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第11話 ヴァンパイア

 日の光を除くと奴は不死身だ。 

 無数の矢を浴び、焼かれ、斬りつけられても死なん。 

 首を斬り落としても倒せなかった。 

 何人も奴を殺すことは出来ない。 

 奴に睨まれたら最後、朝を迎えれんと思え。 


     ヴァンパイアに遭遇したある傭兵の言葉




○商事ギルド5F ヒロトの部屋


「何をやってる、早く逃げろ!!」

「い、嫌だ!!」


 アミの言葉もむなしく、カルラは恐怖で動けないリリアを 庇ってヴァンパイアの女の前に立ちはだかる。 そんな彼女の気持ちを知ってか女は口を開く。


「その娘を渡せ」

「え!?」

「何を言ってるの?」


 女の言葉に二人は思わず疑問を口にしてしまうも、女は口調を強くして更に言い寄る。


「もう一度言う、その娘を渡せ」

「ふざけるな!リリアをお前の手には渡さない!!」


 女の言葉に怒りを覚えたカルラは叫び声を上げると共に女に斬りかかる。


「......」

「きゃあ!?」


 女は剣を抜くまでも無く、カルラの攻撃をかわすと同時に片手で彼女の首を持ち上げる。  


「カルラ!!」

「くはあ......」


 リリアの叫び声もむなしく、女はギリギリと腕の力を強める。 それにより、カルラの口角から泡が垂れ始め、顔色から生気が失われ始める。


「うおおおおお!!」


 カルラを救う為にアミが女の腕を両断する。 切断面からは人と同じ赤い血が噴出し、付近を赤く染める。 女が一瞬ひるんだ隙を狙い、アミは更に彼女の顔面に暗部との戦いのときに使った爆発クナイを刺し込み爆発させる。


「ゴホ、ゴホ......」


 激しく咳き込むカルラを肩に担ぎ、アミはリリアの方へと駆け寄る。


「大丈夫か?」

「あ、ああ。 まだ少し苦しいけど戦える」

「なら良い、早くリリアを連れて逃げるんだ。 奴はこんな程度では死なない」

「え!?」


 カルラが女の立っていた方に視線を移すと彼女の体や飛び散った血、叩き斬られた腕から黒い霧が立ち込め、一つにまとまったかと思うと次の瞬間に女の無傷な体が姿を現す。


「馬鹿な!?」

「化け物なの?」


 余りにも信じられない光景にカルラとリリアの口から驚愕の言葉が出てしまう。


「こいつは何度致命的な攻撃を受けても必ず再生する。 かつて私の所属していた部隊もこの女一人に攻撃されて私一人を残して壊滅してしまった」

「部隊って何人だったんですか?」


 リリアが問いかけに彼女は「私と同じ人狼族100人」と答える。


「嘘!?」

「何て奴だ」


 それは一人で7人の暗部を殲滅できる実力を持ったアミが100人いてもヴァンパイア一人倒すことが出来ないという事実であった。 ヴァンパイアの不死の力、これによってかつて人類を散々苦しめた魔族達のトップに君臨することが出来たのである。 体を再生した女はゆっくりと三人の方へと歩み寄る。


 「こ、来ないで!!」


 女は怯えを見せるリリアの前に進むと片膝を床に着け、右手を差し出すと同時にこう呟く。


「姫様、お迎えに上がりました」

「え!?」

「何を言ってるんだ?」


 突然の言葉にリリアはどうしていいか分からず、言葉を失ってしまう。


「あなた様はこのような所にいてはなりません。 私と共に来て下さい」


 女に対し、リリアは恐怖に震えながらも「嫌です!!」と答える。 しかし、女は彼女の返事を無視するかのように「我々の為にもあなたが必要なのです」と言い出す。


「だから嫌です!!」

「リリアに何する気!!」

「お前の目的は何だ!!」


 リリアの拒絶の言葉を合図にカルラとアミが彼女を庇うかのように前に出て、女と対峙する。 そんな3人の反応に女は立ち上がると同時に、二刀流の要領で腰の両端に差していたブロードソードを抜き出す。 本来、これは騎兵が馬上にてすれ違いざまに殴りつけて使う剣であり、刀身の重量を利用して力任せに振り回すだけでなく、手数や正確さの要求される物であるが、幅広の刀身はレイピアやエストックなどの幅の薄い剣を用意に叩き折る威力がある。


パキン!


「くそ!!」


 女の斬撃によってアミの剣が容易に折られてしまう。 彼女は持ち手のトリガーを押して折られた刃を捨て、腰に差してあった予備の刃を装着する。 彼女の武器はヒロト作の一つで、カッターナイフの特性をヒントに極限までに薄くした刀身に突きと斬りを追求したものであるため、女の武器とは相性が悪い。 


「うおおお!!」


カキン!


 カルラが力任せに突こうとするも片手で軽々とはじかれてしまう。 彼女の剣は忍者刀のように反りが入っておらず、突きを主体とするのだが幅広い刀身であったことが幸いしてか折れることは無かった。


「つ、強い」

「こいつを使うしかないな」


 アミは腰のベルトからの一本の棒を取り出す。 それは表面を銀でコーティングされており、彼女がそれを軽く振ると鋭い先端部が姿を現し、杭のような形になる。


「ほう、伝説を信じてるのか」


 それを見た女の口から驚きの言葉が漏れる。 かつて、大陸を席巻したヴァンパイアを倒すために人類は銀の杭を心臓に打ち付ける方法で倒したと言われており、アミは仲間を殺した奴を倒すためにヒロトに作ってもらったのである。


「伝説かどうか試してみる価値はあるだろう!」


 女の言葉などお構い無しにアミは銀の杭を女の心臓に向けて投げつける。 それは的確に女の心臓に命中すると同時に悲鳴を上げさせる。


「やったか!?」


 女の悲鳴を聞いてアミは一瞬、勝利を確信するも女は「なーんてな」と言う言葉が出ると同時に片手で杭を抜き、床の上に捨てる。


「フ、こんな物で私を倒せると思うな」


 女はそう言うと「遊びは終わりだ」と言い捨て、アミの頭上に剣を振り下ろす。


カキイイイイイン


 アミは女の剣を両手の剣をクロスさせてなんとか受け止める。 しかし、女はもう片方の剣の切っ先を彼女の体へと突き刺そうとする。


(しまった!?)


 アミが死を覚悟した瞬間、女の体は連続した轟音と共に吹き飛ばされる。


ドドドドドドドドドドドド!!!

 

 余りの威力に女は壁に叩きつけられ、鮮血を撒き散らし、醜い肉塊に変わっていく。 轟音と共に火薬の匂いが漂い、真っ白な煙が室内を包み込む。


「早く部屋から出るんだ!!」

「ヒロトさん!!」


 リリアがヒロトの方に振り返ると彼の手には奇妙な形の武器が握られている。 それは彼の世界においてガトリング銃と呼ばれる代物であり、この世界に無い異質な物であった。 その銃から発射された無数の弾丸によって女は吹き飛ばされたのである。


「どうだ、鉛弾の威力は!!」


 至近距離から発射された鉛の銃弾。 弓矢よりも遥かに威力の勝るその攻撃に今まで耐えられた者はいない。 流石のヴァンパイアもこれには耐えられず、壁にたたきつけられてしまうもヒロトは躊躇うことなくお見舞いし続ける。

 しかし、相手は彼の予想を超える存在であった。


「嘘だろ!? 弾をあれだけ受けた筈なのに」

「ヒロト! 奴は不死身のヴァンパイアなんだぞ!!」


 銃弾の雨が止むと無残な姿となっていた女はムクリと起き上がり、体に受けた銃弾をパラパラと床に落として黒い霧に包まれた後、無傷な姿を晒す。 


「あの時と同じか!!」


 再生したばかりの女の体にアミは爆発クナイを投げつけ、爆発させる。 爆風と同時に室内は黒い煙に包まれ、その隙にヒロトはリリア、アミはカルラの体を抱え、通路に連れ出す。

 

「どうしたの!?」

「何なのこれ!!」


 騒ぎを聞きつけ、別の部屋で寝ていたフィリアとエルシャが駆けつけてきた。 二人とも慌ててきたためか寝巻き姿であったが、二人の手にはそれぞれの愛用している武器が握られている。


「二人とも、カルラとリリアを連れて屋上に逃げろ!!」

「ちょっと、どういうことか説明して」

「いいから行ってアレを用意しろ、こいつはやばいぞ」


 ヒロトの緊迫した言葉に二人は瞬時に事態の深刻さを理解し、「分かったわ」「まかせなさい」と言いリリアとカルラを連れて屋上に向かう。


「お前は逃げないのか?」


 アミの言葉にヒロトは「仲間を見捨てられるか」と答える。


「......お前らしいな」

「ああ、君の復讐なら俺の復讐でもある」

「な、何を言ってるんだ!?」


 ヒロトの言葉にアミは思わず顔を赤くしてしまう。 2年前にヒロト達の元を離れて以降、彼女は仲間を殺したヴァンパイアへの復讐心を心に秘めて行動してたのだが、ここで共闘することになろうとは夢にも思わなかったのである。 


「気を付けろ!! 私の部隊はこいつ一人の手によって壊滅したんだぞ!!」

「ああ、今度こそ殲滅してやる!!」

 

 煙の中から姿を現した女にヒロトは再びガトリング銃を向けて無数の銃弾をお見舞いする。 至近距離から放たれた銃弾は女の頭部や腕、足を引きちぎるかのようにダメージを与えていたが、女の再生能力は徐々にダメージを上回っていく。


「食らえ!!」


 ヒロトに負けじとアミもありったけの爆発クナイを投げつけ、爆発させる。  二人の激しい攻撃によって部屋は無残な光景になるも女にダメージは見受けられず、徐々に二人の元へと歩み寄る。


「弾切れだ」


 弾が無くなり、熱を帯びたガトリング銃をその場に捨て、ヒロトは背中に差していたショットガンを取り出し、発砲しつつアミを連れて後ろへと下がる。


「ヒロト!!」

「先に行け!!」


 アミの言葉を遮るかのようにヒロトはありったけの弾丸を女に浴びせつつ女をゆっくりと屋上へと誘い出す。 アミとしては自分の復讐劇にヒロトを巻き込んでしまった申し訳なさがあったが、次の瞬間エルシャの手によって引っ張り出されてしまう。


「何をする!?」


 アミの言葉に対し、エルシャは「彼を信じなさい!!」と怒鳴りつける。 彼女はアミを屋上に連れ出すと同時にフィリアに「あとは彼だけよ」と声をかける。 


「こ、これは......」


 アミの目の前には3メートル近い大きさの巨大な銃の引き金を握るフィリアの姿があった。


「見てなさい」


 フィリアは出入り口に照準を合わせると同時に唇を舐める。 彼女の後ろには心配そうに見守るリリアとカルラの姿があり、アミは一同がこの屋上で決着をつけようとしていることに気付く。 


「今だ!!」


 出入り口からヒロトが飛び出すと同時に姿を現した女の姿を見た瞬間にフィリアは引き金を引く。


バアン!!!


「!?」


 突然の事態に女は言葉を発することなく、上半身を吹き飛ばされてしまう。 女を攻撃したのはヒロト製作の最強兵器である「パントガン」であり、それは口径50ミリ、60口径の銃身から放たれた20~30個もの強力な鉛弾によって複数の獲物を仕留めるために作られた代物である。

 本来は小船の舳先に取り付け、湖に群生する鴨を一気に仕留める為に使われる鴨撃ち大型散弾銃であるが、某怪獣映画(ト○マーズ4)で使われたのを参考にヒロトが対飛行系魔物用に開発し、近日実施される予定の試射に備えて屋上に置いてあったのである。 女は上半身を吹き飛ばされたものの、再び体を再生しようとする。 


しかし......


ドス!!


 再生し始めたばかりの女の体の心臓部分にヒロトが銀の杭を刺しこむ。


「無駄なことを......」


 頭部を再生した女がそう言葉を漏らすもヒロトの口から出た言葉は予想だにしないものであった。


「純鉄の溶融温度は1538度、お前の心臓はそれに耐えれるかな?」


 ヒロトはそう言うと同時に杭の先端からガス溶接と同じ青い炎を女の心臓に直接送り込む。


「がああああああ!!」


 心臓に送り込まれる1000度以上の熱によって女はもだえ苦しみ始める。 ヒロトの攻撃は女の再生能力を上回るものであった。


「き、貴様あああ!!」 


 残りの力を振り絞って女はヒロトを殺そうと両手の剣を振り上げようとする。 しかし、敵はヒロトだけではない。


「うらあ!!」

「やあ!!」


 アミとカルラの攻撃によって両手は斬り落とされる。


「やらせない!!」

「うお!?」


 エルシャの光魔法の激しい閃光によって女の目はまぶしさの余り麻痺してしまい、止めにフィリアがヒロトの後ろに駆け寄り、「くらいな!!」と言い残して女の顔面に愛用している散弾銃の銃弾をお見舞いする。


「お、おのれえええ!!」


 顔面を無残な形にされながらも雄叫びを上げる女にヒロトは笑顔で語りかける。


「油断したな」


 その言葉を合図にヒロトはありったけの魔力の全てを女の心臓を焼く炎に注入する。

 

「ぎゃああああああ!!!!」


 人間のものとは程遠い悲鳴を上げ、女は無残な姿のまま黒い煙を放出し始める。 それは正に女の死を決定付ける光景であった。 


「これで終わったと思うな!!」


 女の最後の言葉に対し、魔力の大量放出によって意識を失い始めていたヒロトはこう呟く。


「そんなお決まりの台詞は聞き飽きた」

「な!?」

 

 その言葉と同時に女の体は消えうせ、焼け焦げた匂いのする煙が天に立ち込める。 ヒロトは女が消えたことを確認すると同時に「ざまあみろ」と言い残し、その場で倒れてしまう。


「ヒロト!!」


 彼の元に駆け寄り、体を抱きかかえるアミ。 よく見ると彼女の目から涙が零れ落ち、ヒロトの顔に降りかかっている。 


「そんなに泣くなよ、美人が台無しだぞ」


 ヒロトはそう言いつつもアミの頭を撫でながら「無事でよかった」と呟く。


「馬鹿! こんなに無茶しやがって!!」

「ああ、さすがにやりすぎた......」


 ヒロトの顔から見る見る生気が失われ始め、アミは体越しにヒロトの体から力が抜けていくのを実感してしまう。 この世界における魔力の大量放出は死を意味する行為であるが、ヒロトは仲間を守るために躊躇なく、それを実行してしまったのである。


「もう疲れた、久しぶりに今日はよく眠れそうだ......」

「ヒ、ヒロト、死ぬんじゃない!!」

「ヒロト!!」

「ヒロトさん!!」


 アミの胸元で静かに目を閉じるヒロト、その姿にアミは一瞬訳が分からなくなって取り乱してしまい、傍らにいたフィリアとリリアの目からも涙が零れ落ちる。 しかし、エルシャだけは落ち着いており、ヒロトの体から脈を感じ取ると同時にこう呟く。


「大丈夫、まだ脈はあるわ。 恐らく寸前のところで僅かながら魔力が残ってたんだと思う」

「ホントか!?」

「ええ、だけどいつ目覚めるか分からない......」

「そんな、嘘だって言ってくれ!!」


 エルシャの言葉にアミは取り乱してしまうもフィリアは彼女の肩を掴むと同時にこう答える。


「今の私たちに出来ることは彼を信じて待つことよ」

「フィリア......」

 

 そう言いながらアミはフィリアの胸元に顔を埋めると同時に涙を流す。 フィリアはそんな彼女の頭を撫でつつ「一緒に待ちましょう」と囁く。 そんな光景を見てリリアは傍らに立つカルラにそっと話しかける。 


「私、このままここにいて良いのかな?」

「そうね......」


 自分がいたために皆を危険に晒してしまったことを実感してしまったリリアはこの時、皆のためにあることを決断するのであった。



三日後......


「う~ん」


 体の重たさを実感しつつ俺は目を開く。 天井を見渡してみると見覚えのある模様があったことからここはどうやらここはフィリアの部屋のようだ。


「我ながら無茶をしたもんだ」


プニ......


「ん?」


 ふと俺は体に妙な違和感を感じたので顔を後ろに向けてみる。


「な、なにやってるんだ!?」


 俺の視界に入ってきたのは豊富な胸を俺の背中に押し当てて眠るエルシャの姿であった。


「まさか!!」


 ふともう一つの違和感の感じる胸元へと視線を移すと、俺に抱きつく形で眠りにつくフィリアの姿があった。 


「おい!?」


 俺は余りの光景に思わず声を上げてしまうとその声に反応して二人は目覚めてしまう。


「「ヒロト!!」」


 二人は嬉しかったのか嬉し涙を流しながら俺の左右から同時に抱きつく。 余りの力の強さに俺は思わず咳き込んでしまう。


「もう、心配したんだから!!」

「馬鹿馬鹿馬鹿あああ!!」


 声を荒げる二人を何とか宥めつつ俺は二人からその後の現状を何とか聞きだす。 二人の話だと俺はあれから丸三日眠りこけてしまい、その間二人はつきっきりで俺の元で過ごしていたらしい。


「好きな時にエッチさせてあげるから!!」

「二人で決めたの、一緒に愛していこうって!!」


 拘置所での一件と違い、二人の間に何らかの協定が結ばれたようであったが、俺には二つばかり気になることがある。


「リリアとアミはどうした?」


 その言葉に二人の表情が一瞬、暗くなってしまう。 


「リリアはあなたに迷惑をかけてしまったと思って昨日、カルラと一緒に街を出て行ったわ。 アミも傭兵ギルドへの報告を兼ねて二人の護衛として付いて行ったの」

「そうか」

「御免なさい、二人を止められなくて」

「いいよ、リリアもお姉さんと一緒になれたんだしな」


 俺はそう答えつつもなぜか寂しさを感じてしまう。 リリアとはたった一ヶ月ほどしか過ごしていなかったが、彼女がいることで現場に和みがあったことも事実だ。 お互いよそよそしかったりもしたが、彼女にはまだまだ教えていないことも多い。 

 その後、俺は二人が用意してくれた食事を食べつつふと物思いにふけってしまう。


(このままで良いのか......)


 俺は何かを忘れているのかもしれない。 そもそも何であの時リリアを助けようとしたのでさえ分からないし、敵の狙いが何だったのかさえ判明していない。 俺がやったといえば敵を一人葬っただけだ。 俺はふと何のために自分がこの世界に召喚されたのか考え込んでしまう。


「ヒロト」

「ヒロト君」


 そんな俺の気持ちを感じてか二人は俺の手を握ってこう呟く。


「一緒にこの街で過ごしましょう」

「あなたの子供を生みたいの」

「え!?」


 俺の気持ちとは裏腹に二人は服を脱ぎ、俺の体に抱きついていく。 そうだった、俺にはこの街で愛する人がいたんだったな。 誰が何の目的で俺を召喚したのかは分からないが俺がいることによって救われた命があったことも事実だ。 このまま二人と共にこの街で所帯を持ち、子を持って歳老いていくのも悪くないだろう。 生きている喜びを実感しつつ俺は二人を激しく愛し始める。


二時間後......


「ふう、我ながらやりすぎたか」


 俺の両脇には満足げな表情で抱きつくフィリアとエルシャの姿があった。 いくら日が開いてたといえ、二人の美女に誘惑されたことにより我ながら興奮しすぎた。 この二人のためにも俺はもう無茶をせず、安定した生活を送ってこよう。 将来生まれてくるであろう子供達のためにも俺はこの世界で堅実に生きていくことを決意するのであった。

  


                  

序章 完       



ト○マーズはシリーズを通して全て名作であると思います。 私自身、銃器馬鹿親父のガンマーが大好きです。 化け物退治なら正に彼の存在が最強であることに間違いないでしょう。 なお、この世界に出てきた銃器についての説明は次章で明らかにする予定です。

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