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マルシカへの道中

 アルバから情報を貰い、一夜を明かした後、二人はベティンの街を後にし、マルシカへと向かった。

 ベティンから西に伸びた街道を進み、分かれ道を南西に進んでいく。

 整備された街道は国境までだ。

 とはいえ、飛翔術式が使える二人にはあまり関係無いことだ。

 国境の関所を飛び越え、森の上空を通過し、谷の隙間を縫う。


 「随分と達者に飛ぶじゃないか」


 「まあコツは掴んだからな」


 「私が飛翔術式を覚えた時はもっと苦労したものだ、流石は私の妹。

 さて、ここからどうするか、アルバ殿によればこの谷を抜ければ再び森があるらしいが」


 「突っ切っても大丈夫じゃねえかなあ。

 国王軍の勢力はまだ第1王子派の反乱軍の主力とは接敵してないんだろ?」


 「……国王軍とマルシカ国内の貴族をまとめた王子率いる反乱軍。

 国王軍から抜け、反乱軍に加わった者もいて、戦力差は反乱軍圧倒的優位らしいが」


 「国王軍は籠城してるわけでも無いって言ってたな、数的優位を覆して反乱軍を圧してるって」


 「となると、やはり情報通り国王軍側に魔族や魔獣が混成していると言うわけだ」


 谷を抜け、森を通過し草原に二人は降り立った。

 これ以上の飛行は日中だと目立つ上に魔術に長けた魔族には探知される恐れもあるからだ。


 「そう言えば、キャロルは前世で戦争した事ってあるのか?

 なんか勇者ってのは魔物と戦ってるイメージがあるんだよなあ」


 「故郷に居るときに話さなかったか? 

 ……確かに魔物との戦いの方が多かったが、戦争も経験しているよ。

 おとぎ話の様に魔物だけを相手にしている訳にもいかなくてな」


 「詳しくは聞いてないな。

 まあファクトリーでの模擬戦中、対人慣れしてるなあとは思ってたけど」


 「いや、セシル程では無い」


 「そりゃそうだこっちの世界は魔物なんて自然災害位の頻度でしか現れなかったからなあ。

 さらに言えば俺、んっんん! アタシは物心ついた時から戦争屋だったしな」


 「いつかセシルとも手合わせしたいな」


 「嫌だが?」


 「手合わせしたいな」


 「断る」


 「何故だ」


 「アタシにとってファンタジー世界の勇者の力ってのは災害と同じなんだよ。

 洪水とか津波とか火砕流とかに誰が好き好んで突っ込むかよ」


 「言い過ぎではないかしら」


 「ないです」


 草原を歩いていると街道を発見した二人は談笑しながら道を進む。

 しかしただ談笑しながら歩いている訳でもない。

 二人は一定時間感覚で交代しながら探査術式を起動しつつ、マルシカの王都へと向かっているのだ。

 

 「しかしあれだなあ、子供の歩幅じゃあ予想以上に時間食いそうだなあ」


 「戦時下とはいえ、この辺りは戦線から遠い。

 行商の馬車もまだ通っている筈だし。 

 運良く馬車が通ったら乗せて貰おう」


 「りょ~かい。

 もうちょい行ったら休憩しないか?

 喉渇いちまった」


 「そうだな、腹も減ってきたし、一旦休憩しよう」


 街道から外れ、収納術式から敷布と水筒、サンドイッチの入ったバスケットを並べる。

 本日の天気は快晴。

 傍から見れば、幼女二人だけでのただのピクニックである。

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