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プロローグ
「餓鬼が、俺達に何の用だ?」
大柄な男達の前に立つは、まだ幼さの残る一人の少年。大抵の人ならば目の前の男達に怯えるように逃げ去るのが普通だろう。だが少年は逆に男たちを見ると、なぜか口元を緩ませる。
「えぇ~っと、依頼者によるとアンタ達、ヘッド一家で間違いないよね?」
ヘッド一家、この街で名の知れたならず者の集団。まだ子供に過ぎない彼がそんな集団になぜ近づいたのか、その理由は彼にとってただ一つ。
「この街のならず者集団の制圧、それが俺の仕事内容。って事で早速仕事開始させてもらうぜ?」
「テメェ、一体誰だ?」
「俺か?俺はただの通りすがりのアルバイターとでも覚えといて」
「ただの餓鬼がふざけた口聞きやがって、テメェ等、軽くなぶり殺しにするぞ!」
馬鹿にされた怒り。憤怒の感情を露わに向かって来るならず者集団。対して少年も一歩も退かずに駆け出す。そんな彼の名はリュウ。この街で彼の名を知らぬ者はいない。