廊下の喧騒
「私は今年で18!もうとっくに成人してるの!
ハーフドワーフだから身長がちっちゃ、ち、ち、ちっちゃくなんてないんだからね!」
赤髪の少女が言いながら半べそになる。
どうやら身長の事を気にしているのは間違いないらしい。
「いやチビでしょ」
「セシルやめなさい」
「ち、チビって言ったなあ!?」
騒ぎ立てる少女に案内役のベルマンが冷や汗を流しながらため息を吐くと「まあまあ」と赤髪の少女をなだめ始めた。
「アリーゼ、あなたもトゥルースに至った勇者ならもう少し落ち着かないと。
ほら飴玉をあげますから」
「うう……分かった」
ベルマンから飴玉を受け取って頬張るアリーゼと呼ばれた赤髪ツインテールの少女。
その様子はキャロル、セシル、アリーゼと並べて見ても1番アリーゼが幼く見えた。
「こちらのお二方は本日リア様の特別試験に合格なさった、キャロル・リフテル様とセシル・リフテル様です。
そしてこちらが八名のトゥルースブレイブの一人、アリーゼ・テリス、ファクトリー内では大槌のアリーゼなどと呼ばれております」
「え!? リア様が合格者出したの!? 初めてじゃない?」
「妹が失礼致しました。
キャロルです今日からお世話になります」
「同い年位かと思ってましたー、セシルでーすよろしくー」
スカートの裾を持ち上げ、礼儀正しく振る舞うキャロルに対し、セシルは軽く頭を下げて何故か挨拶の言葉が棒読みだった。
「ベルマン私こっちの子嫌い!」
「あたしは好きですよー」
「うるさい!」
ここでキャロルから「いい加減にしなさい」とチョップがセシルの頭頂部に炸裂し、セシルは頭を抱え込む事になる。
ため息を吐くキャロルと冷や汗を流すベルマン、そして半べそのアリーゼ。
これでは話しが進まない、と思ったのか、キャロルは先程ベルマンの口から出たトゥルースと言う単語に対し質問を投げかける事にした。
「トゥルースとはですね――」
「私が教えてあげる! トゥルースってのわね、このブレイブファクトリーで鍛えられたブレイブスの中でも特に力を持つ者に与えられる名、つまりブレイブスの中でも超強い奴の事よ!」
「大筋はその通りです、現在訓練生を除き、ブレイブスの実働在籍者数は500余名、その中から時折現れる突出した力を身に付けた者を真の勇者、意味はそのままですがトゥルースブレイブと呼ぶようにしています」
「なる程、では私達もそのトゥルースを目指して頑張らねばいけませんね」
「詳しくは存じませんが、リア様の剣を受け、ここにおられるお二人なら既にトゥルースの資格があると思いますが」
そんな事を話していると、ベルマンが耳元に手をあてがった。
様子を見るに通信術式を受け取ったらしい。
「部屋の掃除が終わったようですな、ではこれからご案内いたします。
どうぞこちらに」
「私も行く! 暇だし!」
「元気な嬢ちゃんだなあ」




