カルキュレイションワールド 128頁
朝日が禅輝の顔に降り注ぐ
(禅)「うっ…う~……はっ!痛てっ…ててて…此処は何処だ?俺は死んだのか?」
ベッドで身体を起こす禅輝
(冴)「ここが天国に見えるか?」
(禅)「ん…?けどよぉこの世界のアニマが気絶すると消滅しちまうからてっきりそうだと思ってたんだかよ」
(冴)「あれはアニマにもしもの時にこの世の麻酔銃みたいのが効果がなかったら困るからよ、予め気絶で消滅する様にアニマにだけプログラムしておいたのよ」
(禅)「なるほどな!いや~命拾いしたぜ」
(冴)「それよりお前が寝てた二日間で動きがあったぞ」
新聞を指差す
(禅)「二日!?蒼葉や八戒は無事か!?」
(冴)「そぅ焦るな、それも含めて説明するが、やはり白鳳の言っていた通り〝犬国〟が〝鶏国〟と白鳳によって落ちたのは事実だ、その後〝犬国の国王雨流イマクニ〟と〝元大将軍氷拳のレトリ〟が捕縛され犬国の残党は元鼠国の領土ラットキャッスルまで兵を引いたみたいだ」
(禅)「くっ…白鳳…」
(冴)「それと蛇王の領土では馬羊連合軍が戦闘を起こした、目的は味方の解放だろ」
(禅)「馬と羊ったらドサ地方の国か」
(冴)「それに対する蛇はマセン地方…その蛇の領土〝アルゴス城〟付近で八戒が捕縛されたらしい」
(禅)「ー!!八戒が!?蒼葉は無事か!?」
(冴)「そこまでの情報が無いのは無事の証だ」
(禅)「こうしちゃ居られねぇ!早く向かうッ…イテテッ」
起き上がろうとするが動けない禅輝
(冴)「無茶はするな、そんな身体ではかえって足手まといだ」
(禅)「くそッ…」
(冴)「まぁ身体が治るまでの時間、ただ待ってるのも無駄だからな、少し〝アバター(憑神)〟の使い方を教えておいてやる」
(禅)「…?」
(冴)「イメージしろ、神に憑かれた心の中にお前特有の神が〝箱〟に入っているとする、まぁその神を俺達はアバターと呼び、その力を総称して〝神術〟と呼んでいる」
(禅)「…」
(冴)「そしてその箱から滲み漏れ出ているアバターの力を〝波〟と言っているが、お前はそれを腕に纒い硬化している」
(禅)「あぁ…」
(冴)「その波にも使い方が様々あってな、既に使っているみたいだが、その波を触れる物体に影響を与える事を〝伝波〟、手を離してもその影響を維持させる事を〝留波〟、一点に波を集中させて密度を上げる事を〝渦〟、属性や性質を転換させる〝転波〟と言ったり、まだまだ色々な〝波〟の応用がある」
(禅)「知らず知らず色々やってたもんだな」
(冴)「さらに漏れ出る箱の波だけではなく、その箱の怪物を解放すれば100%の力を引き出す事もできる」
(禅)「100%の力か…おっちゃんは〝サイバー〟ったっけ?」
(冴)「あぁ、これだな」
冴刃は左腕を0と1のデータに変えた
(冴)「触れる物のデータの構築や分解ができる能力だな」
(禅)「山で闘った熊の時に見た氷の力は別なのか?」
(冴)「あれは〝精霊術〟だな」
(禅)「精霊?」
(冴)「まぁ略して言えば〝霊術〟…この世界には五大属性の精霊が複数各地にいてな俺の氷は〝水霊〟と〝風霊〟を体内で〝霊結〟させる事によって生まれる」
(禅)「………頭がついていけねぇ」
頭を抱える禅輝
(冴)「とにかく、今は精霊術よりさきに〝波〟のコントロールとお前のアバターの解放を訓練する時だな」
禅輝は瞳を閉じ過去の闘いを振り返る
そしてゆっくり目を開ける
(禅)「……おう!」
禅輝は拳を強く握る