久遠玲司・白瀬凪vs九条玲奈・瀬名悠真。
「凪ー、こっちのチームなんだから勝てよー」
「無茶振りやめてください」
久遠玲司・白瀬凪と相対するのは、九条玲奈・瀬名悠真。
「一応もう一度言うが、凪への攻撃は禁止。その代わり久遠玲司を倒せば勝ちだ」
「はいはーい」
「了解」
「んじゃあ、開始」
久遠玲司は両手に嵌めた指輪のうち一つを外す。二つ同時でなければ出力は落ちるが、それでも十分すぎる。
抑えられていた殺意が、固有魔法――心象具現化によって実体を持つ。
二人へ、殺意そのものが襲いかかる。
瀬名悠真は当然のように回避する。だが九条玲奈は動かない。
黒い板が展開され、殺意を受け止めた。
「瀬名、パス」
「はいよ」
瀬名は、九条玲奈の専用魔道具――衝刻札を受け取る。
衝撃を受け止め、蓄え、叩き返す札。
これに触れれば、再現象によって自分の攻撃をそのまま受けることになる。
対して瀬名悠真の専用魔道具――転移加速手袋。触れた物体へ加速を移すことができる。
つまり、剛速球で衝刻札が飛ぶ。
瀬名が振りかぶる。
その瞬間。
「メンタル・ブレイク」
白瀬凪の魔法。
メンタル・スタビリティとは逆に、精神へ直接ダメージを与える術。
強烈な目眩が瀬名悠真を襲う。
投げられた衝刻札は軌道を逸れ、壁へ直撃。
時間差で再現象が発動し、壁に穴が穿たれる。
その隙に九条玲奈が接近する。
刃のないナイフ――有効打と判定されれば勝利となる模擬武器。
久遠玲司の懐へ。
「メンタル・スタビリティ」
九条玲奈の動きが止まる。
なぜ止まったのか、自分でも分からない。
警戒心が薄れる。
カウンターで放たれた殺意の攻撃を、もろに受ける。
本来ならスペアの衝刻札で防げたはずだった。
九条玲奈は即座に胸へ手を当て、自らを修復する。
だが、ルール上は敗北。
「うん……降参」
目眩から回復した瀬名悠真も手を挙げる。
「え? なんで?」
白瀬凪が動揺する。
「さすがに新入り二人に一人落とされました、は立場的にきついだろ。それにメンタル・ブレイク? あれ二度と受けたくない」
「勝ちましたね!!」
「そうですね」
「いや、凪エグ……。負けると思ってたのに」
「それ酷くないですか?」




