カルキュレイション ワールド 13頁
全身に闘気を纏う狼
(モウシン)「増強丸か、一時的に攻撃力を倍増させる秘薬か…少し厄介だな…」
深く息を吸い込む牛王
(狼)「これで決めるッ‼︎」
牛王に向かい狼が駆け出した
(モウシン)「応身牛…」
牛王は目を閉じその場に動かない
狼は牛王にギリギリまで近付き目の前で態勢を落とし上へと蹴り上げ空中に舞い上げた
(モウシン)「クッ…」
牛王の表情が歪む
すかさず狼も舞い上がり牛王の頭上を捉え鎖を勢いよく手繰り寄せ大鉈を掴む
(狼)「破追!」
狼が牛王を斬りつけた
牛王は斬られた勢いで地面に叩きつけられた
(モウシン)「グフッ‼︎」
砂埃が舞う
砂埃で姿は見えないが狼は全身の白い闘気を両手に圧縮し牛王目掛け放つ
(狼)「摩天狼ッ‼︎」
辺りはより激しく砂埃が舞う
(蒼)「す…すごい…やったんじゃない⁉︎」
狼の姿は戻っており地上に降りてきた
(狼)「(さすがに増強丸と摩天狼は負担がデカイな…)」
砂埃が晴れていく
だが牛王は肩から胸にかけ出血していたが立っていた
(モウシン)「フゥーーーッ‼︎」
牛王は大きく息を吐き出し目を開く
(狼)「倒れないか…」
狼も辛い表情を見せる
(モウシン)「この応身牛は体内に空気を留まらせ外部からの打撃を吸収し和らげることができる…まさか斬撃が来るとは思わなかったがな…」
牛王は狼に近寄る
(狼)「(ここまでか…)…⁉︎」
狼が諦めかけたとき牛王の後ろで禅輝が立ち上がった
(禅)「何弱腰になってんだよ狼野郎…ここからが本番だろ」
禅輝の両拳を黒い闘気が纏っている
(蒼)(ヒバナ)「禅輝ッ‼︎」「兄貴ッ‼︎」
(モウシン)「貴様ら諦めが悪いな…」
牛王の両拳に白い闘気が纏う
動き出したのは狼だった
大鉈を地面に当てながら火花を散らし走っていく
(狼)「火狼炎ッ‼︎」
斬り上げた大鉈は炎を纏っている
牛王は素早く後ろへ躱し身を低くしガラ空きの狼の腹部を狙う
しかし牛王の背後から
(禅)「俺は警戒心無しかよッ‼︎」
(モウシン)「人間の拳など猛血行を施している今の俺には無意味だ…」
背を向けている牛王にそのまま禅輝が拳を繰り出す
(禅)「オラァァァァァァァッ‼︎」
牛王を地面に叩きつけた
(モウシン)「ガハッ…⁉︎(バカな⁉︎何て力だ…)」
うつ伏せの牛王を通り過ぎ禅輝は狼の前に立つ
(禅)「蒼葉達を守ってくれてありがとよ!」
(狼)「俺は命令に従っているだけだ…後は牛王さえ倒せればそれで良い(こいつの力…)」
話終えたところで牛王が立ち上がった
(モウシン)「人間…貴様も特別な力があるようだな…油断していた…」
(禅)「タフな野郎だな…だがそろそろ終いにしようぜ牛王」
(狼)「人間、牛王を狙うのはいいが俺の足は引っ張るなよ」
(禅)「それはこっちのセリフだ、行くぜ狼ッ‼︎」
禅輝と狼は駆け出した
牛王は両手を手刀の形にする
(モウシン)「猛沢刀」
牛王の指先から肘までが再び白い闘気が纏う