「心配してくれるの? ありがとう」
敵はうさぎ好きだ。気をつけろ。耳を撫でられるぞ。あ、捕まった。俺知らね。
「冗談半分でジムのマーシャルアーツ習ってたからね。ミリィちゃんに魔法かけてもらってから体も軽いし。早くモンスター会ってみたいな」
敵はモフモフマスターにも認定されている。黒うさぎは陥落した。早業だ。きっとみんな早いに違いない。けっ。今日からサトウソースケではなく、サトウソーローと名付けてやろう。けっけっけ。
「わたくしはもう春休みなので、学校はないのですが、お二人はお仕事行かなくて大丈夫なのですか? 平日ですよね、今日」
「三交代だからね、俺らは。今日は休み」
サトウさんは胸に黒うさぎを抱いて撫でている。カナタくんは人懐っこいんだね、とのたまう。何かかわいそうだから、俺からは黒うさぎが見えていないことにした。
「サンコウタイ?」
相模さん達のお仕事、ジムのインストラクターだと思うよね、アスカちゃん。マッチョとチャラ男。地域課なんだって、このコンビ。
「泊まり、明け、休みの順で仕事するんだよ。明けの日って言っても、実際終わるのは昼過ぎだけどね。ひどい時は日勤の人と一緒の時間になっちゃうんだ」
「大変そうですわね」
俺はアスカちゃんに同意するように、コクコクと頷く。相模さんは朝の六時半に家を出て行く。帰ってくるのは翌日の昼の二時三時くらい。お昼食べ損ねたんだと言いながらコンビニ弁当をぶら下げて、くしゃりと笑う。
お嫁さーん、誰か相模さんのお嫁さんに来てあげてぇ!
「君みたいなかわいい子に会えたら、疲れなんてふっとんじゃうから平気だよ。今も眠気ふっとんじゃったし」
すっ、と気持ちが淀む。
「お前が吹っ飛べ」
俺がしゃべるとサトウさんが目を大きくさせた。サトウさんのジーパンをダメージジーンズにするように引っ掻く。ついでに、モテなくなる呪いを掛けてやる。
「遊んでるんだったら、自分ちょっとモンスター探し行ってくる。今度こそ何かドロップするかも知んないし」
ひとり黙々とストレッチしていた相模さんが、ちょっとジュース買いに行ってくるのと同じ感覚で魔物を倒しに行こうとしていた。
残念ながら、この世界の魔物は死ぬとキラキラ光って小さなお星様になりお空に向かうだけだ。ドロップすることやお宝に変化することはない。おてての肉球と肉球を合わせて、南〜無〜。
相模さん、やっぱり別ゲームの主人公だと思っていたんですね。知らぬが仏。一緒に供養しておこう。
「相模部長、俺もなんか倒してみたいです! 見てください。ほら。ただ軽く足を回しただけなのに足から青い光が出るんですよ」
サトウさんが綺麗な後ろ回し蹴りをした。マーシャルアーツだってさ。けっ。イケメンが選ぶスポーツは全くもってキザったらしい。相模さんの漢気あふれる柔道を見習え、柔道を。
下品な表現、申し訳ございませんでした。分かった女の子は破廉恥ですわ! 分からなかった子は知らぬが仏。みなさん、純粋なる乙女を尊びましょう。
次は四天王戦。