カルキュレイション ワールド 71頁
禅輝の発言に驚くガウル達
(ガウル)「無血開城だと⁉︎それなりの策があるのか?」
ガウルが禅輝に問う
(禅)「…信頼する仲間があっちにいる…だから俺たち千の兵は一切の武器を持たず侵攻する!」
(ガウル)「馬鹿か黒鉄!これは戦争だぞ!貴様の発言がどういう意味か分かっているのか⁉︎」
禅輝に異論を唱えるガウル
(禅)「…ああ!だから俺は俺のやり方で戦う!それがあのイマクニのおっさんが俺の力量を試す為に与えた課題だろ⁉︎」
(ガウル)「…ッ‼︎確かにそうだが…」
言葉を詰まらせるガウル
(禅)「それにこの侵攻戦が失敗したら俺の命をくれてやる覚悟だ!」
(ガウル)「(それほどの覚悟か…)だが、負けは認めん‼︎これは俺の任務でもある!もし仮に貴様が負けそうな時は俺が全ての鼠を斬るぞ!いいな!」
(禅)「へっありがとよ!」
禅輝は少し微笑んだ
(ガウル)「皆!今回の侵攻戦は一切の武器を使用せず鼠兵の捕獲を意図せよ!鼠兵も我等も血は絶対に流すな!よいな!」
(犬兵達)「ウオーーーー‼︎‼︎」
ガウルの号令により犬兵の士気が上がる
(オルガ)「よいか皆の者!城外西の海岸へ向かえ!犬王様が直々に手配して下さった船団が準備されている!直ちに進軍開始だ!」
オルガも指揮をとり千の犬兵が進軍を開始する
(ガウル)「さぁ、我々もいくぞ黒鉄!」
ガウルが禅輝を誘導する
(禅)「おう、けど助かったぜ、てっきりシャルドネ港からの船かと思ったからよ」
(ガウル)「確かに…ならば今回は黒鉄に対する犬王様の計らいと思い此度の戦では成果を出す事だな」
(禅)「へっ!言われなくても!」
禅輝達は足を進めながら話して行くと船が姿を現した
(禅)「へえ〜流石犬王様だぜ!」
目の前には立派な船が三隻ありそれぞれに犬兵が乗り込んでいく
(ガウル)「当然だ、アレは犬王国本軍が使う最高の大戦艦〝ロワイアル〟だからな、犬王様に感謝しながらとっとと乗り込め」
(禅)「よっしゃ‼︎気合い入るぜ‼︎」
禅輝達は船に乗り込んだ
すると直ぐ様錨が上がり船は順調に進み始め沖へと向かう
途中巨大な橋の下を通る船
(禅)「な…なんだこの橋⁉︎すげーでけぇ」
(蒼)「なんて立派な橋…」
橋を見上げながら驚く禅輝と蒼葉
(ガウル)「この橋が〝クレアシオンベルク〟に繋がり、〝マセン地方〟への交通路だ」
(禅)「……(クレアシオンベルクか…)」
禅輝は橋の向こうに霞む山クレアシオンベルクを見つめていた
(蒼)「あっ!あれ〝シャルドネ港〟じゃない⁉︎」
蒼葉が指差す港があった
(ガウル)「航路は同じだからな、当然シャルドネ港も通る」
すると二隻の船とすれ違いそれらはシャルドネ港を目指す
(ガウル)「無事に帰還したか」
(禅)「あの二隻がどうかしたか?」
ガウルに問いながら禅輝が二隻を眺める
(ガウル)「メープルとラニアンの船だ」
(禅)「おお!メープルか!ちゃんとモグリ村に伝えてくれたかな?」
(ガウル)「その事だか、忙しく忘れていたが、メープルから報告を受けていたぞ〝モグリ村は平和を取り戻せた〟とな」
(禅)「そうか、なら良かったぜ‼︎ありがとよガウル」
(ガウル)「俺に言うな、今度直接会って伝えればいい、だがその為にもこの戦勝つぞ、黒鉄!」
(禅)「おう!」
気合いを入れ直し禅輝達を乗せた船は鼠王の国へと向かう