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二人の日常

 二人は直ぐにマルシカに出発、という事は無く。

 マルシカに潜伏している諜報員や工作員、つまるところ協力者への連絡の為、数日はグランゼリアに留まる事になったキャロルとセシル。

 二人は既にトゥルースの名を冠していたが、正規兵達と同じく訓練に勤しんでいた。


 「トゥルースとは言え、なんなんだあの子達は、どれだけ魔力を持っているんだ?」


 現在正規兵達は闘技場内を走っていた。

 もちろん普通に走っているわけではない。

 身体強化の術式でもって、脚力を強化した上で魔力切れまで行われる耐久レースだ。

 

 「ちんたら走るな! ダッシュダッシュ!!」


 この日の教導官はアリーゼだった。

 アリーゼが正規兵達に激を飛ばす中、キャロルとセシルはと言えば「今日こそアタシが勝つ!」「そうはさせないけどね」とセシルがキャロルを追う形で全力疾走。

 ルールは自分達以外の正規兵が魔力切れで倒れるまでのサドンデスマッチ。

 最下位の正規兵とは既に十周以上差がついているようだ。

 

 「アンタ達はちょっとスピード落としなさい! 子供が無理しちゃ駄目なんだからね!!」


 「大丈夫よアリーゼ。まだまだ行けるから」


 「アリーゼが私達に追いつけたら言う事聞いたげるー」


 「言ったなあ!? たまには先輩の言う事聞けえ!」


 と、教練そっちのけで3人による耐久追いかけっこが始まってしまうのもアリーゼが教導官を務める際のお約束となりつつある。

 この耐久追いかけっこ、アリーゼが二人を捕まえられた試しはない。

 因みにキャロルとセシルの勝率はキャロルの全勝、セシルの全敗である。

 

 「姉に勝てないんだが」


 「魔力をただ使うだけじゃなくて、足で地面を蹴る際に流す魔力を増やしてみなさい。

 垂れ流すんじゃなくて、細かく調整するのよ」 

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