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それぞれの世界を救い散った男達Ⅱ

 目を覚ましたのは勇者の方が先だった。

 長年身を守ってくれた鎧、最後まで一緒に戦った聖剣。

 相棒とも呼べる二つの装備はどこにもなかった。


 「ここはどこだ、私は魔王を倒してそして私自身も」


 自慢の鎧を貫いた魔剣に抉られた腹部を抑えるが外傷はない。

 辺りを見渡すが辺りには白い石造りの柱しか見えなかった。


 「まさか、ここが死後の世界というのか、思っていたよりも随分殺風景なものだ」


 と、おもむろに振り返った目線の先、男が一人倒れているのが見えた。

 体格の良い筋肉質の男だ。

 気を失っているのか、一向に動く気配のないその男に、勇者は駆け寄る。


 「こんな場所で誰かと出くわすとは、おい。おい大丈夫か!」


 倒れていた男の体を揺する勇者、すると男は目を開けるや否や、飛び起きると自分の腰や胸を触る、何か探しているようだった。


 「銃が無い。どこだここは、あれは、あの魔術は止められたのか。いやその前に、お前はだれだ」

 「こちらが聞きたいくらいだ、確かに私は魔王と戦い、相打ちとなった筈、死んだはずなのだが」

 「死んだ? でもあんたこうやってここに……いや、俺もあの状況で生きてる筈がねえんだ、ってことはここは」


 お互いに警戒を解いた訳ではない、この訳の分からない状況をどうにか把握しようと必死だった。

 既に死んでいる身で必死とはこれいかにといった感はあるが。


 「ようこそおいでくださいましたお二方」


 唐突に響いたその声に、二人はその声のした方に振り向く。

 先ほどまで誰もいなかった場所にふと現れた眼鏡をかけたスーツの男。

 傭兵の男からしてみれば胡散臭いセールスマンのような印象だったが、勇者からしてみれば全く見たことのないその姿には違和感しかない。


 「ここは死後の世界、正確にはその入り口。立ち話もなんですし、とりあえずこちらへ」


 言われるままスーツ姿の男についていく二人。

 どうするかの議論の余地などない、二人が最優先したのが現状の把握だったというだけだった。

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