カルキュレイション ワールド 160頁
冴刃の造った大岩の小屋と海岸を背に禅輝は森の中に居た
”ビービービー“
無線が鳴り応答する
(禅輝)「…わかった…俺も向かう」
短く答え無線を切る
ーー馬国·ネスタ高原ーー
マシューの姿は無く蒼葉達はゴルシップ城を後にし羊国へと向かう
(蒼葉)「ねぇエアル、ここ一帯畑が広がっているけど何を収穫してるの?」
(マシュー)「霜降り葉草だ、すごく冷たい木ノ葉の様な草だが、粉末にすれば解熱になり、葉のままでも保冷として使えるの」
(蒼葉)「へぇ〜便利ね、それとあの綿のようなものが浮かんでるけど、なにかしら?」
(エアル)「ここは自然豊だからね生命が躍動している証、自然エネルギーの濃い地域には綿のような“フェアリーコットン”が漂う特徴があるのよ」
(蒼葉)「フェアリー?つまりここにも精霊が宿っているのね」
(カンタク)「エアル様、この地の精霊解放の件ですが国の人事が終わり次第のマシュー様が
合流次第で話を進めますがよろしいですかな?」
(エアル)「えぇ、構わないわ」
(カンタク)「感謝いたします」
(八戎)「精霊の解放は力を得る代わりに今程の土壌ではなくなると言う事」
(蒼葉)「私のこの力もあの場所から水源を奪って得たって事ね…」
(ヤマト)「だからこそ精霊を失ってでも今後の蛇国が豊になれば報われるな」
(エンマ)「龍王が統治しとるなら心配はいらんき、奴は民を重んじちょるからの」
ハツネの引く鼠車に乗るエンマが話す
(五十嵐)「そんで、馬国を治める羊さんの国はいつ着くんだ?」
(ボレロ)「この先の竹林を抜ければ国境最後の街”アドマ“になります」
(五十嵐)「それなら早くとこ竹林を抜けて“アドマ”で休憩だな!一面草ばっかで飽きちまったぜ」
一行は談笑しながら街道を進む
正面から黒いローブが歩いてくる
鼠車がすれ違う
“カチャ”黒いローブが長い太刀を抜く
(???)「抜刀術·居合一閃…」
”スパーン“
鼠車の荷台の上部が真っ二つに斬られる
(蒼葉達)「ー!!」
(エアル)「エンマ様!」
(エンマ)「殺気がダダ漏れじゃからのぉ、あれくらいどうてこと無いきぃ!」
(ハツネ)「(ヒェェェ…)」
身を屈め慄くハツネ
(エンマ)「さて、奇襲とはどういう了見かのぉ?六武神“武蔵”」
黒いローブのフードを外し
無精髭のサムライが素顔を晒す
(武蔵)「いやぁ驚いた、あれで無傷なんて自信なくすなぁ…あっそうそう人間の一行が力をつけすぎてるって白鳳様が危惧してるもんでね出向いたって話なのよ」
エンマは天賦十手を構える