カルキュレイション ワールド 22頁
地下は電気が通っており簡易的な灯りがともされていた
階段を降りた禅輝達の先は丁字路に分かれている
(禅)「右か左どっちにいくかだな」
(キャミィ)「ねぇ禅輝、左から微かに話し声が聞こえるわ」
キャミィの耳が反応する
(禅)「ありがとなキャミィ、ならまずは左に行ってゴロンをとっちめるか」
禅輝達は左の道を歩いていく
暫く進むと半開きの扉があり声はそこから聞こえてきた
禅輝達は隙間から中を覗く
部屋の中には背中に岩を付けた鼠が二匹と椅子に座った蛙が話していた
(蛙兵A)「山岳に入った者共はしっかり追い払ってるゲコか?」
(ゴロンA)「それが今回は転がした岩石を粉々に砕かれまして追いはらいようが無いッチュ!」
(蛙兵A)「貴様らそれでノコノコ逃げ帰ってきたゲコか‼︎誰かにこの場所がバレたらどうするゲコ‼︎この役立たず共‼︎」
蛙は舌を鞭の様に使い二匹のゴロンを打つ
(ゴロンA・B)「キュー…」
二匹のゴロンは身体を丸くして耐えている
それを覗き見していた蒼葉が我慢の限界に来た
(蒼)「何よあの蛙!あんな可愛い鼠ちゃんをいじめて!」
(禅)「おぃ蒼葉、早まんなっ…」
禅輝の言葉も届かぬ間に蒼葉は扉を勢いよく開け
(蒼)「ちょっとアンタ‼︎こんな可愛い鼠ちゃんを苛めて許さないわよ‼︎」
蒼葉の侵入に驚きゴロンを打つのを止めた蛙
すると直ぐさま
(蛙兵A)「ゲコッ⁉︎侵入者ゲコー‼︎」
仲間の蛙が異常を察し駆けつけて来た
禅輝達のいる通路の両側が蛙に塞がれる
(禅)「挟まれたな…蒼葉は部屋の蛙を頼む、俺は左を片付ける」
(キャミィ)「ならアタシは右ね」
部屋に一匹両側に二匹ずつの計五匹
(ヒバナ)「みんな頑張るヒノよッ‼︎」
(禅)「よっしゃ!いくぜ!」
動き出したのは禅輝だった
それを見て禅輝の正面の蛙が二匹同時に禅輝目掛け舌を伸ばす
禅輝はその二つの舌をすんなり躱し二匹の蛙の懐に入り込み二匹の蛙に拳を入れた
(禅)「よしッ!一丁あがり!」
禅輝は後ろを振り返りキャミィを見ると通路両壁に蛙が減り込んでいた
(禅)「やっぱり強いなキャミィ!」
(キャミィ)「でしょ〜これくらい朝飯前よ」
キャミィは両手を頭の後ろに回し余裕な表情だった
(禅)「さて、あとは蒼葉だな」
禅輝達は蒼葉のいる部屋に駆けつける
(ヒバナ)「姉貴頑張れー‼︎」
ヒバナが扉の外から蒼葉を応援していた
禅輝が中の様子を見ると蛙の舌が蒼葉の憑神の弓に巻き付いている
それを引き離そうとする蒼葉
禅輝達に気がつく蛙
(蛙兵A)「ゲココッ⁉︎警備兵はどうしたゲコか⁉︎」
(キャミィ)「仲間の蛙なら倒しちゃったわよ」
(蛙兵A)「(こいつら強いゲコ…)」
少し間が空き分が悪いと感じた蛙は長い舌を離す
すると蛙は頬を膨らまし
(蛙兵A)「水連鉄砲ッ‼︎」
勢いよく無数の水のつぶてを吹き出す
禅輝は咄嗟に蒼葉とキャミィの腕を掴み部屋の外に引っ張りだした
水の弾は扉に穴をあけ壁は削られていく
(蒼・キャミィ)「助かったわ禅輝」「ありがとう」
部屋は静かになり沈黙が走る
直ぐ様禅輝が部屋の様子をみると蛙の姿は消えていた
(禅)「クソッ!逃げられたか…」
部屋の隅にはゴロンが二匹怯えていた




