巴とバサラ
46話目になります。巴は、語り始めました。彼?彼女は何を語るのでしょうか?歯車は新たな展開を開こうとしています。
夢の世界…
「佐吉よ」
秀吉は盃を弄びながら、珍しく声を低くした。「明日で終わる。長かったな……北条との戦いも」
佐吉こと、石田三成は背を正したまま、視線を落とさない。
「はい。しかし“終わらせ方”こそが、後の世を決めましょう」三成は静かに言った。
秀吉はふっと笑った。
「相変わらず厳しいことを言うのう…佐吉!城を落とすだけなら、力でよい。だが!」
「力で終わらせれば、力で揺らぎます」
三成は、言葉を続けた。
「北条は滅びても、関東は生き残ります。恨みを残せば、いずれ牙となりましょう」
秀吉はしばし黙し、陣幕の外を見た。
闇の向こうには、小田原の灯が点々と瞬いている。
「わしはな、佐吉」
「百姓の倅として生き延びるために、情より先に策を選んできた。だが今は……天下を背負っておる。情を切り捨てるのも、また覚悟よ」
三成は一礼する。
「それゆえ、殿下は“攻めながら、殺さぬ”お方です。城を包み、兵を飢えさせ、心を折る。それが、今回の戦でございます」
秀吉は苦笑した。
「城攻めで、ここまで血を流さぬ戦も珍しかろうな。世はこれを、戦ではなく芝居と言うやもしれん」
「芝居で結構です。」
三成は冷静に言った。
「幕引きが美しければ、人はそれを『政』と呼びます」
秀吉は盃を置き、三成をじっと見据えている。
「おぬしは、わしの影だな。人に恨まれる役目を、すべて引き受ける」
「それが、私の役目でございます」
三成は微かに目を伏せた。
「殿下が“日の当たる天下”に立たれるなら、私は“影の算段”に徹します」
しばしの沈黙。
夜風が陣幕を揺らした。
「明日、北条は降る」
豊臣秀吉は断じるように言った。
「そして、戦の世は終わる」
石田三成は静かに答えた。
「いいえ。戦が終わるのではありません。“戦の形”が変わるのです」
秀吉は大きく笑っている。
「やれやれ、戦が…変わるか!なるほどな…だか、それでよい…そうあるべきかもな…」
二人は、最後に小さく盃を合わせた。
音はほとんど鳴らない。
それは、小田原征伐の、静かな前奏だった。
「バサラ様…」左近が声をかけた。
「左近…朝か?」バサラはおきあがる。
「いえ…日の出までは、暫し時があるかと…ただ、うなされていましたので…」
「うなされていた?俺が?あぁ~なんか変な夢を見たなぁ…」バサラは頭を揺する。
「私も変な夢を見ました。バサラ様と小高い丘から戦をみている夢です。…なにか、良くない夢の感じがしました。汗でだくです。」左近が言った。
「戦場か?縁起がよいじゃないか!…で?誰の勝利か?」
バサラは左近に問う。
「いえ…勝敗は解りませんが…沢山の兵士の中でした。」左近が言った。
「左近と私がなぁ…戦場で…アハハハ…なんの夢だろうなぁ…」バサラは、再度頭を振った。
「グランはどうしている。」バサラが言う
「あそこに…?」左近が言った。
「ウゥウウウー!」グランがうなされている。
「おいおい!全員がうなされてるのか?」バサラは笑う。
「ん……やはりいつも使っている。低反発マットじゃないからか?アハハハ」バサラは笑った。
「まだ、時はある…休める時に休んでおこう…左近!」バサラは黙って目を閉じた。
朝…広場は、人でごった返している。
「おはよう!バサラ大将…良く眠れましたか?」巴は、バサラ達に声をかけた。
「朝飯も頂きましたし!さてさて!エナ見物に向かいますか?巴様!」バサラは陽気に笑っている。
「場外に馬を用意しております。アハハハ…珍しい馬ですよ!」巴は門を指さした。
「さぁ行こうか!左近!グラン!魔王見物だ!」
雑踏を抜け…4人は門を抜けた。
「あの林の中です。」巴は林を見ている。
「…巴様…誰かいますね…排除しますか?」
バサラは声を潜める。
「アハハハ!待って下さい。私の手の者達です。」巴は両手を振った。
巴達4人は林に入った。暫く歩くと、そこに5人の戦士が待機している。
「おはようございます。巴様…」リーダーらしい男が声をかけてきた。
「おはよう!皆んな!紹介するよ!」
「こちらが英雄…バサラ大将だ!そして…クラン-アンチーラ殿、そして…左近殿だ。」
「始めまして…私、巴様の副官を務めております。カルラと言います。そして…、キンナラ、ヒバカラ、ゴブジョウ、サカラですね。」
「おおーバサラ大将一行ですか!武勇は聞いております。あのシンを撃退したとか!」キンナラが声を上げた。
「アハハハ…なんのなんの!アハハハ…まぁ〜大したことはありせんよ!ガハハハ!」
「まぁ偶然、ラッキーとは言え、あのシンを撃退できたのですから、運だけは、良いのでしょうな…」ヒバカラが笑った。
「さらに、バサラ殿には、ハイラ大将、シンダラ大将までもいるとか…お仲間が強いと…自分も強くなったと勘違いをする事も…あるとか無いとか…アハハハ」ヒバカラが笑う。
「アハハハ…そうなんですよ!私なんてたいした事はありません。上には、上がいますから…アハハハ!ラッキーラッキー…結構です。」バサラは、笑った。
「本当の強者とまみえた事の無い貴方から
見れば…私なんて、たいした男には、見え無いでしょうねぇ!なにせ、貴方の物差しが小さ過ぎて、私を測るにはぁ…目盛りが足らない!アハハハ」バサラはヒバカラの肩をポンポンと叩いた。
「なんだと…貴様!過去の遺物がぁ…時代は進んでんだよ…」ヒバカラは、拳を突きだした。
「きぇぇぇー」裂帛の拳がバサラを襲う。巨大な風の塊!林全体が震える…
その拳は正確にバサラの顔を捉えた……かに見えた。
「たわけが…怪我ではすまんぞ!ヒバカラ!」カルラが呟く。
「バサラ様!!」グランが、叫んだ。
気合と共に放たれた拳は……バサラの手の平の中…
「あらあら…ヒバゴンさんでしたっけ?貴方は、性別を変えれるこの世界で、男色とは…珍しい…流石!日本のイエティ!アハハハ!珍獣ヒバゴン!是非捕獲して、動物園に入れなければ!」
「なっなっ、何?」ヒバカラは目を見開いた。そこには、鎧1つ身に着けていない、全裸のヒバカラ。
鎧、兜、剣、具足…それらは、後の木の根元に綺麗にたたんであった。
「何が、起きたんだ…」ヒバカラは辺りを見渡す。キンナラ、ゴブジョウ、サカラは、首を振ってため息をついている。
「何が起きた?ヒバゴンさん?貴方は私の溢れでる勇者のオーラ…いや?英雄の光?に誘われて…全裸になり、私を犯そうとしたのでは??あ〜私は男さえも魅力するのか!アハハハ!愉快愉快!そして、罪深い男だ。」バサラはポーズを決める。
「さて…巴様…楽しい余興でした。ただ、私を測りたいなら…ん……ん!そう!カルラ殿あたりでないと…解りませんよ!ガハハハ」
「ぐっ、バカにしくさってぇ!死ねぇ!」ヒバカラか再度、拳をバサラに放った。
「やめろ!ヒバカラ!」カルラが叫んだ!
バサラの眼が金色に輝く…「虎眼 陰絶」静かにバサラは言った。
ドン!空気が変わる…全員の目には、空間が歪んだように見えた。
「ヒバカラァ!」キンナラが叫ぶ!
そこにヒバカラの姿は無かった。
「ヒバカラ!何処だぁ!」キンナラが叫ぶ。
突然…カルラと巴が笑いだした。「アハハハ!これは面白い!アハハハ!生首になったヒバカラが悶えているわ!これは珍妙な!妖怪の類いか?怪しいキノコか?可笑しい!アハハハ!」
「生首?」キンナラが辺りを見渡した。
カルラはバサラの足元を指差している。
「これは?ヒバカラ?新種のキノコ?アハハハ!これは…」キンナラも笑い出した…
そこには、地面から首だけでている、ヒバカラがいた。完全に白目をむいている。
「アハハハ!これは、ヒバカラ茸だな!流石!バサラ殿、笑いが解る男だ!」巴が笑い転げている。
「サカラ…引っ張り出してください!」巴が言った。
「解りました。…ゴブジョウ…手を貸してくれ…しかし…アハハハ…完敗の上に生首とは…」
「遅くなりました。」突然の声…
……………………………??
そこには…麗しく妖艶な美女が佇んでいた。
「おう!カリテイモ…で?竜は?」巴が言った。「七頭程用意しました。」
「さて向かいますか?ミーミル湖に!あっそうか…バサラ殿達は、竜は始めてですよね!キンナラ!サカラ!2人と一緒に乗ってあげて下さい。バサラ殿は私と!」
「アッチョーこっこっれは…ドラゴン??ジャッキーチェン…では無いですね!」バサラが言った。
「アハハハ!ブルース・リーでもないですよ!本物です。」巴が笑う。
「巴様…馬って言いませんでした?」
「バサラ殿!私の馬は、これです」巴が言った。
「やはり!『月が導く異世界道中』の巴と、巴様は同一人物なのでは?」バサラが言った。
「アハハハ!アハハハ!そんな訳ないでしょーが!」
ドラゴンは高く飛び上がった。
「ぐぅくぇーー!」バサラが声をだす。
「巴様…貴方は何者なんですか?ドラゴンとは!恐れ入りました。」バサラが叫ぶ。
「アハハハ!何者って話なら!満里奈殿の方が何者ですか?いったいどんな方なんですか?」巴が言った。
「満里奈様?普通の、いたって普通の女性ですよ…ただ…彼女の放つ覇気は、尋常ではありません。あと美しさも…桁が、違いますね!…ただ、徳川家康としての…満里奈様は、覇王の風格…です。」バサラが言った。
「徳川家康?満里奈殿が?徳川家康なら解るぞ!」巴は驚いた。いや!驚愕している。震えていると言っても良い。
「それは、本当ですか?徳川家康だと言う話は?」巴が聞いた。
「あっ!あまり言ってはダメな事ですね!ヤバいかも…アハハハ!忘れて下さい。」バサラはお願いのポーズを取った。
「バサラ殿は、三英傑って解ります?」巴が言った。
「解りますよ、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉ですよね!」バサラが言った。
「そうですよね…そうです。私は、満里奈殿が徳川家康と聞いて、確信しました。バサラ殿…私は、今からとんでも無い事を言いますね!もちろん、否定してくださって良いです。」巴は、飛んでいる竜をなだめながら…言った。
「はい…なんですか?巴様?」
「バイシャの張った多重結界は、対エナ用の結界です。なので…エナは東には来れなかった。これが壊された…世界のバランスが壊れた。結果、ミーミル湖にエナが向かっている。」巴は言う。
「この事をどう思いますか?バサラ大将?」
「確かに…私は、巴様の言うエナ専用結界に弾かれる満里奈様を見ました…これは、バイシャ様の張った結界に弾かれたのではなく、エナが張った結界に弾かれたのでは?満里奈様も、エナの野郎!よけいな事をぉ!みたいな事を言ってましたから!…ただ…不用意に結界を破ったのは…おかしいかな?アハハハ」バサラが言った。
「アハハハ…エナの野郎ですか!アハハハ…私は…バサラ大将…歴史を鑑みて、あえて言いますね!歴史を紐解くと…織田信長の唯一の同盟者は、徳川家康です。最初は敵でした。織田軍と徳川軍は戦っています。しかし、吉法師と竹千代…家康は、信長と同盟を結びます。」巴は静かに語る。
「バサラ殿…最近変わった事は無かったですか?」
「変わった事?あっ!ミツコ-ミトって旅人が突然現れました。気さくな女性で…彼女の指示の元!プシケ村は、いきなりの要塞都市になりましたね!あれは、驚きました。」
「要塞都市プシケですか?」巴が言った。
「昔、同じ場所に都市があったのはご存知ですよね?バサラ殿?」
「えっ?そうなんですか?」バサラは困惑した。
「魔王軍参謀、サマンの居城があった場所だって、聞いてませんか?蓑虫王サマンの居城…」巴は語る。
「えっ?蓑虫?嘘ですよね?なんで?なんでプシケ?偶然?サマン??」
バサラは言い淀んだ。
「いや…まさか…ミツコ殿は?サマン…いやいや有り得ないわ!バカバカしい!」
「何か気になる事がありますか?バサラ殿?」巴が後を振り向いた。長い髪がバサラの顔をなでる。
「いきなり女性は!反則ですよ!巴様、アハハハ!あっいや、エナに襲われて全滅する度に、我々、満里奈様が覚醒していく…街が発展していくんですよ!これは、偶然にしてはラッキーかなぁと考えますね。」バサラは笑っては見たが、心の中の、モヤモヤが晴れない。
バサラは自問自答する。
「…ハイラが言っていた事…リン様とは前は…敵だったかも…という話…リン様が連れて来た、女…ミッシェルとエマニュエル…いつも仮面をつけている…何か隠してるのか?ニションが言っていた。ラーメンを食べた時に、牙の様な物が見えたと…そして…ミツコ殿のかつての従者って話??あの者達と戦っていた?あのグライアイと戦っていたのか?我々が?12将が?…頭が痛い…あの戦闘服のマーク?見覚えがあるぞ…!あとちょっとで思い出せそうだが…」バサラは汗が滴っている事に気付く。
巴は声を、落とし聞いた。
「私は、こう結論に至りました。織田信長エナと徳川家康満里奈殿は…以前より、同盟を結んでいます。違いますか??魔王エナは、徳川家康たる満里奈殿を育てている。いやーかつての家康軍団まで、一気に戻すべく、あえて皆殺しを何度もおこなった。どうです?それか…逆です。魔王エナが本当は徳川家康で、第六天魔王の信長の覚醒を促す為に、あえて、織田信長たる満里奈殿達を皆殺しにしている。それか…!織田信長と徳川家康は同一人物で、参謀サマンが手助けして、覚醒を促している。」巴は叫びに近い声を上げた。
「同一人物ぅ!あり得ませんよ!いやいや…いやまて!…同盟?配下?いやもしかして……手助けされてる…ん?手助け?サポート…協力?有り得ない話しでは無いな…
確かに…あっ…そうだ…13人目の仲間…思い出した。我々に知識をくれた男がいた事。腰蓑王…いた!確かにいたぞ!彼がサマンか!!なら合点が行く…辻褄が合うぞ!あっ…森で逢った時に…懐かしい感じがした!!!そうだ!!サマン様がいた!いたぞ!確かに…いた!腰蓑王だ!待て待て!頭が混乱するぞ!参謀サマン様…」
「まぁ…結論を急いでもしかたがありません…バサラ殿…明日にはミーミル湖に着きます。焦らず…ねっバサラ殿…今日の夜にでも…ゆっくりと…オホホホ!」巴は笑った。
「そして…バサラ大将…あなたが本当に、信長様を討ったのですか?」巴のこの声は…風の音にかき消された。
不定期でアップします。満里奈達の活躍に期待して下さい。




