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増えるちびっ子

 「じゃあベルマンさん、ちょっと二人に隊舎内を案内してあげてくれる?

 僕はその間に角の空き部屋の清掃を頼んでおくよ、終わったら連絡させるから」

 「了解いたしましたルクス様、では食器は他の者に回収させますので。

 では、参りましょうかお嬢様方」

 「はい、お手間かけます」

 「かけまーす」


 と、言うわけでルクスの部屋を出る3人。

 紅茶の香りが残る部屋にルクスとリアだけが残ってお菓子を摘まんでいた。


 「天命の話し、ルクスは信じるのか?」

 「報告の映像にあった、魔族のトラリシア襲来を撃退したのはあの子達だしね。

 あの映像を見る限り、人智を超えた力を持ってるのは間違いないわけだし。

 まあ信じるしかないよね」

 「人智を超える力ねえ、ルクスだって人の域は超えてるけどな」

 「超えてる、かなあ」

 「はあ? じゃなきゃ総隊長なんて務まんねえだろうが」


 すっとぼけた表情のルクスにため息を吐くリア。

 

 二人の事はひとまず置き、隊舎内を案内されながら、キャロルとセシルは念話での会話を開始していた。

 

 「天命とか言って良かったのか? 

 特別視されたくなかったんじゃねえか?」

 「構わないよ、恐らく彼はこちらの事を知っていた筈だしな」

 「ああ、そう言えば報告があったとか、言ってたもんなあ。

 国の重要人物が滞在してる場所が襲撃されておいて、なんの報告も無いわけないか」

 「しかしまあ、シルヴィア様から伝わっているかは別にして、無闇やたらに話して回るような人でもないだろうし。

 私達は私達に出来る事をこれからやっていくだけだな」 

 「まあ確かに、そうだな」

 

 ベルマンの案内も聴きつつ、念話していると、3人の目の前に人影が飛び出してきた。

 もちろん立ち止まる3人。


 「見つけたわ! あんた達ね! 隊舎内をうろついてる子供って!?

 いいかしら! ここはあんた達みたいなちびっ子の遊び場じゃ無いのよ!?」


 ツインテールだった。

 赤い髪、赤い瞳が印象的な小柄な少女が目の前に突然現れた。

 リアと同じく軍服にミニスカートという出で立ちだが、ところどころフリルがあしらわれている。

 転移の術式で出現したところを見ると、実力もありそうだ。


 「まあ確かにあたしら子供だけど。

 そんなに変わらなくない?」

 

 セシルがキャロルと赤髪ツインテールの少女を交互に見ながら漏らした言葉に、少女は顔を赤くした。


 「だ、誰がちびっ子よお!」

 「言ったのはお前だが」

 「止めなさいセシル」 

   

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