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第3話 愉快な仲間達?

 休日なので投稿してみました。

○自由都市 東地区 


 広場での一件のあと、私はなぜか「購入」してくれた御主人様に背負ってもらう形で通りを進んでいた。


「あのう... ...」

「あ、ごめん、もう少しの辛抱だから」

「いえ、その... ...」


 奴隷である私が御主人様に背負ってもらうなど非常識な行為だ。 さっきのこともそうだが、この人には常識という物が全く感じられない。


「自分で歩けます。」


 そう伝える私であったが彼は私の方に顔を向けるとこう答えてきた。


「歩けるったって裸足じゃないか。もうちょっとで靴を売ってる所に着くから待ってて」


 奴隷の身である私を気遣って靴を買いに行くとは... ...つくづくこの人の常識を疑ってしまう。

 この街の人達は他の国と比べて奴隷に優しいとは聞いたことがあるがここまでしてもらうのは正直言って論外だと思う。


「よし、着いたよ」

「ここですか!?」


 彼が連れてきたのは奴隷が利用するような古着屋ではなく、明らかに裕福な市民が利用するような新品の商品が並んだお洒落な店舗であった。 彼は私を背中から下ろすと同時に口を開く。


「俺がよくオーダーメードで服を頼んでいるお店だから遠慮せずに好きなのを選んで良いよ」

「そんな... ...私にはもったいないです」


 私が奴隷の印である首輪に手を当てると彼は思いだしたかのようにそれに手をかけ、詠唱を口ずさむと「カチ!」っと音がする。 彼は首輪が外れたのを確認するとそれを通りにあったゴミ箱の中に投げ捨てた。


「紹介が遅れたね、俺の名前はオリハラ ヒロト。ヒロトと呼んでくれて構わないよ。君の名前と年齢は?」

「.... ...リリアと申します、歳はたぶん10歳」

「そうかリリア、今まで奴隷として大変な生活をしたと思うけどもう大丈夫だよ」

「あ、あのう... ...なんでそこまで親切にしてくれるんですか?」


 彼とは同じ色の髪であるという共通点以外ハッキリ言って只の他人だ。 初めのうちは私の体を目当てにした幼児性愛者かとも思ったが私を拘束する「奴隷の首輪」を外した時点でそれはないだろう。

 あの首輪は奴隷自身の自決を禁止し、主の意志によって首を締め付けることのできるマジックアイテムであり、これによって奴隷達は自分の意志で死ぬことも逃げることもできなくなってしまうのだ。 持ち主にとって便利なアイテムであるこの首輪を彼は惜しみもなく私から外し、捨ててしまったことに私は戸惑いを隠せなかった。


「なんでだろうね、まあ強いて言うならなんとなくかな... ...」

「え!?」


 彼の言葉に私は思わず口を開けてしまった。 なんとなくで3倍近い代金を払って私のような奴隷を購入するなんて正直言って信じられない。


「同じ人間だから良いじゃないか!」

「はあ... ...」


 一体この人は何を考えているの? 奴隷であった私に対して「同じ人間」って言うとは... ... 


「どのみち君の着替えも買わなくちゃいけないからここで一気に揃えようよ」


 私の気持ちとは裏腹に彼は私を店内へと案内していった。



1時間後......



 店から出た私達の両手には私の服が詰まった袋が下げられている。


「あのう......」

「ん、どうしたの?」

「ありがとうございます」


 奴隷の身分であった私がこうして買い物ができるようになるとは夢にも思わなかった。 私は思わずはしゃいでしまってあれこれと選んでしまったが今思うと買った物の大半を彼に持たせてしまっていることに気付いてしまう。


「自分の荷物は自分で持ちます」

「え?いいよ、沢山あるからどのみち一人で持ちきれないでしょ?」

「それでもその... ...」

「いいかい、君はもう奴隷じゃないんだ。そんなこといちいち気にしなくてもいいよ」

「はい... ...」


 彼は私を奴隷扱いせず、一人の少女として見てくれているようだ。 奴隷の身分になって以降、このような生活ができるようになるとは夢にも思わなかった。


「じゃああとは夕飯でも食べに行こうか」

「え...」

「その分だと朝から何も食べていないでしょ?」


 そんな彼の言葉に反応してか不意に私のお腹から「グウウウウ.... ....」と音が鳴ってしまう。 私が顔を赤くしてうつむいていると彼は笑いながら


「お腹が減っていると力が出ないからねえ」


と言い、私を一軒の酒場の前へ連れてきた。


「ここの親父とは顔馴染みでね、美味しいご飯も出してくれるよ」

「はい」


 彼は私のことを気遣ってか先に中にはいるように伝え、ドアを開けてくれた。


しかし、私達が店の中にはいると同時に


「ヒロト!!どこほっつき歩いてたんだ!!」


 「パコオン!!」という甲高い音とともに店に入った私達を迎えたのは先程広場で私達を助けてくれた女性であった。

 彼女は私達が店に入るのを待ちかまえていたのか木箱の上に乗って私の後ろにいた彼の頭を叩いていた。


「どれだけ心配したと思ってるのよ!!」


 そう叫ぶ彼女の目は涙ぐんでおり、彼とは只ならぬ因縁がある関係であることが理解できた。 

 

「姉さん、落ち着いて」

「おやおや、相変わらず仲が良いな」

「ヒロトさん、ちゃんと代金払ってください!!」


 店内には彼女の他に3人の男女の姿があり、その口振りから彼と日頃から縁のある人達であると想像が出来た。


 この時の出会いをキッカケに私は彼の素性の一端を知ることになる。




○自由都市 酒場 「バッカス」


 リリアを案内して店に入った途端にフィリアにソロバンで頭を叩かれ、あまりの痛みに俺はその場でうずくまってしまった。


「イテテ、フィリア、いきなりそれで叩いてくるなよ!?」


 頭を押さえながら文句を言う俺に対して彼女は


「何よ!!仕事から帰ってきたと思ったら大金持ってすぐに出ていくから心配したじゃないの!!」


と、涙目で訴えてきた。


「お前は俺のオカンか!?」

「うっさいわね!!まあ、いつもブラブラしているあんたの保護者にはちがいないけどね!!」

「年下だろ?」

「あんたの上司なんだからいいじゃない」


 俺がフィリアと呼ぶこの背の低い貧乳女は手を腰に当てて入り口にあった木箱の上に立って俺を見下していた。

 彼女はもう20代中頃のくせにフリフリの衣装を愛用しており、会長の印でもあるメルカトール家の紋章が刺繍された腕章を左腕に巻いた姿で俺に説教を始める。 年齢より幼く見えるこの女はこう見えても商事ギルドの会長でこの街の東地区を束ねる実力者であり、街の政治機構である「委員会」の一員でもある。 俺に対してはすぐに暴力的になるものの、普段の彼女は冷静沈着で商取引を進める若手ビジネスマンで俺がこの世界に転移したときに初めて会った人間でもある。


「まあまあ、姉さんもヒロトさんも落ち着いて......」


 そう言いながら俺たちの間に入ったのはフィリアの弟で受付業務から総務の仕事まで商事ギルドの仕事を何でもこなす青年で名前はニヒル、フィリアとともに俺がこの世界に来たときからの仲で、かつては3人で冒険したこともあった。

 姉と同じように容姿こそまだ幼いものの、商事ギルドに置いては姉を上手くサポートしており、東地区随一の情報通でもあるため多くの商人達と顔見知りである。


「あんたは黙ってなさいよ!!」

「まあまあ、どうどう......」

「ガルルルルルル」


 ニヒルは猛獣をあやすかの如くフィリアに椅子から降りるように説得する。

 俺はふとリリアの方に視線を移すと彼女は「ククク」と必死で笑いを堪えていた。 良い傾向だ、広場で見たときと違って明らかに笑顔を取り戻し始めている。


「ヒロトさん、あなたが店の前にバラまいた油を掃除するの大変だったんだから!!」

「ニアちゃん、ゴメン......」


 俺がニアと呼ぶカウンターで声を荒げる少女はこの店の親父の娘であり、普段は店の看板娘として働いている。


「店を出るならちゃんとお代を払って下さいね」

「ハーイ... ...」


 いくら慌てていたとはいえ我ながら突拍子もないことをしたもんだ。 親父達には迷惑をかけてしまったな。

 俺が親父に謝罪の言葉をかけようとすると... ...


「何、この娘!?」


 ニアは俺の側にいたリリアを見つけると顔をほころばせると同時に


「かわいい~!!」


とカウンターからパタパタ駆け寄ると「ガシッ」と抱きついてしまった。 忘れてた、この娘は仕事の空いてる日には自分から進んで東地区の孤児院でボランティアをする程の子供好きだったんだ。

 ちなみにその孤児院を資金面でバックアップしているフィリアも一応子供好きなのだが、彼女の場合はお金の方が大好きで「この子達を将来うちで働かせてジャンジャン稼いでもらうわよ」という卑猥な目的があったりもする。


「ねえねえ、君どこの娘? なんでヒロトさんと一緒なの?」


 突然知らない女の子に抱きつかれて頬をスリスリされたためかリリアは頬を強ばらせてこちらを見ている。


「この娘どうしたの?」

「えと、その......」


 ニアの言葉に俺は返答に困って口籠もってしまう。 すると俺の気持ちを読みとってかフィリアが


「ヒロトの従兄弟よ、何でもご両親が行方不明になったので急遽預かることになったのよ」


と言って助け船を入れてくれた。


「そ、そうなんだ。ほら、俺と髪の毛の色が一緒だろ? 瞳の色は母親似何だけどね」

「ふ~ん、そうなんだ... ...」


 俺の作り話にニアは納得したのかリリアの方に視線を戻すと自己紹介をはじめる。


「私の名前はニア、このお店でお手伝いをしているの」

「... ...リリアです」

「へえ、可愛い名前だね。今まで一杯辛いことがあったと思うけどもう大丈夫、お姉さんが何でも相談にのるからね」


 ニアはすっかりリリアが気に入ったらしく彼女の手を引いてテーブル席へと案内する。


「お腹空いたでしょ、何か食べたい物はない? お姉さんが美味しい物を作ってあげるよ」 

「えと...その...何でも良いです」


 ニアの言葉にリリアはどう答えていいのか分からず適当に答えてしまう。 無理もない、先程まで奴隷として生きてきた彼女がいきなり一般家庭の生活に馴染めるわけがないのだ。


「ニア、こないだ俺が教えた料理って出せるか?」

「あ~あれね。さっき材料を用意したところだからすぐに出せると思うわ」

「じゃあそれをリリアに出してくれ」

「あいよ!」


 ニアが調理場の方へ向かうのを見計らってかフィリアは俺の腕を引っ張ると同時にカウンターの隅に移動させる。


「ヒロト、あの娘どうするつもりなの?」


 彼女の言葉に俺は遠慮しつつも


「君が運営している孤児院で引き取ってくれないか?」


と訪ねる。


「... ...馬鹿!!」


 俺の言葉に彼女は平手打ちをして答える。


「自分のしたことが分かってるの? それで善人になったつもり?」

「仕方なかったんだ」

「何よ!今まで奴隷取引に目をつぶってきた分際で!!」

「相手はまだ子供だぞ!!」

「だったらあなたが責任持って面倒を見てあげなさい、奴隷で生きてきた子供がいきなり一般市民にとけ込めると思ったら大間違いよ」


 フィリアの言葉に俺は何も言い返せなかった。 確かにそうだ、戦利品として無理やり連れて行かれた奴隷の集団を見た時も俺はフィリアとニヒルの安全を優先して助けに行かなかった。

 何度となくこの街で行われた奴隷取引にも俺は自身の生活の安定のために黙って見過ごしていた。

 正直言ってそんな俺がリリア一人を救ったところで世界が良くなったわけではない。 はっきり言って今回の俺の行動は只の自己満足にすぎない。 結局は偽善行為をしたに過ぎないのだ。


「ヒロト、俺はお前の気持ちが分かる気がするぜ」


 考え込む俺に親父は優しく声をかけてくれた。


「会長、こいつのことは許してやってくれないか? なんならその娘、ウチで面倒見てやっても良いんだが... ...ニアも気に入ってるみたいだしな」

「親父... ...」


 親父の言葉に俺は言葉で言い表せないくらい嬉しかった。


「そうね、ヒロトには子育てなんて出来ないでしょうし... ...」


 フィリアも親父の言葉に納得し、相づちを打つ。 確かにそうだ、独り身の俺に子供なんて世話できるはずがない。

 俺が心の中でそう納得していると


「ヒロトさんの元に置いて下さい」

「リリア!?」

「聞いてたの!?」


 先程までテーブル席に座っていたリリアがいつの間にか後ろにいたことに俺達は驚いてしまう。


「私はヒロトさんには多大なご恩があります。ここでヒロトさんと離れてしまえばその恩が一生返せなくなってしまうのではありませんか?」

「恩なんて気にしなくて良いよ!」


 そう答える俺であったが彼女はブン、ブン、と首を横に振ると同時に


「私を子供として見ないで下さい、自分のことは自分で出来ます。 それよりも私は奴隷身分から救っていただいたあなたに恩を返す義務があります」


 リリアの言葉に俺達は唖然としてしまった。 この娘はなぜそこまでの言葉が浮かぶのか、俺はふと戦国時代に日本に来た宣教師が残した言葉を思い出してしまう。


『この国の7,8歳の子供の知能は我が国の大人と変わらぬ』


 これが明日をも知れぬ世界にいた子供の感覚なのであろうか? 俺はふと隣に座るフィリアに問いただしてみると彼女も驚きが隠せなかったらしく俺の耳元でこう呟く。


「もしかして彼女は高貴な家柄にいたのかもしれないわね」

「そうなのか?」

「貴族の娘は12,3歳で嫁に行くこともあるから恐らく英才教育を受けて育ったのかもしれないわ」


 フィリアの言葉を受けて俺はリリアに視線を戻すと同時に質問を投げかけることにする。


「読み書きは出来るのか?」

「共通言語であるタスク語でしたら支障はありません」

「算術は?」

「足したり引いたりする事は出来ます。 以前いたところでは他の子達の纏め役になっていたので限られた食料を均等に分けていたりもしていました」

「魔法は?」

「光魔法に特性があったようですが教育を受ける前に奴隷になってしまったので使えないと思います」


 驚いた、奴隷の身でありながら読み書きが出来るのか。 

 俺は藪蛇ながらもリリアの過去を問いただすことにする。


「奴隷になる前の出身は?」

「数年前までイーストノウスの王立孤児院にいました」


 なんと、彼女は俺が3年前に迷い込んでしまった国の出身だったとは。 その国は大陸の北東部に位置し、5年前に終結した戦争の賠償で、国民の中から毎年一定数の奴隷を周辺国に供給しなければならない定めを背負った国である。


「戦争の影響で国が一気に貧しくなってしまったために孤児院の運営がままならなくなり閉鎖と同時に私を含めた子供達は奴隷として売られてしまったんです」

「酷い話ね... ...あの国の暫定政権も今や腐敗の温床となってしまってるものね。 その影響で前国王が行った数々の慈善事業が切り捨てられてしまったていう話は聞いてたけど」

「私達は読み書きが出来るので高級奴隷として売られたのですが、隣国に行く道中で盗賊に襲われて散り散りになってしまって私一人が川の畔で倒れていたところをある夫婦に助けられたのです」


 そう語るリリアの目線は真っ直ぐで言葉にも力が込められている。 


「幼い私達に対する奴隷商人の配慮からか、当時の私の首には「奴隷の首輪」が装着されていなかったので私は子供のいなかったその夫婦の娘としてしばらく過ごしていたのですがある日、家に盗賊が押し入り夫婦は殺され、私は捕まってそのまま奴隷商人に売られてしまいました。 そこで半年ほど他の子達と一緒に牢に入れられた後にこの街に来てヒロトさんに助けられたという訳です。」


 リリアの言葉にフィリアとニヒルは俯き、親父は目頭を押さえて視線を逸らしていた。 静寂する空気の中、俺はリリアの瞳を見つめると同時に両手を彼女の肩に置いて「大丈夫か?」と声をかける。


「はい、私のせいで皆さんに辛い思いをさせてしまったのが気懸かりですが... ...」

「!!」


 その言葉に反応してかフィリアの瞳から涙がこぼれ落ち、側にいたニヒルが彼女の肩に手を置いて宥める。 親父にいたっては後ろを向いて「目にゴミが入っちまったぜ」と言っている始末だ。

 この娘は自分のことより他人のことを気にする優しい心の持ち主であることに俺達は気付いてしまった。 俺がどう声をかけて良いものかと悩んでいると店の奥から二アの声が聞こえてきた。


「リリアちゃーん、ご飯出来たよ~♪」


 俺が声のする方に振り返ると先程までリリアが座っていたテーブルに出来上がったばかりの料理を置いて手招きをする二アの姿があった。



◇◆◇◆◇


 

 二アの誘いに応じてリリアは先程まで座っていたテーブル席に戻り、運ばれてきた料理を食べることにする。


「これは?」


 彼女の目の前にあるそれはいくつかの具材の入ったスープの中に白くて太い紐の様な物が入っていた。


「ヒロトさんの故郷の料理でね、「ウドン」って言うものよ」

「ウドン?」

「小麦粉に塩水を加え混ぜ合わせた後に薄く延ばして切って茹でただけなんだけどね」

「そうなんですか... ...」


 小麦粉の料理と言えばパンかお菓子でしか知らない彼女にとってそれは未知の食べ物であった。


「まだ熱いからフーフーして食べてね」


 席に着いたリリアは二アからフォールを受け取ると麺をすくい上げてゆっくりと口に運ぶ。


「熱、」

「あ~あ、もう、子供なんだから」


 二アにからかわれながらもリリアはハフハフとウドンと呼ばれた物を口に入れると同時に「美味しい...」と口ずさんでしまう。


「簡単な料理でパスタとは違うけど美味しいでしょ。 私も風邪を引いたときにヒロトさんに作ってもらったんだけど美味しかったからお店のメニューに載せることにしたの」


 得意げに話す二アであったがリリアはズルズルと音を立てながら夢中になって食べていた。


「よっぽどお腹が空いてたんだね」


 優しく見守る二アであったがリリアの顔から涙と鼻水がこぼれ出たことに気付いてしまう。 彼女はそっとリリアの隣に座ると両手で包み込む。


「分かるよ、私も子供の頃にお母さんを亡くしたしね」


 その姿を見てカウンターにいたヒロトは意を決して呟く。


「ニヒル、こないだドワーフ向けに作った服って余ってるか?」

「ええ、確か子供向けのも残っていたと思いますよ」

「ヒロト、あなたまさか... ...」


 彼の言葉の意味を察してかフィリアは口を挟んでしまう。


「みんなには迷惑をかけるかも知れないけど俺がこの娘を育てるよ」



 ヒロトとリリアの奇妙な生活の始まりであった。

 







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