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アリーゼ嬢は戦いたい

 「では、参りましょうか」

 

 と、ベルマンを先頭にキャロル、セシル、アリーゼと並んで歩いているわけだが、端から見れば引率の教師に連れられた女児3人にしか見えないのだから、アリーゼの容姿の幼さは相当である。

 しかして四人は目的地の部屋の前へ到着。


 「こちらの部屋をお使い下さい、足りない物は職員に用意させますので……おや?」


 部屋の扉を開け、説明するために振り返ったベルマンは3人がいなくなっている事に気が付く。

 微かに漂う魔力の残滓の固有波形はアリーゼの物。

 どうやらアリーゼがキャロルとセシルを自ら共にどこかへ転移させたようだ。 

 

 「まったく、お転婆はトゥルースになっても治りませんなぁ。 

 はて、何処へ行ったのか」


 困った様子のベルマンだが、こういう時に取る行動は割と限られている。

 

 「ルクス様に報告しておきましょうか」


 さて、行方をくらませた当の女児3人はというと。


 「なんだ、嬢ちゃん、こんな所に連れてきて」

 「ここは外から見えていた闘技場、随分広いのですね」

 「部屋の場所は分かったでしょ? あんた達二人の力を私に見せてちょうだい」

 「なるほど、生意気な年下を躾けたい、と」


 アリーゼがセシルの言いように頬を膨らませる。

 どうやら意地悪をしたいわけでは無いらしい。

 

 「違うもん! 私はただ純粋にあんた達の力が知りたいだけ。

 リア様はこのファクトリーの副長よ、私なんかじゃ到底及ばない高みの存在。

 リア様は誰が相手でも平等に接してくれる。

 老若男女関係無くね。

 そんなリア様に認められたあんた達の力。

 戦士なら試してみたくなるじゃない」

 「脳筋」

 「だっれが脳筋よ!?」


 様子から見るに、アリーゼはどうやらリアに対して憧れ以上の感情を抱いているようだ、リアの事を語るアリーゼの表情は恋する乙女のそれだった。

  

 「試してみたい、か

 分かりました、やりましょう」


 アリーゼの申し出を快諾したのはセシルではなくキャロルだった。

 俄に殺気立つアリーゼ。

 殺気と言うのは適切ではない、闘志だ。

 返事をしてきたキャロルの雰囲気が先程までのおっとりした様子から激変。

 何が変わったかは一般人から見た外見からは判断出来ないだろう。

 キャロルも興味があったのだ、異世界の勇者の力に。


 「まったく戦闘狂はこれだから。

 仕方ないなあ、まあ歓迎してくれてるって事なのかな? 

 それなら無下にも出来ないし?

 お手柔らかに頼むわ」 

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