盗賊無残
「コイツ! ガキかと思ったが、護衛の魔術師か!?」
馬車の上から飛び降りたセシルに武器を構え、盗賊の一人が後退りしながら言った。
「護衛の騎士さん達は下がってて、巻き込まれて死んでも良いなら話しは別だけど」
「……しかし」
「しかしも案山子もないの、下がってて」
「皆さん、セシル様の言う通りにしなさい」
やはり見た目が幼いからか、騎士達は一様に退こうとはしなかった。
しかし鶴の一声とはよく言ったもので、扉が吹き飛んだ馬車からシルヴィアが言い放つと、騎士達は戦っていた盗賊達をなんとか退け、自らも後退し、馬車の周辺に固まって防御陣形を組んだ。
「オーケーオーケー、それで良い。
じゃあ待たせたわね、サクッと逝きましょうか」
銃を構えるでも無く、歩いて盗賊達の方へと歩いていくセシル。
その無防備過ぎる様に呆気にとられ、盗賊達は攻撃するでも無く、つい目でその様子を追ってしまった。
「どうしたのおじさん達、もしかして、あたしが怖いのかしら?」
状況だけ見てみれば、十数人いる盗賊達の真ん中に一人、子供がぽつんと立っている。
そんな状況で子供から「怖じ気づいたのか?」と言われて激昂しない人間が盗賊なんぞやっていようはずも無い。
「舐めてんのかクソガキ!?」
「手足もいで散々犯してから殺してやるぜえ!」
「泣いても許さねえぞ!?」
盗賊達は怒り狂い、セシルを取り囲んで武器を構え、そして一斉にセシル目掛けて駆け出し、武器を振り上げた。
「安い挑発に乗りやがってよお、三流以下だなあ」
セシルは降ろしていた銃を構え、1番近くで武器を振り上げた盗賊の膝に、先程の熱線ではなく、魔力で編み上げた実弾に限りなく近い魔力弾を放つ。
「ぎゃああ!?」
易々と膝を貫き、セシルの前に跪く形で体勢を崩す盗賊の男、その盗賊に押し当てられる銃口。
盗賊が最後に見たのは口角を吊り上げてニヤリと笑う幼い幼女の姿だった。
「もっと来なさいな!効率が悪いでしょう?」
「言われなくてもやってやるぜお嬢ちゃん!」
一斉に武器を振り上げ、下ろす。
言葉にすればそう難く無いが、示し合わせているわけでも無い。
同時に攻撃しているように見えても時間差は必ず生まれる。
加えて取り囲んでいるとは言え、密集している状況だと刃物や鈍器は振り下ろすか、刺突するかに限られる。
「単純単純! お馬鹿さあん!」
ならばこの後の展開など、銃を手にしているセシルの一方的な殺戮が待っているだけだろう。
迫る刃物を避け、頭の下がった盗賊の眉間に穴を穿ち、セシルを突き刺そうとした刃は空を突いたかと思うと、刃の持ち主はこめかみに穴を穿たれ事切れた。
怯んで後退った者など良いカモだ。
剣や、槍とは訳が違う、射程距離はあるが接近戦の最中に離れる事が出来る距離ではない。
腹、心臓、眉間、綺麗に縦に3つセシルに穴を開けられてお終いだ。
銃には接近戦が出来ない?それは無い、どんな武器も使いようだ。
「じゃあ、ラストね」
「た、助け」
「駄目でえす」
瞬く度に射殺されていく盗賊達。
最後の一人がセシルに両膝を撃ち抜かれ、命乞いをする為に土下座をしたが、その下げた頭に銃弾を2発撃ち込んだことで、盗賊達は全滅した。
「お仕事終了、さあグランゼリアに向けて再出発だ」
「中々の手際ねセシル、いつかあなたとも戦いたいわ」
「よしてよ、あたしはキャロルとは戦いたくないや」




