カルキュレイション ワールド 78頁
禅輝達は縄に縛られ城内を歩く
ーー数分前ーー
両軍を連れて橋を歩くヒバナ
(ヒバナ)「残るは中庭に待機するハツネの兵七百を撃ち破り、鼠王ハツネを倒すだけヒノ!」
意気込むヒバナ
すると禅輝の足が止まる
(禅)「ヒバナちょっと待った!」
(ヒバナ)「⁇」
禅輝の声に立ち止まり不思議そうな顔をするヒバナ
(禅)「俺たちは倒す為じゃなく、ハツネとその兵を降伏させに来たんだ、だからあくまで捕縛を目的としてここまで来た」
(蒼)「そうね、なら倒すじゃなく七百のハツネの兵も捕縛がいいわね」
蒼葉が口を開く
(禅)「だからもう一度俺たちを拘束して敵の兵まで近付いて、油断してる所を攻めれば、相手の半分の兵力差でも上手くいくんじゃねぇか?」
禅輝がヒバナに案を出した
(ガウル)「確かに、こちらには俺を含めオルガ、それに虎王が信を置く使いの者までいるのだ、質なら遥かに上回る」
ガウルが禅輝の案に相槌をする
(ヒバナ)「ん〜…わかったヒノ、兄貴の策に乗るヒノ…ただハツネの居場所がわかっていない今、もし乱戦している所を見られれば城を棄て逃げる可能性があるヒノ、だから乱戦が始まったらオイラと兄貴はハツネを探すヒノ!」
ヒバナが首を縦に振る
(禅)「よし!決まりまだな‼︎頼むぜ蒼葉、キャミィ、ガウル、オルガ!それに鼠兵と犬兵!」
禅輝が檄を飛ばす
(鼠兵・犬兵)「オーーー!!!!!」
一丸となる両軍
(ガウル)「貴様も気を抜くなよ、見掛けはあんな鼠だが、それでもこの国を治める王だ、力は未知数だからな」
ガウルが禅輝と言葉を交わす
(禅)「おう!任せろ!」
ガウルと拳を交わし応える禅輝
(ヒバナ)「ハムス!チュー太!拘束の準備ヒノ!」
ヒバナがに命令を出すと直ぐに準備が整う
一団は再び歩き始め城の扉を開いたーーーー
ーー現時刻ーー
一団は中庭の扉の前に辿り着く
(ヒバナ)「準備はいいヒノね⁉︎」
(禅)「おう!」
禅輝が応え一同首を縦に振る
〝ガチャ〟
中庭の七百の兵たちが一斉にこちらを見る
緊迫した空気の中ヒバナが話す
(ヒバナ)「現在この国を攻撃中の犬王軍の隊長ガウルとオルガを捕縛したヒノ!早急にハツネ様に引き渡したいヒノ!どなたか所在をしないヒノか⁉︎」
その問い掛けにスラリとした体格の鼠が前に出る
(チランチ)「私はチランチ、この部隊の隊長です…ヒバナ総隊長様」
(ヒバナ)「ハツネ様の所在を知らないヒノか⁉︎早急にこの者達をハツネ様に引き渡したいヒノ!」
(チランチ)「…心配には及びません、ハツネ様からは〝もしヒバナが敵の身柄を引き連れて来た時はその場で全て始末しろ〟との伝言を授かっておりましたから」
ハツネの兵たちが武器を構える
(蒼)「あれ…これちょっとヤバくない⁉︎」
蒼葉が汗を流し言った