カルキュレイション ワールド 34頁
ヒバナは玄関を開け中に入る
(ヒバナ)「ただいまヒノ〜‼︎」
奥の暖簾から母鼠が玄関に歩いてくる
(鼠母)「お帰り…あら、逞しく成長して!ん?お客さんかい?アンタ達そんなトコに居ないで内入り!」
(ヒバナ)「さぁ入ってヒノ!」
禅輝達は誘導されるがまま客間に通された
(コバナ)「お帰り〜兄ちゃん」
そこには鼻を垂らすヒバナの弟がいた
(ヒバナ)「元気にしてたかコバナ?」
(コバナ)「うん‼︎」
(鼠母)「はいはい!積もる話は後にしてご飯にしましょ!」
全員大きなテーブルに座ると使用人達が料理をはこんできた
(禅・蒼・キャミィ)「いっただきま〜す‼︎」
禅輝達はご飯に夢中になる
(鼠母)「部屋なら幾らでもあるからゆっくりしていきなよ、お風呂もあるからね」
(蒼)「本当何から何までお世話になります」
それから禅輝達はそれぞれ入浴を済ませ部屋で寛ぐ
禅輝はベッドで憑神を纏わせた腕を眺める
(禅)「(最初の頃より使い慣れて範囲が広がったけど、まだまだ仲間を守れない…)」
禅輝は思い悩んでいる内に眠っていた
ー真夜中アルゴス城・玉座の間ー
(蛇兵)「ヒュド様、コブラ部隊が到着しました」
伝令役の蛇が言う
(ヒュド)「お前達、待ちくたびれたぞ」
ヒュドの前にはいかにも屈強な蛇の戦士が三匹立っている
(エキドナ)「我々コブラ部隊を呼び戻すなんてよっぽどな事がお有りで」
細身の女性蛇が口開く
(ヤクルス)「タイミング悪いのォ、折角あの〝リンド〟の首を持ち帰れたのにのォ」
槍を持つ巨体な蛇男
(オロチ)「………」
迷彩ローブに包まれた蛇男
(エキドナ)「おゃおゃヤクルス、兵達を置いてあんただけ敵陣に突っ込んでる噂を聞いたが、もう少し戦況を見渡して味方の被害を減らしなさいよ」
(ヤクルス)「ワシについて来れん、弱卒など足手纏いなだけだ!」
(エキドナ)「部隊長が兵を足手纏い呼ばわりするとは何事ぞ‼︎」
(オロチ)「おぃ!お前達ヒュド様の前だぞ!」
オロチが一喝する
(エキドナ・ヤクルス)「⁉︎」「…‼︎」
口を紡ぐ二人
(ヒュド)「やれやれだな、まぁよい…お前達をわざわざ呼び戻したのはまず〝馬王〟を落とす為」
(エキドナ)「しかしそれでは〝龍王〟軍が攻めてくるのでは⁉︎」
(ヒュド)「その為に〝リンド〟の首を取らなかったのさ、軍に深手を負わせ、あっさり引き返せば暫くは警戒するだろうからね…〝我々にはリンドなどいつでも落せる〟と思わせる為にね、仮にリンドの隊を落としても別の隊が直ぐに駆けつけて補っちゃうからね、故に一度引くのが効果的」
その事を聞きローブの男は
(オロチ)「承知…我らコブラ部隊は馬王の領土へ侵攻する‼︎」