第1話 わたしたちのすごくかっこわるいところ
しいとかい
しい 背が高くて大人っぽい小顔の女性 大好きな人
かい 背が高くて猫っぽい小顔の女性 わたし
わたしたちのすごくかっこわるいところ
ずっと忘れられなくて心の中にいる人がいる。
名前はしい。
出会ったのは高校生の一年生のとき(わたしたちは十六歳だった)で、そのときから私はずっとしいのことが大好きだった。
でも、その気持ちはずっとしいには隠していた。
わたし(かい)としいは仲のいい友達で、一番の親友だったから、それでいいって思ってたんだ。ずっと、ずっーと。
だけど大学生になって、しいとは違う大学に通うことになって、(しいはまじめで負けず嫌いの頑張り屋さんだったから、わたしよりもずっといい大学にちゃんと合格したのだった)しいのことは忘れて、わたしは新しい街での大学生の生活を新しい友達と一緒に楽しく過ごしていた。
そのころは、しいはほんの少しの間、わたしの心の中にいなかった。
でも、ある日、わたしはしいと偶然、街の中で再会した。
(しいとは高校生のときに、あることがあって、卒業式のときにさようならをしてから連絡はとっていなかった)
その偶然の出会いが、(もしかしたら運命だったら嬉しいけど)わたしの心をとても強く揺り動かした。
そして、にっこりと笑っている美しいしいを見て、わたしはまたしいに恋をした。
わたしはずっと、しいのことが大好きなんだって、思った。
きっと、ずっと、ずっーと。
生きている間、ずっと、しいのことが好きなんだって、そう泣きながら思ったんだ。
それが二十歳のとき。
わたしもしいも、もう大人になっていた。(本当に大人になっていたかはともかくとして、年齢的には大人だった)
あのころみたいに、自由ではなくなっていたのだ。……、体も、心も。なにもかも。
 




