潜入…小谷城
53話目になりますわ!難攻不落の城…小谷城…その秘密を、探るべく、満里奈達は動き始めます。小谷城の秘密とは何なのか?
…戦いの火蓋は切って落とされた。が…しかし現状は…
「攻めあぐねて…いる…」エナは、吐き捨てた。「開戦から何日たった!マンジュ!」
「3日になります。」マンジュは答えた。
城を中心に張り巡らされた四獣結界。
青白い光が地表すれすれを流れ、時折、風もないのに空気が歪む。
東の空には蒼くうねる龍の影。
西には白虎の唸りが雷鳴のように響き、
南では朱雀の熱が陽炎となって揺らぎ、
北には玄武の重い圧が大地を沈黙させている。
「これ程とは!不落なのか!クーベラの奴、とんでも無い結界を張ったな!」エナは叫んだ…!
「エナ様…空中からも…攻撃が通りません…」ジャンヌが叫んだ!
「ドラゴンブレスは、結界など…貫通するはずですが…」シモーヌも呆れ顔で言った。
「雷撃、水撃…アハハハ、まったくダメてす」
---エナ?---
--どうした満里奈--
---この結界…普通じゃないわ!---
--何か気付いたの?満里奈--
---四獣結界では無いような?---
--違う…?なんだ…確かに--
---調べたい事があります---
--あい、解った--
---また、連絡します、---
エナは考える。
本来なら、ただ…の城なら、もう終わっていてもおかしくない…
進軍の号令を出せば、無意味な犠牲が出る。
待てば、敵は城の内で万全の態勢を整えていく。
――攻めあぐねる、という言葉が、これほど似合う戦場はないわ。
敵は魔導兵…結界がなければ、勝利は見えている。けれど、その前に立ちはだかるのは、刃でも城壁でもなく、理そのものを封じた結界。
…満里奈は、なにを感じた?
四獣は「守っている」のではなく、「均衡を保っている」だけだということに。
そして、その均衡を崩す“鍵”が、
この戦場のどこかに――あるいは、誰かの中に――眠っている。
「マンジュ…どう思う?」エナが城を見上げながら…言った。
「気の循環が、四獣結界のそれを、超えてると感じていますね…四獣結界に、何かの結界を重ねて張った?織り込んだ?…クーベラのオリジナル結界?なんとも…奇妙な結界です。」マンジュが言った。
「ヤクシャーニーを呼べ!マンジュ!」
「解りました。エナ様」
「お呼びでしょうか、エナ様」
ヤクシャーニー、夜叉の女将軍は…エナの前に跪いた。
人の女に似た輪郭を持ちながら、どこか決定的に違う。肌は白磁の白さ、あるいは灰を含んだ青白さで、血の温度を感じさせない。長い黒髪は異様な艶をまとい、重力に従わず不規則に揺れ、まるで意思を持つかのようだ。
瞳は妖魔のそれに近い。黒目が大きく、光を反射せず、覗き込む者の心の奥を量るように静かに動く。口元には笑みとも嘲りともつかぬ歪みが常に浮かび、牙を思わせる歯がわずかに覗くことがある。妖艶…魔性…異質な美しさだ…
「ヤクシャーニー、冷気と、妖気が漏れ過ぎているぞ…皆が怯えるわ!」
「あと…その服…あ〜相変わらず…露出が高い…オッパイ丸出しは…戦場でも、少しは女らしくせよ!ヤクシャーニー」
ヤクシャーニーの服は質素?シンプル?単純で、術式が組み込まれた布のコートを、造作に纏っているだけだが、不思議とみすぼらしさはない。むしろ「世界の…そう生命の美とでも言うのか、土から芽吹いた、植物の芽のような美しさだ」腕や脚には黒い簡単なプレートがついているだけ、体には金属を編んだ装身具が巻かれている。豊かな胸は、金属の網の中でむき出しである…
「全身網タイツの様だな…こうやって見ると」エナはため息をついた。
「そう言えは、パンチャは、家康殿から、黒と紫の礼装戦闘服をもらっていたなぁ〜口下手なお前だ…パンチャが好きなのに…いつも眼か合う度に、死ね!とか、呪う!とか…近寄るなとか…ヤクシャーニー…今までの功績を讃えて、装備…戦闘服をやろう!受け取れ、ヤクシャーニー」
「エナ様、私は、パンチャの事など、好きではありませんが…嫌いですね…はい…はっきり言って」至ってクールにヤクシャーニーは言った。
「おぅパンチャ来たか!」エナが突然声を上げた。
「えっパンチャ?…」ヤクシャーニーは隅っこに走り、壁を見つめている。
「ヤクシャーニー!嘘じゃ!」
「それでヤクシャーニー??なんだ…さっきまでの威勢は?どこに行った?壁に何かあるのか?」
「はっ?私がなにか?エナ様…お戯れを、壁の老朽化などを、調べておりました。」
「たわけ、まだ1週間もたっておらぬわ!!おっ来たかパンチャ!」
「えっ!パンチャ?」ヤクシャーニーは、床に這いつくばる。
「嘘じゃ!ヤクシャーニー」
「なんじゃ、どうした…床に何かあるのか?」
「いえ、壁に耳あり、障子に目ありと言って…床下に賊が侵入しているとも限りません。常に警戒を」
「ヤクシャーニー?なんじゃそれは!素直になれアハハハ、パンチャとお揃いの服をやろう!」
「えっ頂けるのですか?パンチャと一緒…ただ…胸は…ノーブラで!あと、お尻のラインが綺麗に出る服なら…お願い致します。」
「???なんだ?それは?ヤクシャーニー」
「パンチャが、ヤクシャーニーの胸は、重量感がある。ヤクシャーニーのお尻は、破壊力がある、腰周りが鋭い!などと、私の装備品を褒めていただいているので……武具の手入れは武将の心得!…ご考慮を」
「ヤクシャーニー!!!たわけがぁオッパイとお尻は武具でも、装備品でもないわぁ!!パンチャもパンチャだ、呆れたわ!」
「ヤクシャーニー…小谷の城を調べろ!お前は、気の流れに敏感だ…城の地下?天守?わからぬが…何があるような気がする。敵意、殺気は無しでけ、気をつけろよヤクシャーニー!ビカラと遭遇したら、撤退だぞ!まちがっても戦うな…」
「エナ様…私が負けるとでも?」ヤクシャーニーの妖気が膨れ上がる。
「ビカラは強敵だぞ…たが!そうでは無い…殺すと三河殿が悲しむからな……出来れば、仲間にしたいそうだ、」
「了解いたしました。エナ様」
「鎧は変えていけよ!ヤクシャーニー!命令だ!」
「ははっ!」
満里奈の本陣…満里奈の前に全員が呼び出されていた。
「ここ数日、攻めてみて…何か感じなかった?」
「満里奈様、よろしいでしょうか?」フランソワーズが声を上げた。
「四獣結界は、ある意味、攻撃を分散させて、その気を城の中のエネルギーに変える…なので、1点に攻撃を集中すると、他の聖獣の結界が緩む…ここを最大火力で、突破する…が…セオリーかと、まぁ…結界を上回る火力が必要ですけど…しかし、この小谷城は、気が分散されません…その場で循環している。他の聖獣の力を使っていないような感じがします。」フランソワーズが言った。
「内部の探査をするべきか?」レインが呟く…
「そうね…敵意無き者は、襲われないか…誰が行く?」満里奈が言った。
「私です。」リンが声を上げた。
「私も行きます。」ハイラも声を上げた。
「私も…」ニションが言った。
「私もかな?」アイリスが呟く。
「グライアイが2名と、十二神…2名か…」
「頼んだぞ…本来なら私が行くべきだが…」レインが言った。
「隊長…大丈夫です。任せて下さい。」リンが言う。
「パンチャ!あなたも行ってあげて…」満里奈はパンチャを見た。
「了解した!」パンチャが頷く。
「サマン…ここの指揮を頼みたいの…」
「了解ですが…満里奈様?どちらに?」
「私はフランソワーズと…そうね…ステンノー、エウリュアレ、メドゥーサ、ヴァネッサあなた達もついてきて…調べたい事があるの…」
「了解しました。イヤーカフは忘れずに…お願いします。」サマンが頭を下げた。
「陣は完全防御体制!攻撃は絶対するな…反撃も駄目だ…潜入部隊が孤立するからな!」サマンが声を出しだ。
「皆様…お気を付けて」サマンが、頭を下げた。
「行くわよ…皆んな準備は大丈夫?特に!お弁当は大事よ!あと…飲水!オヤツも必要ね!お弁当運搬小隊長に…ニション!あなたを任命するわ!イヤーカフの状態は?良好みたいね…パンチャ…結界内は、念話は出来るの?」
「出来るわよ!でも!戦闘になったら、使えない…外とも…内部同士の通信も駄目!」パンチャが言った。
「パンチャ?あんた…サマン様の命令?潜ったわね!小谷城に……」リンが凄む!
「アハハハ…満里奈様ですよ!侵入路を探せとね…入りました。なかなかとんでも無い城です。しかし、リン様…兵站の心得まで…おっしゃる通り、城内に水はありません。食料も…2〜3日を用意するように、満里奈様から言われています。」
「ありがとう!パンチャ、頼りになるわ!」
「えっ…頼り?いやぁ~アハハ…嬉しいなぁ…リン様に言われると!デヘヘヘ…アシュラの気持ちが解る気がする。そう言えば…今朝は見てない…ような…」パンチャが辺りを見渡す。
「満里奈様の命令で…右近と周囲の索敵に…行ってるわ…」
「索敵?挟撃されるって!有り得ないでしょう」…「いや…クーベラ?なら…メビロス島か?籠城は、援軍ありき…まてまて!バイシャか?あり得るぞ!挟撃…挟み撃ちにじゃないね…バイシャは単純にエナ様を討伐に軍を差し向ける…アハハ…私とした事が…これは…まずいですね…」パンチャが息を呑んだ
「ハマーン様って事もあるだろうから…長引くのは、愚策…撤退も考えてると思うわ!エナ様は、」リンが、満里奈の方を向いて言った。
「なる程…だから…シン将軍がバイシャの城に向かっている…と言う…噂を、流したのね、」パンチャが呟く…
「まぁ…もう3日…多分…あと4日…1週間かな?陥落できなければ…撤退…か」パンチャがリンを見つめた。
「さて…行くわよ!ニション!大丈夫?」リンが、皆に声をかけた。
「いぎまじょう!リンざま」ニションが、言った。
「ギャハハハ!ニション?何それ?ダンまちのリリルカ・アーデのコスプレ?アハハハ」 アイリスが笑い転げた。
そこには、自分より大きいリュックを背負ったニションがいた。
ドスン!ドスン!ニションの足が地面に…跡を付ける。「ぶへぇ〜ぶへぇ〜ぶへぇ〜」
「ニション?あのね?ダースベイダーじゃないんただから…ハイラ…見本を見せてあげて…」リンが、言った。
ハイラは、軽々とリックを背負う…
「えっ?なんで?」ニションは言った。
「ニション…ニション…あのね…修行が足らないみたいね…念動力よ!腕力と、念動力!!ね!ん!ど!う!り!ょ!く」
「あっ…」ニションは言った。
「リン様…ニションを石にしましょうか…凄い恥ずかし格好で!」ハイラは真剣に、言った。
「確かに…アシュラの小便小僧を超える、傑作が、欲しいわね!アハハハ!」
「なら!椅子ね!全裸椅子!アハハハ!シャルティア・ブラッドフォールンを超えてるもらいましょうよ!」アイリスが悪乗りする。
「ひぇー修行頑張ります。」ニションが涙ながらに叫んだ…!
「行くぞ!」
小谷の城は、ただ「そこに在る」だけで戦場を沈黙させていた。
四獣結界――東の蒼龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武。その力は光ではなく、圧として大地に染み込んでいる。空気が重い。呼吸するたび、肺が試される。
「これ程の気が充満している??」リンが頭を抱える。
「パンチャ?何処まで潜った?」リンが聞いた。
「取り敢えず外周を…一通り見ました。」
パンチャが言う。
「リン様…これは、気が…溜まっているのでは無い感じがしますね!」ハイラが言った
「これは、多分…誰かが…気を練っている??」アイリスが言った。
「襲って来ないとはいえ…この魔導兵の数は…厄介ね、」リンが言った。
見上げた城壁は石ではない。結界そのものが固化した、概念の城壁だ。
結界は拒まない。
剣を抜かぬ者、殺意を抱かぬ者、奪う意志を持たぬ者――そうした存在を、まるで「無価値」と判断したかのように、静かに通す。
だが一歩でも敵意を帯びた瞬間、四獣は目を開く。
「パンチャ?上階、もしくは、下階へ続く道、階段なんかあった?」リンがパンチャを見た。
「見つけられませんでした。」
「やっぱりね!さてさて!ハイラさん!出番よ!ハイラ主催、ゴーレムキャッチャーァァァ!」リンが言った。
「なんですか?それ?」ハイラは、きょとんとしている。
「今から、私とアイリスで…全てのゴーレムに触れていく…違和感のある場所を見つけたら…ハイラ、出番よ!念動力で魔導兵を動かして!多分、通路は隠されている。」
リンがハイラと、ニションを見た。
城内は、異様なまでに整然としている。
回廊に並ぶのは、魔導兵――ゴーレム。
人の形を模しながら、人ではない。魔法陣が脊椎のように刻まれ、胸部には制御核が静かに脈打つ。
リンは、気付いている。
彼らは待機しているのではない。封印された意思の延長として、眠っているのだ。
足音が反響しても、ゴーレムは動かない。
視線を向けても、目は返らない。
だが、わかる。
「見られている」のではなく、「測られている。」「敵意を探している。」
この城のどこかに、結界を破る秘密があるはず……それは装置でも、呪文でもない可能性が高い。四獣結界は力で破るものではない。思想で組まれた防壁だから…
「さて…視界を広げてるわよ!」リンが言った。
アイリスは見る事で、リンは感じる事で…何かを探し始めた…
不定期でアップします。
満里奈達の活躍に、ご期待下さい。感想など頂けたら幸いです。




