カルキュレイション ワールド 38頁
禅輝達の船団は真っ直ぐにイウン地方へ進む
(禅)「おっ!霧が晴れてきたな」
禅輝が辺りを見回す
(蒼)「見て!海岸が見えるわ‼︎」
蒼葉が指差す
その時一本の矢が蒼葉達の舟に刺さる
「敵にバレてるヒノ〜ッ‼︎」
ヒバナが他の船団に声をあげ知らせる
ーーカトレア海岸ーー
崖の上の物見櫓で海を監視する2匹の猪兵
(猪兵A)「ん⁉︎何だあの船団は?」
(猪兵B)「隣国の鼠がまた来たか?ん⁉︎人間も乗ってるぞ‼︎」
(猪兵A)「敵襲ーッ‼︎敵襲ーッ‼︎手の空いている者は海岸へ!2時の方角の敵船団に備えよ‼︎同じく放射部隊は威嚇し!連絡班は〝八戒〟様に至急連絡急げ‼︎」
海岸が猪兵の往来により目まぐるしくなる
ーー沖合船団・禅輝舟ーー
船団に向けられ降り注ぐ矢
(ヒバナ)「これじゃあ上陸前にハリネズミになっちゃうヒノ!」
(蒼)「確かに近付けないわね…禅輝何か方法はないかしら?」
(禅)「しょうがねぇ!こうするしか無いな‼︎」
〝ザバーン〟
禅輝は海に飛び込み
(禅)「オラァ‼︎」
舟をひっくり返した
キャミィは即座に蒼葉達の舟に飛び移ったが一匹の鼠兵は海に落ちた
(禅)「よし蒼葉!コレを盾に進…」
(蒼)「イヤよ‼︎濡れちゃうじゃない、アンタ先行って敵を黙らせて来てよ」
(ヒバナ)「鬼ヒノ…(汗)」
(禅)「ったくわがままな奴だぜ!しょうがねぇこのままじゃ俺も風邪引いちまうからとっとと片付けるか!」
そう言って禅輝は単身舟を盾に突き進み崖の脇にある砂浜に上陸し舟を棄てる
降り注ぐ矢を掻い潜りながら横目で矢が刺さった舟をみた
(禅)「あの舟が無かったら今頃死んでたな」
禅輝は目線を崖の上に移すと脇に階段が有るのに気付き矢を避けつつ階段を上って行く
ーー沖合・船団ーー
沖から見届けるヒバナ
(ヒバナ)「やったヒノ!兄貴が無事にカトレアの村に侵攻したヒノ!」
(蒼)「よし!禅輝に注意が払われている内に私達も上陸するわよ!」
そう言って蒼葉達も舟を進めた
ーーカトレア村・階段ーー
階段を駆け上がる禅輝
最上部から禅輝を狙い矢を放つ猪兵2匹
(猪兵A)「これほどの矢を躱すとは…しぶとい人間だ‼︎」
(猪兵B)「八戒様の到着までに仕留めるぞ!」
腕に憑神を纏わせ矢を躱しながら最上部の猪兵2匹を通り過ぎる
(猪兵B)「待てッ‼︎人間‼︎逃さな…⁉︎おっ、おいまさか⁉︎」
振り返った猪兵の背後に禅輝の姿があり猪兵2匹を階段から突き落す
(猪兵A・猪兵B)「うぁぁぁぁぁぁ…」
猪兵達は砂浜まで転がり落ちていった
(禅)「いちいち相手してられねぇんだよ」
階段下を見ながら呟いた
(猪兵)「おぃ!沖合の船団は放っておいて、手の空いている者は海岸の援護へ向え‼︎」
遠くからこちらに増援の来る声を聞いた
(禅)「ヤベェ、早いとこ見つけねぇと」
そう言って禅輝は村の中に消えて行った




