カルキュレイション ワールド 11頁
禅輝達は倒れているコウテツの脇を通り石柱にある扉を開ける
中は結構な広さがあり、禅輝達から20メートル程先の椅子にはコウテツ同様に黒く今までの牛達より細身な者が足を組んでいる
禅輝達は半分位まで近付く
(禅)「アンタが牛王か?」
(モウシン)「いかにも、俺が二代目牛王、名はモウシン、コウテツを負かすとはなかなかだな…それでここまで何しに来た?」
(禅)「アンタにお願いがあるんだ、モグリ村での税金の過剰な取立て止めてもらえねぇか?」
(モウシン)「無理だな…領土拡大その為の兵や武器を整える資金…俺の領内の村や町にあるすべてがこの牛王の物、金も!命もだ!」
(禅)「テメェ…!」
禅輝は牛王を睨む
(モウシン)「俺は十二支を統一する!その第一歩の領土拡大の足掛かりに先ずは鼠王を落す」
牛王はヒバナに鋭い視線を送る
(モウシン)「なぁ諜報ナンバーNe23ヒバナ」
(ヒバナ)「…」
顔を曇らせるヒバナ
(モウシン)「偵察から諜報に昇格したようだな…俺にも裏の筋があるんでな逐一新しい情報は手に入る…」
そう言うと牛王は立ち上がった
(モウシン)「さて、そろそろお喋りは終いだ…先ずはそこの鼠には消えてもらう」
牛王はヒバナに向かい歩く
(禅)「おぃ!俺の話しは終わってねぇぞ」
禅輝は牛王の前に立ちはだかる
(モウシン)「安心しろ、貴様もここまで暴れたんだ鼠同様に消えてもらう」
牛王は禅輝の前で止まり威圧する
(禅)「やって見やがれ」
禅輝も牛王に威圧した
(ヒバナ)「兄貴!そいつは前話した猛獣種、ヌーとバッファローが合わさってるヒノッ!」
ヒバナが背後ろから言った
その瞬間牛王から禅輝に拳が繰り出された
(禅)「くっ…(見かけ以上の重い拳だ…)」
禅輝は咄嗟に防ぎ足を擦りながら踏ん張った
しかし直ぐさま牛王は駆け寄り、わき腹目掛け蹴りを入れて来た
(禅)「ぐっ…」
禅輝はそれもギリギリの所で防ぐ
(モウシン)「なかなかやるな、そこの鼠の言う通り俺はコウテツのパワーと防御力を持ち、自前の機敏さを併せ持っているワケだ」
(禅)「ハァ…ハァ…厄介なヤローだぜ…次はこちらから行くぜッ‼︎」
禅輝は牛王に拳を繰り出したがあっさり躱された
(モウシン)「終わりだ…」
牛王が禅輝の腹部に拳をめり込ませた
(禅)「ガハッ…!」
禅輝は倒れこみそうになるが四つん這いで踏み止まる
(蒼)(ヒバナ)「禅輝ィィィッ‼︎」「兄貴ィィィッ‼︎」
蒼葉達が叫ぶ
(モウシン)「しぶといな…だがそこで大人しく見てるんだな…」
牛王はヒバナの元へ歩き出す
(禅)「うっ……う…」
禅輝は辛うじて意識がある
(蒼)「やるしか無いみたいね…」
蒼葉は弓を構える
(蒼)「(残りの矢は三本…なんとかヒバナを守りながら弱点を見つけないと…)」
(モウシン)「無駄だ、そんな物では俺は倒せんぞ」
(蒼)「お生憎様、それでもやらなきゃならないでしょッ!」
蒼葉は力一杯に矢を放つ