武器を試してみる2
最初に異変に気付いたのはリアと模擬戦真っ只中のセシルだった。
訓練場の扉の向こう、感じ慣れた魔力がどうにも楽しげにコチラに向かってくる。
「よそ見かセシル!? また罠でも張ってんのか!!」
「やらねぇよ姐さんに罠とか無駄だし!」
リアの刀の斬撃を尽く避けながら、セシルはリアの手足、胴体、時には頭を狙って手に持つ2丁の銃の引き金を引く。
しかしリアは放たれた魔力弾を斬り、避け、弾き、セシルの攻撃に対処していく。
「なんであの2人、話しながらあんな動き出来るんでしょうねえ」
1段高い闘技台の上で戦う2人の様子を、少し離れた位置で訓練に勤しむ訓練中の他の兵士達が冷や汗を浮かべていた。
その横を訓練場に足を踏み入れたキャロルが通り過ぎ、その後をクロエが続く。
「クロエ局長、珍しい事もあったもんだな、あんたが鍛冶場から出てくるなんて」
セシルの攻撃から間合いを空けたリアがそう言いながら、終了をセシルに伝える為に掌を見せ、納刀しながらクロエとキャロルの元へと歩み寄った。
「私が造った新装備のテストに来たの、あっちの結界術式が壊れちゃってね」
「あそこの結界が壊れるって……まあキャロルならやりそうだな」
ルクスと並ぶキャロルの力を知っているからこそ、もはや呆れるように苦笑いを浮かべるリア。
「というわけで、闘技台借りますね」
「おっ、キャロル新装備? 何それ棒?」
「違うわセシル。
コレは、剣よ」
闘技台に向かうキャロルの前に立つセシルに、柄から刃を伸ばして見せる。
セシルの表情は年相応にワクワクしていた。
「おー、どうなってんのコレ?」
「技術的な事はよく分からないわ。
魔石に魔力を流して私が想像した通りの武器に変化してくれるそうなのだけど」
「武器を想像通りに……創造」
「あら、駄洒落かしら、ちょうどいいわ、セシルが標的に立候補してくれるなら思いっきりコレを触れるわ」
「ごめんて! キャロルの全力なんてアタシ木っ端微塵になるわ!」




