表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第一話 はじまりは暗闇で

初投稿です。不慣れなスマホ。かるーいお話にする予定です。温かい目で読んで頂けると光栄です。


 眠い。

 淡々と女性の声が聞こえてくる。日本語じゃない。英語の講義中かなぁ、と寝ぼけた頭で考え、ハッと息を飲みこむ。


 単位落とすとヤバい!

 留年ダメ、絶対。


 眠気を吹っ飛ばして、目を開けた。何も見えない。自分の手さえ見えない。いつの間にか女性の声も聞こえなくなっていた。


 夢だろうか。あ、そーだ。俺、3年に進級できたんだった。これは夢だな。昨日、ゼミの発表が終わったから、打ち上げしに柚木と飲みに行って、……えっと。



「Harry up!」


 凛とした女性の声が響き渡る。

 英語だ。早くしろ言われても困る。正直、話聞いてなかったし。俺、英語苦手なのになぁ。




「AGREE or DEAD?」

 うん。って、おかしいね。同意しなければ殺されるのか? 北か? agreeの反対語はdisagreeとかagainstとかopposeとか、いろいろあるだろーが!


「Harry!」

  黙ってたら、また急かされた。とりあえず、死ぬのはイヤなので生き残る選択をしたい。

「……えと、Aliveで」

  控えめに答えたのは、根が小心者なので致し方ない。


 なんかペラペラ言っているが、理解できない。早い。苛立ちだけは、ひしひしと伝わってくる。選択肢以外を答えたのは悪かったと思うよ。あ、今、罵られた。


「だぁああ! 分かんねぇ! 日本語しゃべろよ、日本語! 何も分かんねぇのに同意なんかするかボケーッ!!」


「大丈夫だよ、僕も行くから」


「……柚木?」


 背中をポンポンと叩かれる。

 まだ目は見えない。暗闇の中、知ってる奴の声が聞こえただけで、ほっとした。

柚木が納得しているなら、たぶん平気だろう。『どこに』行くのかは分からないけど、こんなとこに一人残されるのはイヤだ。てか、早く目を覚ましたい。


「サポートキャラなんだけど、一緒でいい?」


「はい?」


 キャラって何? 夢の中でもオタクはオタクらしい。残念だ。本当に残念だ。大事な事なので、二回言った。それとも、何か暗号だろうか。


「やっぱ、ヒロイン達は心の中も純粋で可愛い女の子がいいよね」


 それは心底どうでもいい。


 って、聞いてないですね、俺の意見。

 その後も二人で会話しているけど、英語でも日本語でもないから口を挟んでいいタイミングが分からない。



 まぁ、柚木はアニメオタクだけど、顔と頭はいいから、悪いようにはならないだろう。女はイケメンに弱いものだし。あ、自分で言っててツラくなってきた。二人で楽しそうに笑ってやがるし。あー、合コンでよく見た光景を思い出してきた。目頭熱くなってきた。


 目の前まっくら。

 柚木達の話し声が低くなった。 何語話してんのか分かんないから、小声じゃなくてもいいのに。


 まぶたが重い。

 夢の中なのになんで眠いんだろう。

 変な夢だなぁ。


 そうして、俺は意識を手放した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ