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それさえや。   作者: 源 俊一
第二期
14/27

空に浮かぶ自我共同論


空。

昔から、空を飛びたいという夢があった。

今でも変わらない。私は空を飛びたい。


「なぁ、これでいいか?」

「うん」


少し、半音あげてみる。

音楽の先生が聞いたら怒るかな。

でも、ここは。この空間は、学校なんて縛られたものの中じゃない。

私たちだけの空間だ。


「うーん・・少し違うような気がするんだけど・・」

「ちょっと、箕浦君。これがあいつの音なんだから文句言わないっ」

「そうだよ。私たちは従うしかないの」

「・・・嫌ならいいんだよ?」

「嫌なら貴方とやってないわよ」

「そっか」


そう。私たちだけの空間。

もはや私だけの空間になりつつあるけど・・。

でも、みんながいなければひとつの音でしか過ぎない。


全員の音が重なって、やっと空を飛べる。


「それに、私はあなたの作る音楽。嫌いじゃない」

「不思議系って言われてるのに?」

「気にしてるのね、意外」

「だって・・」

「気にせずどんどんやんな。さっきも言ったけど、コイツ以外はあなたに従っていくからさ」

「は!?いや、俺も従いますから!」


私が奏でる音は、空を飛ぶ。


「櫻枝が作る曲は、なんかこう・・浮かんでるよな」


彼はこう言った。

「浮いている」そう言いたいのは十分承知だった。

でもそれがいけないことなのか。ダメなのか。

私は私の個性を追い求めて出した答えを砕かれたくらいで、くじけたりしない。

むしろ嬉しかった。


個性って何?なきゃいけないの?

そうやってずっと悩み続けていた。

周りの長所短所はすぐ見つけられる。だけど自分は?

長所はおろか、短所すらわからない。


そこで初めて音を聞き、初めて私だけ別になった。


私は宙に浮いたのだ。


今度は空を飛ぶ。

浮いて、浮いて、浮いて。浮きまくって。

遠い、遠い、蒼い空へ。


私は、私の音で確実にする。私のアイデンティティを。


「もう一回、弾いてみようか。「私たちの曲」を」


彼女。そして彼。私たちのアイデンティティを。


決して、一人では確立できない。私のアイデンティティ。


・・・個性なんてクソ食らえ。


「いくよ」


文化祭まであと2ヶ月。空を飛ぶまで助走をつける。

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