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次の朝が来た。
桂は夜思っていたことをまだ思っていた、
でもいろいろな意味で敬遠してしまう。
それは翔自身が本当は「男」だからである、そのせいでそんなことは言い出せないし、なんにせよ、
そんな風に思えないのが現実だ、
翔は桂よりも先に起きていた、朝飯の支度をしていた、
「おっす、起きたか?」
「お、おう、早いな」
桂はテーブルにある朝飯を見て席に着く、
まぁよくあるような朝飯だ、味も普通、
それから翔は今日の予定をどうするか話し始めた、
「今日はどうする?どっか行く?」
「うーん…特に行くところがないしな…」
さすがに長い休みだと毎日毎日どこに行くかなんて予定が立てられるはずがない…
まぁ、たしかにそうだろう、人間そんなにいちいち決めて動くものではない。
桂は少しおいてこんなことを話してきた。
「なぁ…あの事故現場行ってみない?」
「…。」
翔は口を閉じた…。
それもそのはずだ、翔はその事故のなかの数少ない生還者である、その場所に行くということは
要はあの惨劇を思い出させようとしているということ。
「…そうだな、行ってみるか」
今いる街からバス、電車、歩きで約2時間程度、その場所の近くまで来た。
翔はそこを見て悲しいようなどうなのかわからない表情を浮かべていた、
その表情を桂はずっと見つめるしかなかった。
その場所は半透明とも薄い虹色とも取れるような300メートルぐらいの結晶が工場から突き出たままだった。
「ここで俺は事故にあったそこには燃え上がる建物とまるで刺や針のように突き出た結晶がいくつも姿を見せてた、そこはもう地獄だった。」
「…。」
桂は黙り込んでいた、話は軽く聞こえなかった。
話を聞いていたら時間が過ぎた、すでに夕方だった。
「…もう…帰るか…」
「…そうだな」
そう言って二人は帰ることにした。
夕日に照らされた結晶を見つめながら。
翔の表情は哀しい表情だった。




