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試験開始

 そして遂にその日がやって来た。


 本来ならブレイブファクトリー入隊希望者、または推薦された人数が一定を超えた時に限り行われる入隊試験。

 しかし、この度は魔王が停戦を宣言した事もあり、コレを好機とみて戦力増強の為にブレイブファクトリーは人員募集という形で入隊試験を行うと決めた。

 という情報をルクスから各国に報せたのがキャロルとセシルがブレイブファクトリーを訪れた次の日。

 急も急な話しであるし、早々試験にやって来る者達も多くはなかろうとブレイブファクトリーの兵士の面々は思っていた、が。


 「おー、今回も凄い集まったねぇ」


 笑顔でそう呟いたのは、入隊希望者を集めた闘技場の端に設置された演説台の壇上に立ったルクスだった。


 「やあ皆初めまして、久しぶりの方もいるかな? ブレイブファクトリーの総隊長を務めています、ルクス・ヴェルと言います。

 長話は嫌いなんで手短に。

 ブレイブファクトリーに入隊すると言うことは最前線を望むと言うことです。

 理由は問いません、僕達は量産型の勇者なんて言われていますが、結局のところ人間です。

 富や名声、または地位、平和な世界の為になんてのも理由としては有りなんでしょうけど、コレだけは覚えておいて下さい。

 僕達は人類最後の剣であり、盾であらねばならないと。

 後はそうだね、半端な気持ちや、軽い気持ち、覚悟が出来てもいないのに覚悟が出来てるつもりで勇者になるつもりなら、今すぐ帰ってね」


 言葉と共にでルクスが殺気を放ち、壇上から入隊希望者を睨む。

 この時、ルクスの殺気に耐えられず尻餅をつく者や恐怖から気絶する者、果てには失禁する者まで現れた。

 多くが貴族の出身で、戦場では後方でふんぞり返っているような立場の青年達であった。


 「おー、スゲェ殺気、コレも試験のうちなのかねぇ」


 「そうね、敵の殺意に腰を抜かしていては勇者とは呼べないからね」


 キャロルとセシルの姿も試験に望む各国の兵士の中にあった。

 訓練生用の制服に身を包んだ十数名の候補生達の先頭で、ルクスからの殺気に物怖じする事もなく談笑する二人の様子に候補生達は苦笑いだ。

 

 「さて、今日は候補生達の昇級試験も兼ねています、頑張って正規兵に、もっと言えば我々トゥルースの新たな一柱となれることを祈るよ。

 じゃあ皆、頑張ってね」

 

 キャロルとセシルの姿を確認しながら、ルクスはいつものにこやかな笑顔を浮かべると、壇上から降りていった。

 それに続くように今度はリアが壇上に立つ。

 胸の前で腕を組み、肩幅位に足を開き、軽く息を吸いこんだリアは試験の内容を説明し始めた。


 「ブレイブファクトリー副長のリア・ゾルデ・フェルネイトだ。

 ここに集まってるのはほとんどが兵隊だ、今更体力の測定や魔力の測定なんてものはやらん! 十人一組でうちの一人と戦ってもらう。

 侮るなよ? うちの兵隊はお前達より遥かに強いからな?

 こちら側の兵士から一本取れれば、候補生達と同じく俺達トゥルースが相手をする。

 候補生達は1年でお前達がどれだけ戦えるようになったか見てやるから全力で戦え! 組み合わせはその場で呼び出して伝える、早速試験を開始するぞ。

 結界班、多重結界用意、さあ始めようか」

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