カルキュレイション ワールド 69頁
切り裂かれた騎士はその場に崩れ落ち水へと戻り床を濡らす
（禅）「よしッ！次は包帯野郎‼︎」
勢い付く禅輝
しかしオルガは冷静に次の一手を放つ
（オルガ）「ネロバイソン‼︎〝水闘牛〟」
オルガは水から猛獣を造り出し禅輝へと向かわせる
（禅）「くそっ！またかよ‼︎」
禅輝も勢いを緩める事なく走り出す
（オルガ）「（………バイソンの巨体とスピードを正面から受けるか…）」
オルガはじっと禅輝を見つめる
禅輝は走りながら刀を投げ捨てた
（イマクニ）「（素手でいくか…‼︎）」
犬王も禅輝を見つめる
（禅）「オォォォォォォォ‼︎‼︎」
禅輝は声を荒げ右拳に憑神を纏いバイソンの突進と衝突した
（禅）「ぐッー‼︎‼︎（さすがにヤベェ…‼︎）」
次第に押され始める禅輝
（蒼）「禅輝‼︎」
蒼葉が叫ぶ
（禅）「（そうだ…こんな所で…！）負けてられねぇんだよーー‼︎」
禅輝はバイソンを押し返し憑神を纏う拳が熱を持ち赤く光る
（禅）「爆衝・紅蓮拳‼︎」
禅輝の拳がバイソンを貫き爆発を起こす
（一同）「ー‼︎‼︎‼︎」
戦いを見届けていた全ての者が驚愕した
玉座の間には雨が降る
（オルガ）「（コイツ…‼︎）」
オルガの目の色が変わる
（イマクニ）「ー‼︎」
それに気付く犬王
（禅）「行くぜオルガーー‼︎」
禅輝はオルガに向かい走る
（オルガ）「（この人間は…）」
オルガは右の手の平に水を溜める
駆け寄って来る禅輝
（オルガ）「（生かしておいては…）」
手の平の水が薙刀へと形を変える
禅輝はオルガへ走りながら拳を構える
（オルガ）「（危険だ‼︎）」
オルガも薙刀を構え打って出た
（イマクニ）「オルガ‼︎‼︎…あの馬鹿者ッ‼︎」
犬王がオルガを止めようと叫ぶ
しかしオルガには犬王の言葉が届いていない
（オルガ）「（消えろ…黒鉄禅輝‼︎）滅殺！ネロ・ド…ッ‼︎」
（イマクニ）「水重縛手‼︎」
犬王が叫ぶと走っていたオルガの身体が前に倒れる
（イマクニ）「そこまでだ二人共…黒鉄禅輝、お前の実力は計らせてもらった…明日は戦だ、今日はゆっくり休め」
オルガは立ち上がり玉座の間を後にする
（禅）「（おっさん何したんだ…）」
すれ違うオルガを感じながら犬王を見つめる禅輝
（ガウル）「黒鉄行くぞ、案内する」
ガウルに言われ禅輝達は玉座の間を後にする
ーー玉座の間ーー
〝バタン〟
禅輝達が部屋を出る
（チャチャ）「…犬王様、いかがでしたか人間は？」
老犬が犬王に話しかける
（イマクニ）「チャチャか、正直驚いている…オルガを本気にさせる程の実力を付けているとはな」
（チャチャ）「同感ですな、それに玉座の間をこんな水びだしにしようて」
そう言うとチャチャは身体を赤らめ始めた
（チャチャ）「炎霊・熱火干し」
急速に部屋の中が暑くなり濡れていた天井や絨毯が乾く
（イマクニ）「すまんなチャチャ」
犬王が礼を言う
（チャチャ）「当然の御役目、ついでにこの刀もガウル殿に渡しておくとするかの」
（イマクニ）「いや、それは明日の朝オルガに渡させる」
（チャチャ）「ではオルガ殿に」
そう言うとチャチャは玉座の間を出て行った
〝バタン〟
（イマクニ）「フゥ、さてお前は何処にいる…仁…」
犬王の眼は遠くを見つめていた
