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シルヴィアとの再会

 国王とシルヴィアの挨拶が終わり、二人はパーティーに参加している貴族や、ファクトリーの兵士達に囲まれて、身動きがとれなくなっていた。

  

 「失礼、シルヴィア様に挨拶したいのですが、構いませんか?」


 人垣の一番外側でそう言ったのはキャロルだった。

 今やファクトリー所属の者に彼女の事を子供だと侮る者はいない。

 しかし、貴族の中には試験の内容を知らない者が多い。

 キャロルの事を知らない貴族にとっては、只の子供にしか見えないキャロルの言葉は子供の戯言くらいにしか捉えられなかった。

 

 「大人の会話に割り込んでくるものではないよお嬢さん」


 と、まあこんな感じで、相手にされず、道を阻まれシルヴィアの元にたどり着けずにいたキャロルだったが、そこに助け舟が出た。

 

 「邪魔だから退け、ぶっ飛ばすぞ」


 と、リアがキャロルの目の前にいた一人の貴族の男を蹴り飛ばしながら言った。

 蹴られた貴族は一瞬リアを睨むが、相手がリアと見るや、顔面蒼白になり冷や汗を流しながら後退る。

 その様子にシルヴィアを囲んでいた貴族達の輪は散り散りになっていき、遂にはその場にシルヴィアだけが残された。


 「副長、ありがとうございます」


 「気にすんな、キャロル。

 俺もシルヴィアも群がってくる豚共は嫌いなんでな、散らしただけだ」


 「アナタの口の悪さは昔から変わりませんね、リア。

 もう少しお淑やかにしないと、ルクスに嫌われますよ?」


 やれやれと言いたげな面持ちでリアの元へと歩み寄り、シルヴィアが言う。

 この二人もルクスと国王よろしく付き合いは長いようだ。

 

 「いやいや、そろそろルクスもイライラしてくる頃だ、アイツも揉みくちゃにされるのは嫌いな筈だしな、ヴァイツもソレを見越してルクスの所に行ったんだろうぜ」


 言いながらリアは親指を立て、ルクスと国王が囲まれている人垣を指す。

 すると、ルクスの異変に気付いたファクトリーの者達はその異変をいち早く察知し、蜘蛛の子を散らすように各々パーティーへと戻っていった。

 気が付けば、貴族達も逃げ出すように二人のもとを離れていく。

 見れば、ルクスは何時ものようにニコニコしていたが、目が笑ってない。

 微妙に殺気立ってすらいた。


 「ヴァイツ、僕を人避けに使うのやめてくれないかな」

 

 「そう言うなよ、俺達の仲じゃないか」


 「君は国王だろ? 国民の言葉はちゃんと聞かないと」


 「普段はちゃんとやってるって、でも今日みたいな日は構わんだろ」


 そんな事を話ながら二人はシルヴィアとリアの元へ向かう。

 そうこうしているうちに、シルヴィアとリア、キャロルの3人の所へ皿一杯に肉料理を乗せたセシルも合流していた。

 

 「シルヴィア様、お久しぶりです。

 と言っても1週間ぶり程度ですが」

 

 「お久しぶりでーす、シルヴィアさまー」

 

 ドレスの裾を持ち上げ一礼するキャロルと、頭だけ軽く下げるセシル。

 その様子にシルヴィアは深々と頭を下げた。


 「お二人の話はリアから聞いています、試験合格おめでとうございます。 

 流石は天使様」


 「その呼び方は恥ずかしいので、止めて頂けると」

 

 「うん、なんかこそばゆいから止めて欲しいなあ」


 「分かりました、お二人がそう仰るなら」

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