カルキュレイション ワールド 42頁
八戒率いる集団は森の中へと進む
(禅)「なぁマントの兄ちゃん、そのブドウってのはどこに居んだ?」
(猪兵)「無礼な奴だ!フドウ様だ!それに少しは口を謹め!自分の立場を弁えろ!人間!」
猪兵が叱咤する
(禅)「悪りぃ悪りぃそんな怒んなよ、同じ景色の森の中だから飽きちまってよ」
(八戒)「…フドウ様は〝ボルブドゥール遺跡〟に居られる、そこが我が猪王軍の本拠地に当たる場所だ」
(禅)「この世界には遺跡もあんだな」
(猪兵)「ほら、見えてきたぞ」
八戒達の進む先に崖の様に高い木の柵が見えてきた
(猪門兵)「八戒様お疲れ様です」
門の猪兵二匹が扉を解放し中へと進む
禅輝は辺りをキョロキョロ見渡す
柵の内側には中心に石造りの巨大な遺跡が建っておりその周りには木造の住居らしき物が点々と建っている
(禅)「でけぇー遺跡だなぁ!教科書で見た〝リンカーン記念堂〟みたいだな!」
(猪兵)「何をワケの分からん事を言っている、フドウ様の目の前だ口を謹め!」
八戒はその遺跡の前で止まり猪から降り頭を下げ膝をつく
(八戒)「八戒ただ今戻りました」
すると遺跡内部の巨大な椅子に座る年老いた巨大な猪が口を開く
(フドウ)「連絡は受けている…八戒頭を上げろ…」
(八戒)「ハッ‼︎」
(フドウ)「して…用件はなんだ…」
(八戒)「ハッ‼︎この者がどうしてもフドウ様と話がしたいとの事で連れて参りました、さぁ人間、話を聞かせて貰おう」
(禅)「すげぇ〜デカさだな…」
呆気に取られている禅輝
(猪兵)「オイ人間‼︎聞いているのか⁉︎」
(禅)「あぁ悪りィ、あまりの大きさなもんで…」
(フドウ)「それで…貴様は何しにここへ来た…」
(禅)「……取引がしたい」
(フドウ)「取引…?」
(禅)「あぁ、あのカトレア海岸くんねぇかな?」
(八戒)「貴様ァ‼︎ふざけるな‼︎」
八戒が怒号を飛ばす
(フドウ)「落ち着け…八戒…」
(禅)「見ての通り俺はこの世界のアニマって種族じゃねぇ、だから俺は元いた世界に仲間と帰る為に〝鼠王〟ハツネとの情報の提供と引き換えに、あのカトレア海岸の侵攻を命じられて来たんだけどよ…俺は力で奪っちまったらまた新しい争いが生まれちまうと思う…だから取引してくれ‼︎」
禅輝は手を縛られながら牢から頭を下げた
(フドウ)「貴様名は?」
(禅)「黒鉄禅輝」
(フドウ)「……貴様にカトレア海岸を譲渡しよう…」
(禅)「⁉︎」
(八戒)「フドウ様⁉︎」
(フドウ)「儂にとって国とは家族…この国の者全てが安心して生活を送って貰う様に勤め上げるのが、この国の王…猪王の役目…だが儂は既に老体の身…次期猪王に八戒を推奨している…だがコイツはマジメ過ぎる…今回も敵を儂の前にまで侵入を許してしまう……条件は2つ…向こう十年、鼠王の軍は猪王領内への一切の立ち入りを禁ずる…そして…人間…貴様がこの国の王位継承者となる事…」
(禅)「えッ…⁉︎」
眼を丸くする禅輝




