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第五話 主要メンバーは紅一点で

 お父さんが言ってた。一本の矢はすぐに折られてしまうけど、三本の矢にすれば折られないって。


 要約すると、そんな感じかな。黒うさぎ改め、ナビゲーター柚木がメンバーの増加を訴えた。


「相模さん、誰かいい人ご存知ありませんか?」


 長峰さんが可愛いお顔を傾けて相模さんに質問した。

 相模さんは逡巡した後、今日の仕事場で尋ねてくれることを約束し、小走りして去っていった。お仕事、遅刻しないといいね。


「マリィー!! ユウナァーー!!」


「長峰さんも遅刻しちゃうよ。早く行きな?」


「よろしかったら、竹内さんも『明日香』と呼び捨てて下さいませ。あの格好の時に、苗字で呼ばれるのは、ちょっとわたくし恥ずかしいんですの。……それに、わたくしもミリィちゃんってカナタみたいにお呼びしたくて」


 弱冠、俺の名前を竹内ミリィだと勘違いしてないか疑問に思ったが、了承の意を込めて軽く頷いた。ほんわかと優しく微笑むアスカちゃんに、シッシッと両手を使って先を促した。

 アスカちゃんは顔を少し傾け、小さく手を振って帰って行った。かわいい。


 でも、できればこのボソボソなんか言ってるメンドくさい黒い物体を一緒に連れてってもらいたかったよ。アスカちゃん。


「竹内くん、ヒドいよ。僕の癒しが、エンジェル達が」

「人道的にひどいのはお前だよ。柚木」


「うさぎだもーん」


 死ね。

 一点集中。

 蹴り上げる。

 

「も、申し訳ございま……せんでした」


 やだわ、みなさん。このうさぎ、おまた抑えてるわ。恥ずかし。私? 私はうさぎの女の子ですから弱点なんてありませんの。


 アスカちゃんの言葉遣いがちょっと移った。なんか楽しい。

 悶絶する黒の毛玉を、ふふんと鼻で笑ってやった。



 俺は、世界の存続を女子中学生に任せるなんて出来ない。敵はどんどん強くなっていく。強化魔法があるとはいえ、ハードバトルは可哀想だ、と黒い毛玉に説明した。

 せめて女性が、萌えが……と反論したバカに調教していた時だった。



——竹内くん、聞こえるか?


 突然聞こえた低い声に痺れながら、耳をピンッとさせる。


 相模さん、テレパシーできるんですね。

 今ですか? 喜んで! すぐ行きます。


 気持ちでは某居酒屋の店員並みのノリだが、テレパシーでは「はい」とだけ答えた。


 『最後のメンバーは相模さんの職場の後輩だよ。女性の可能性は限りなくゼロに近いね』と念を送る。無言でアスカちゃんを真似して微笑んでやってから相模さんの元に瞬間移動した。



「おはようございます!」


 挨拶は大事。おじぎをして下げた頭を持ち上げるとイケメン警官がいた。


「……相模部長、疑ってすみませんでした。竹内くん、だっけ? おはよう。かわいいね。特にこのピンクのリボン、オシャレだね。俺は佐藤宗介。役立てるようがんばるよ。よろしくね」


 爽やかな笑顔つきでリア充のオーラを醸し出している。俺の敵だ。そしてさりげなく相模さんからもらったリボンに触れようとするでない。ささっと、相模さんの後ろに隠れた。


 車の中なので狭い。


 運転席に座ってる御仁はハンドルを握ったまま赤い信号を見ている。


「会った方が早いと思ってな」


 ははは、と笑う顔はいつもの相模さんだ。

 そんな相模さんも警察の制服を着ている。今日、仕事だと言っていたからコスプレではないと思う。


「お仕事中、ですよね」


 ミリィの必殺技、上目遣いの教えてお願いポーズをした。


「竹内くんは真面目だなぁ。無駄口は昼飯んときにするか。後でまた来れそうか?」


 高速首振りを上下にして、目を見開いているサトウさんに会釈してから元いた公園に戻った。


 黒い毛玉はもういなかった。

 柚木と会話したくなったのは、この世界に入って初めてだ。いじめすぎたのかもしれない。

 ファーストネーム呼びに喜ぶ主人公。


 佐藤さん、相模部長はうさぎを飼い始めたと思ってました。体育会系縦社会です。どん引きしながらも断れません。本作品のカサノヴァは空気の読める巡査です。

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