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02.story『目的地に向けて』

どうもブラストです。今日はメモリールーツの第2話目を公開したいともいます。相変わらずの低クオリティーですが、読んでくださるとうれしいです。

アキ達の住む町からどれ程離れただろう?アーストと言う未知の街に向けて歩き続け、既に半日程経つ。だが、その道程は険しく今だ目的地の見えない放浪とした旅を続け、現在は砂漠の様な道を進んでいる。


「熱ぃ……」


だがじりじりと焼き付ける陽射しをうんざりするように、その言葉を延々と連呼するリュウ。アーストと言う街に向けて旅を始めた彼だが、炎天の空にダラダラと汗を流し、暑さによる疲労と苛立ちが闇雲に積もり積もるのみだった。


「熱い熱い熱い熱い熱い!!!こんな砂漠みたいな道、ダラダラとあるいてられっか!」


短気な彼が溜まる苛立ちを抑える訳も無く、ストレスを発散するかのように大声を広々とした砂漠に響かせるが、唯空しく余計に暑さを増すだけだった。


「あぁ~無理無理、もう一歩も歩きたくねぇ」


暑さと疲労に限界を感じ、ペタリと地面に座り込んで一息つくが、そんな彼の前夫うには大きく砂煙をあげて近づいてくる一つの影が……。


「い、一体何だありゃ!?」


ようやく姿がはっきりした頃、その正体は黒いロングヘアーに、片耳に付いた青いイアリングが特徴的な女の子、ここまで見れば普通の女の子なのだが、彼女を普通と呼べない理由はその足にホイールをつけ、ローラースケートの様に砂漠を滑走しながらこちらに近づいて来るからであった。


「ひゃっほーッ!!」


気持ち良さそうに地面を駆ける少女。リュウとぶつかるぎりぎりのラインでピタリッ、と停止すると、前髪を掻き上げにこやかに笑みを浮かべながら口を開く。


「どーも、こんにちは!こんな砂漠で一人、何してるの?」


「え、えっと、俺はアーストっていう街に向けての旅だけど?」


「ふ~ん、でもアーストって街に向けてならまだまだ道程は遠いよ?丸一日かかんじゃない?」


「はっ!そんなに!?」


まるでアーストまでの道程を知ってるかのような彼女の口振り。だがそんな事はリュウにとってどうでもよく、彼が驚く訳はアーストがここからさらに遠いという点だ。半日も飲まず食わずでここまで歩いてきたのにこの上まだ遠いというのであれば、間違い無くこの先限界が来て途中で倒れてしまうのは目に見えてる。そんな不安の募る彼を元気づける様に自分の胸を叩きながら優しく口を開く。


「でも私が来たからにはご安心を!今からたったの数分であなたをアーストに連れて行くよ?」


「!、連れてってくれんのか!?」


彼女の朗報に対して嬉しそうに目をキラキラと輝かせ、礼を言おうとする彼だが、それを止めるかのように突然手を突き出し、にこやかに天使の様な笑みを浮かべながら口を開く。


「ざっと金貨10枚、いただきます」


「はっ?」


「通行料って事で、格安だから取ってもお得だよ?」


「金取るの!?」


「当然。私もタダ働きごめんだから」


「あの、金は……」


懐を探りながら金貨を取り出すような仕草を取るも、これまで稼いだ金はアキに渡し、本人は要らないと言ってたものの結局邪魔になると思い全額置いてきてしまい、そんな彼に所持金などある訳も無く、暑さでだらだらと流れる汗はいつの間にか冷や汗へと変わり……。


「金はないですが、どうか乗せてください!」


「無理。バイバーイ」


「待って!マジ待って!こんなとこで置いてけぼりにしないで!!」


土下座をしてまで頼み込もうとするリュウ。しかし当の彼女は「金が無い」という言葉を来ただけであっさりと即答。興味を失くした様に立ち去ろうとする彼女だが、リュウとしてはアースト行きの唯一のチャンスを逃す訳にもいかず、彼女に見捨てられまいと必死に彼女の手を掴んで引きとめる。


「だって金ないんでしょ?」


「そこを何とかお願いします!何でもしますから!」


「ふ~ん、じゃぁ手離してくれる?」


「はい」


「うん、よろしい。ではバイバーイ」


「待って!!!!」


即座に手を離すも、話した瞬間また走り出そうとする彼女に対しまた慌ててその手を掴む。


「手離してよね?しつこい男は嫌われるよ?」


「嫌われてもいいから、とにかくマジで待って!!俺、アンタ居ないとマジこの砂漠でミイラなっちゃう」


「ふん、こんな道ぐらいでミイラになるようでは所詮その程度の男ってことだ!」


「何ドヤ顔で格言みたいな一言言ってんだよ!いいから俺をアーストまで連れてってください。足りない金の分はどっかの店の手伝いとか、食料調達とかのバイトで稼ぎますから」


「バイト?」


「そっ、そうだよ!俺元いた街ではならず者の制圧とか、そりゃいろんなバイトさせられてさ、だから仕事があるなら俺ぜひ引き受けてやるぜ!だからどうか、俺をアーストまで連れてってください」


お願いします、とまるで祈るかの様に両手を重ね合わせて頼み込み、そんな彼の必死の思いも通じてか彼女の表情も少しだけ柔らかくなり、「いいよ」と返事を返す。


「よっしゃぁ!アンタマジ天使だぜ!!ほんとありがとう!」


「まぁバイトの紹介料、アーストまでの道程分の代金、あと手数料金分すべてを返してもらう訳だから、かなり働いて貰わないとね」


「おい、何だ!?最後の手数料金って───」


「はい、そうと決まれば早速移動しますか。私の街、アーストまでの道程の途中にあるから」


街に行けば自分の予想以上に仕事を任されるのではないか、先程まで喜びにあふれていた彼の表情は一変。今は不安の隠しきれてない暗い表情へと早変わり。そんな今の彼の心情を知ってか知らずか、リュウを連れ、目的地に向けて砂漠の大地をまた駆け出していき、道中「こりゃ骨が折れそうだな」と小さな声で溜息と一緒に零した。









「ハイ、見えたよー!ここが私達の街―!」


数十分後にようやく目的地が見え、彼女が指差す街を一言で言い表すとすれば田舎。街と言うよりもその規模は小さく、どちらかと言えば村と言った感じだが、既に不安で意気消沈して居る龍にはそんな事などどうでもよかった。


「あー、着いたのね。できればこのまま脱走してぇよ」


「何か言った?」


「いいえ何でも!」


「まぁともかく、早速仕事紹介するから早く街に入るよ?あと街の人にあんたの事紹介しなきゃなんないね」


「街の人に俺の事紹介するって言われると、何かこの街に長期滞在しそうで何か嫌だな~~、俺の事についての説明は仕事場で一緒になる人だけでいいんじゃね?」


「つべこべ言わずにくる!それに長期滞在するかどうかは君の働き次第だね」


「はいはい、ったく……まぁ口約束とはいえ一応契約は契約だ。今さらすっぽかしたりはしねぇけどよ、なるべく仕事は楽な方で頼む」


「まぁ楽したいのなら楽してもいいけど、その分この街で長居することになるね。んでそうなると滞在費とか、泊める宿の宿泊費とか、食糧費結構かかるよ?」


「だぁーッ!分かりました、分かりました!ハードな仕事でも何でもいいです。とにかくすぐ立て替えてくれた分の料金すぐに払えるぐらいの仕事ください」


「それでよし」


いつの間にか彼女と彼の上下関係もはっきりとしてしまい、すっかりリュウも頭が上がらず、渋々街に入り、彼女の後ろを付いていく羽目に……。









「おっと、そういや私の名前、まだ言ってなかったよね?私の名前はミミ、一応気軽に耳ちゃんって呼んでね♪」


「はいはい分かりました。で?とにかく街に入ったのはいいけど、こんな小さな町の何処で働けと?」


「まぁいいから付いてきなさい、ほらあそこだから!」


立ち止まって指差した場所は、古びた雰囲気を漂わす一件の店。看板や窓越しに見える店内の様子から恐らく料理店と言った所だろう。


「ここで働けと?」


「そういう事。まぁ、まずは入って入って」


入店と同時に聞こえるのは、「いらっしゃーいっ!」と店内中を響かせる大声、その声の主はスキンヘッドと髭が目立つ大柄な体型の男性。見た所、店長と言った所だろうか。


「あ、あの俺は……」


「マイクさん、おはよう。相変わらず元気な声ですね」


「おぉ、ミミちゃんか。今日もまた手伝いに来てくれたのかい?」


「そういう事。後、今日は私以外にこの人も手伝ってくれるよ?」


リュウの肩をポンポン、と叩き、彼女が紹介した途端ミミに向けていた優しい表情を一点。どこかのヤクザの様な目付きでリュウを睨むように見る。


「あ、あの……」


「ふ~ん、言っとくがここの仕事はハードだぞ?途中で投げ出すような奴わ、その首飛ぶと思っておけ!」


首が飛ぶという事は、仕事をやめさせられるという意味だが、この男の迫力を見る限りでは、首が飛ぶなどとはそのまま意味でしか聞こえない。男の迫力に圧倒され、不安がより一層募る中で早速仕事させられる事に……。









「つ、疲れた~~」


「はい、お疲れ様。一時間持つなんて君、中々仕事ができるようね」


一時間の内で彼がこなした仕事は、店内だけでなく店の看板などの外装の部分を隅から隅まで掃除。さらには食糧の調達、来た客の接客など、常人で言えば一週間分の仕事をたった一時間で全てやらされた様なものである。当然クタクタとなり、たかが一時間でもはや疲労困憊、そんな彼に「お疲れ様」と、麦茶の入ったコップを手渡す。


「あぁサンキュー、にしてもこんなにしんどいとは……昔の仕事の方が楽だと思う」


「ははは、まぁ常人はすぐ逃げ出すレベルだからね」


「あんたそれを分かった上で俺にこの仕事任せたんかい!まぁそれはいいとして……あんたもこの仕事前からやってんのか?」


「うん、もう半年程前からね。今じゃ馴れっ子だよ」


「ふ~ん」


「ねぇ、ところでさ、まだ理由聞いてなかったけど君は何でアーストって言う街に向かってるの?」


「ん?まぁ何ていうか……過去の手がかり掴むためかな?」


「?」


「まぁともかく、アンタはアーストって言う街の事知ってんのか?会った時から、何となくアーストを知ってる様な口ぶりだったけど」


「……あの街はさ、ここと違ってだいぶ発展した街で、よくあそこで出稼ぎに行く人が多いの。でもいつしかあの街に行って誰も帰ってこなくなった。私の両親も」


「……」


「だから君もアーストに行くのはやめた方がいいんじゃない?帰ってこれないかもしれないよ?」


「お生憎様、気遣いは嬉しいけど今さら帰ってこれないとか言われてビビる気はさらさらないんで、ましてや進路変更の気も無い」


「ふ~ん、まぁ代金分働いてくれたし、私的にはどうでもいいけど行くなら気を付けた方がいいよ?何があっても私は知らないから」


「……まぁ待てよ」


「?」


「アンタ最初にあった時、なんか変な靴履いてたろ?アーストまでの通行にあれ欲しんだけど?」


「あれ?あぁ、私下手の横好きで発明なんて女の子離れした趣味持って作ったものなんだけど、本当にあれ欲しいの?」


「欲しい、売ってくれ」


「売ってって、あんた金ないんでしょ?」


「だったらその分の代金分、新しいバイトで稼ぐさ」


「新しいバイト?」


「そっ、バイト内容は……アンタの両親をここに連れて帰る。以上だ」


「!!、ほ、本気で言ってんの?」


「言ったろ?一度言った契約は変えないってな」


「そうじゃなくて、簡単に物言って、本当に実現できるのかって聞いてるの!」


「安心しろって、俺は約束破った事一度も無い男だぜ!信用しろ!」


簡単に言ってのけるリュウ。無邪気な子供の様な発言だが、それでも彼の発言にはどこか不思議と安心感を覚えてしまう。そんな彼を見てふっと笑いながら……。


「じゃぁお願いできるかな?言っとくけど、契約破棄は許さないから」


「最初からしねぇって言ってるし、まぁいいけどな……とにかく早めに仕事完了できるようにするわ」


「でも今日一日ぐらいはここでゆっくりしてたら?長旅で疲れてるんじゃない?」


「心配ご無用、休憩なら今ここでたくさんしたしな」


手渡されたホイールつきの靴を受け取り、店を後にアーストに向けて街を出ようとするもそれを彼女が呼び止める。


「あの、ありがとね!私のために気を使ってくれて」


「……気なんか使わない。言ったろ?俺はこの靴代分を働いて返すだけだって、それにありがとうは今じゃなくて仕事達成後に行ってくれよな」


「分かった。なら頑張ってよね!その仕事ってのを!」


「おぉ!」


サムズアップを送り、彼はアーストに向けてまた足を進めるのであった。


いかがでしたでしょうか、第2話。やはり低クオリティー作品でしたね(汗)

こんなのでも読んでくれた方には本当に感謝です。


そして次回はいよいよアーストに到着ですが、勿論そこはそこで、問題があるようで、次回も見てくだされば幸いです。

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