カルキュレイション ワールド 17頁
真夜中
ーーアルゴス城ーー
(蛇兵)「報告ッ‼︎」
(???)「何だ騒々しい…」
椅子に座る黒い影
(蛇兵)「ノベア地方の牛王の領土が陥落しました‼︎」
(???)「ほぉ、牛が落ちたか…でどこの国が仕掛けた…?」
(蛇兵)「犬王の部下が領土を治めた様です」
(???)「犬め…均衡を崩したな…恐らく他の国も動くだろう…各地で荒れるな…」
(蛇兵)「それともう一つ、先の戦いは人間が絡んでいた様です」
(???)「またしても人間か…至急各地のコブラ部隊を集結させろ…我々も動くぞ」
朝がくる
禅輝達は仕度を終え宿の外にいた
(禅)「よしッそれじゃまずグランっていう町に向かうか!」
気合い充分な禅輝
(蒼)「ここから真っ直ぐ南へ、草原を抜ければ着くのよね?」
(ヒバナ)「今からならお昼頃には着くヒノ、みんなついて来るヒノ」
歩き出し先頭で道案内をするヒバナ
ムルエの町周辺の道は整備されていて歩き易くなっていたが町から離れるにつれて道に雑草が目立ち始め気が付いた頃には辺りは草原だった
(蒼)「思ってた以上に広い草原ね、辺り一面草だわ」
先の見えない景色に少し肩を落とす蒼葉
(ヒバナ)「気を引き締めるヒノ、この辺りはごろつき〝ピューマ〟が群れで行動してるヒノ」
(禅)「あれの事か?」
禅輝が指差す
その先には灰色の毛色をした4匹の犬がこちらを窺う
(ヒバナ)「逃げれは背を襲われるヒノ、自分達は強いぞ、って相手を威圧しながら進むヒノ」
ヒバナが先頭を歩いて行く
ピューマ達を通り過ぎようとするがピューマが一斉にヒバナ目掛け走り出した
(ピューマ)「ガウガウガウガウガウッ‼︎」
(ヒバナ)「ひ〜やっぱり無理があったヒノ〜」
逃げるヒバナ
しかし2匹のピューマが口を開きヒバナに飛びかかる
(禅)「憑神…」
禅輝は拳を硬めピューマの両口に突っ込んだ
ピューマの牙は折れ目は潤んでいる
(ヒバナ)「兄貴ぃぃぃ‼︎」
ヒバナの目も潤んでいる
4匹のピューマは逃げる様に草原を去って行った
(蒼)「アンタそれだいぶ使い慣れたんじゃない?」
蒼葉が禅輝の手を見て言う
(禅)「あぁこれか、発動させる感覚は何となく掴んできたんだけどよ、まだ持続時間が短くてよ」
禅輝の拳が次第に戻っていく
(ヒバナ)「けど兄貴はすごいヒノ、神の力を宿してあの牛王まで倒すだなんて流石はオイラの兄貴!」
目を輝かせるヒバナ
(蒼)「アンタ昔からケンカだけは強かったからね、まぁその調子でこれからも頼むわよ」
人間離れの禅輝に呆れながら歩みはじめる蒼葉
(ヒバナ)「ちょっと姉貴オイラが先頭ヒノよ」
ヒバナは駆けて先頭に立ち再び禅輝達は進み始めた
どれ位歩いただろうか禅輝達は変わらぬ景色に飽きと疲労感が見える
(蒼)「まだなのヒバナ〜」
蒼葉は少し後ろを歩いていた
(ヒバナ)「お日様も真上まで上がって来たヒノもうすぐヒノ」
(禅)「蒼葉早く来ねぇと置いてくぞ」
禅輝も少し息が上がる
その時
(ヒバナ)「ピューマだヒノッ‼︎」
ヒバナの目線の先にはさっき追い払ったピューマが仲間を連れて戻って来た