祝賀会
試験の合格者の名はその日のうちにグラゼリア国王と、巫女であるシルヴィアの元に書簡で届けられた。
そしてその翌日、合格者の為の祝賀会がグランゼリア城内で行われることになる。
立食形式のパーティー、ブレイブファクトリーの面々は礼服での出席であったが、ファクトリーの女性兵士の玩具にされた、ある三名のみドレスでの参加になった。
「納得いかなーい!!」
「まあ仕方ないわ、私達の礼服は間に合わなかったみたいだし」
「キャロルとセシルは間に合わなかった、そう、そうなの、仕方ないの……でも私は関係ないじゃん!? 礼服も持ってるわよ! なんでドレスなんか!!」
ドレスで参加する事になったのはキャロルとセシル、そして運悪く居合わせたアリーゼの三人。
「ちびっこ共、静かにしてろ。
そろそろ巫女さまと陛下がお見えだぞ」
「しかしですねリア様、アリーゼは——」
「別にいいじゃねえか、似合ってんぞ?」
「はう、リア様に似合ってるって言ってもらえた」
「アリーゼ、照れてやんのー」
「セシル止めなさい」
リアとアリーゼのやり取りに茶々をいれるセシル、そしてそれをキャロルが止めた。
確かにアリーゼが惚れてしまうのも分かるのだ。
礼服に合わせ、髪を整えたリアの姿は凛々しく美しい、その場にいる者、男女隔たり無く見惚れてしまうほどにだ。
まあそれは口さえ開かなければの話だが。
「グランゼリア国王、及び、巫女様のご入場です」
この城の兵士の声で、会場にラッパの音が鳴り響く。
しかし、そのラッパの音は件の王の声によって遮られた。
「待て待て! ラッパだけは止めろって言ってるだろ? 耳が痛いんだよ」
「も、申し訳ありません」
「まあいいよ。
さて、ブレイブファクトリーの諸君、お久しぶりだ。
ああ今日は初めましての方もいるんだったな、俺がグランゼリア国王。
ヴァイツ・エーメリッヒ・グランゼリアである、新たな勇者たちの誕生、嬉しく思う。
長ったらしく上から物を言うのは好きじゃないのでな、挨拶は巫女、シルヴィア嬢に丸投げだ、短い時間だが此度の祝賀会楽しんでくれ、俺からはそれだけだ」
そう言い放った国王はそれだけ言い終わると、早足にルクスの元に歩み寄り、ルクスと肩を組んだ、若干ルクスが嫌そうな表情を浮かべるが、どうやら旧知の仲らしいというのがその様子から見て取れる。
そして国王が去った後にはポツンとシルヴィアが取り残されていた。
そのシルヴィアが手を合わせ、祈るようにお辞儀をすると口を開く。
「陛下よりご紹介にあずかりました、グランゼリア大聖堂にて巫女を仰せつかっております、シルヴィア・プレトリウスと申します。
皆さま、この度はブレイブファクトリーへの入所おめでとうございます、勇敢な皆様に神のご加護があらんことを。
しかし、忘れないでください、人間一人に出来ることには限界があります、どれほどの力を手に入れようともけして驕らず、仲間と助け合い、守りたいものの為に戦ってください、本当は戦ってくださいなどと言いたくはありません、しかし魔王軍の力は圧倒的です。
どうか私達人類に救済を。
神は私に言いました、天使はすでに舞い降りていると。
それがあなた方ブレイブファクトリーの皆さまだと、私めは信じています」




