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それさえや。   作者: 源 俊一
第二期
15/27

純粋な愛を奏でる福音

そもそも、純粋な愛の言葉とはなんだろう。


「好き」


とストレートに言われることだろうか。


「お前の事なんて好きじゃないんだからな」


少しイレギュラーな言葉かもしれないが、いわゆる遠まわしの言い方も

純粋な愛の言葉と言えるのだろうか。


この境地に至っている理由はいたってシンプル。

生徒が私に恋の相談をしてきた。


私は別に相談係の先生でもなく、ただの音楽の教諭なんだけれど。

先生であるが故に生徒の問題は応えないといけないと自責じせきしている。

それに、私はこの学校では若いほうで、生徒からは信頼されている。

その信頼を裏切りたくない。今は先生・生徒の間柄は気難しいから。

あまり触れたくないところだけれど。


「嗄慧先生、告白をしたい」


彼女はそういった。どう言えばよいのかと。


私は答えた。


「純粋に言えば伝わるんじゃない?」と。


彼女は少し疑問符を浮かべながら、無理やり納得し去っていった。


しかし、疑問符を浮かべていたのは私もだった。

そして最初に至るのだ。「純粋な愛の言葉とは・・」


なんだ?


私は恋というものをしたことがない。詳しく言うと「人」に。

「音楽」には何度も恋をしている。J-POPからクラシック。演歌まで。

でも、音楽に言葉はいらない。


いわゆる文章には表せない、なにか。


「あぁ、そうか。私はそのなにかを愛しているんだ」


ではそのなにかを振り向かせるにはどうすればいい?


「人」なら?無理やりにでもこっちに向かせてキスでもすればいいかな。


おっと、違う。言葉だ。言葉。そう、口から出る音。


ドラムがリズムを刻めば、ベースがリズムを安定させる。

そこに荒れたギターが囲いを作れば、ピアノが刺を抑える。

バイオリンが流れに乗れば、トランペットが始まりを告げる。


全て、音だ。口から出るか出ないかの問題だ。

経し曲がりすぎているかもしれないが理屈は同じ。


つまりだ。これらの音は弾けば鳴る。どんなに酷い音でも。


「純粋さは、それだ」


あとは愛の言葉。


言葉が口から出るものでなければいけないのであれば。残るはひとつ。


「ボーカル・・か」


歌え、青春を。音を聞けば自然と口ずさむだろう。


「出せる音を出せばいい。あとは好きにしなさい」


放課後、彼女を呼び止めて言い放った答えだった。


しかし彼女は、私より純粋だった。


「うん。わかった」


考えるまでもなかった。

最初から答えなどひとつで、求めてもいなかった。


「若いっていいなぁ~・・・」


そうやって私は今日も大好きな曲を聴く。


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