想いと別れ〜〜
妹、アンリの記憶をなくしたエイリだが、記憶は失っていても魂がアンリのことを大切に思っていた。
魂はまだ覚えているんだ。エイリはその自我に従い、妹を探したいと思うようになる........。
だが家族に旅を反対される。その少女の想いは果たしてどうなるのか。
エイリの母「あんたの妹だよ!?…大丈夫…?」
エイリの目には涙が飛びだし、駆け出す。
エイリの母「ちょっと待ちなさい!!」
エイリ「私に妹?……いるわけ………。」
この時エイリは存在を否定する言葉が出なかった。それは心で妹の存在を否定したくない。少女の魂が、それを否定したのだ。
この時、記憶の中にもない。そんな妹のために出た言葉。それは、
「アンリを探さなきゃ…!」
その時リンキはお祭りで、茹でとうもろこしにケチャップをかけて食べていた。
ヴァルト「いや、とうもろこしにケチャップは合わんだろ」
リンキ「いや…あうから…うまいよ…。」
ヴァルト「マジだ…少しうまい…。」
リンキ「だろ?」
エイリがリンキの方へ歩いてきた。
リンキ「なんだあいつ?また家出か?…ったくいい加減にしろよ…。」
ヴァルト「ちょっと待て、泣いているぞ…。」
リンキ「おっ、マジか…。俺慰めるの得意じゃねえぞ…。」
半径5メートル以内にエイリが近づいてきた。
エイリ「…………………。」
リンキ「…お…おい。……元気出せよ…。ほら、これにケチャップつけると…割と美味しいんだぜ…。な!ヴァルト」
ヴァルト「そうそう…!一つ食べてみるか?……美味いぞ………。」
エイリ「……欲しい。」
リンキ「おう…!欲しいか!食え食え…!」
エイリ「違う……。…ほしい。探して欲しい!!!私の妹アンリを!!!!でも…私はアンリの記憶がない…。でも心では覚えている気がするんだ……。」
リンキは少し厳しく言った。「悪いがそれはダメだ。」
ヴァルト「……………。」
エイリは少し悲しそうに言った。
「そうかそれは悪かった…。なら自分で探すよ…私の妹を。」
リンキ「ああ…そうしろ…。」と後ろを振り向き、もう一つ。「俺たちの旅の目的はそもそも上級国民どもに痛い目を見させてこの世界に平等な人権を取り戻すことだ。だけどよ……………寄り道ならしてやんよ…。」
エイリ「え、今なんて…。」
リンキ「来い!俺たちと一緒に夢を見ようぜ!!!何年経っても成し遂げたい…俺たちの自我は誰にも止められない…!だったらやることはただ一つだ!!!!進めッ!!!!」
エイリは下を向いて涙を拭いた。そして顔を上げ、拳を強く握りしめる。
「応!!!」
リンキ「ハハハ!気に入ったぜ…ならおめぇの家族に話つけてこい!!心配させないために!」
エイリはエイリの家のドアの前へ立ち、「応…!」と小さな声で言い、家へ入った。「ただいま…。」
エイリの母「おかえり…。もう帰ってきてくれるんだよね…。エイリが帰ってきてくれてよかったよ……」
この言葉はエイリに心配をかけたくない母の強さの姿である。心の中は失ったものに対する喪失感と絶望感に浸っている。当然だ。母は子が帰ってきて嬉しいが、もう1人の娘アンリが帰ってこないとなると…どうしても心配が勝つ。素直に喜べないこの母は複雑な想いを抱えていた。
エイリ「ねえ…ママ………。」
エイリの母「どうしたの?今日はエイリの大好きなハンバ……」
エイリ「私!!!旅に出たい!!!妹を探すために!!!私は旅に出たい!!!」
エイリの母はエイリに抱きつき、言った。
「ダメだよ……。あの時、勝手にエイリとアンリの2人で旅に出てからアンリが帰って来なかったんでしょ……。絶対認めない。」
エイリが泣いた「妹の記憶を失ったまま……忘れたまま…行動するのは嫌なんだ……。」
エイリの母はエイリを平手打ちした。
エイリの母「なんでわかんないの!!!私があんたたちを待っている時に!!!どれだけ……どれだけ………どれだけ……どれだけ心配したと思っているの!!!必ず戻ってくる保証は!?それでも戻ってこなかった時……私は1人で生きることになるんだよ。エイリ…だからさ…行かないで…。」
エイリ「絶対帰ってくるよ…。」
エイリの母は少し疲れながら言う。
「その保証はあるの?……ないでしょ…?」
エイリ「あるよ…。私には頼もしい仲間がいる!!馬鹿だけど頼もしい怪力のヴァルト!!!全長20メートルはあるでっかい鳥ウーロン!!!キメラの力と龍の力を持つ戦略家リンキ!!!その2人がいればまず私が死ぬ確率は限りなく低い!!!だからお願い……。私は旅に出たい!」
エイリの母はたくましい娘を見て成長を感じた。親の元を離れ、自立するとはこのことなんだと。
「わかった。明日考えさせて…。もう遅いからあんたも寝なさい。」
エイリの母は考えた。3年前にいなくなった娘は10歳にしてはもう子供じゃないと………。
次の日
リンキは起きた。
「さてと準備しますか…!」とリンキとヴァルトはサングラスをかけてオシャレをした。
ヴァルト「そういえばお前なんかキメラの時に出たあの力は今使えんのか?」
リンキ「体に馴染んでいないが無理しない程度には使える。みるか?」
リンキは手で銃の形を作り、ヴァルトに撃った。黒い光線のようなものが出て、ヴァルトは腕でガードし、防ぐ。
リンキ「どんなだ?」
ヴァルト「象が踏みつけるくらいの力はあるんじゃねえの?」
リンキ「なるほど…。」
ヴァルト「連射できんのか?」
リンキ「1秒に3回程度撃てるぞ」
ヴァルト「すげぇな」
リンキは笛を吹いてウーロンを読んだ
ウーロンは美しい羽と共に舞いながら来た。
リンキ「時間だ!俺らも行くぞ!」
その頃エイリは。家で読書をしていた。
エイリ「なるほど人の細胞ってこうなっているのか…なるほどだ。」
エイリの母が起きてきた。「おはよう…エイリ。あの件なんだけどさ…」
エイリ「うん…」
エイリの母「エイリの仲間たちってどんな人なの?今いるの?」
エイリ「うん!!今日家に来るらしい!!ドア開けて待ってみる!」
リンキ「おいヴァルト暴れんな!!!」
ヴァルト「いや!!それは譲れない!!誰のおかげでカフェの店員と連絡先交換できたと思っているんだよ!!!」
リンキ「いや、俺だろ!!!だからその写真を俺に渡せ!!!」
ヴァルト「嫌だね!!これは俺の所有物だ!!!」
リンキ「クソ!!!あの時俺お前を助けなかったらよかったよ!!!そうしたらその写真は俺のものだ!!!」
ヴァルト「俺を助けなかったらこの写真はそもそも存在しなーい。はい雑魚ォ!!!」
リンキ「なんだと!?」
ヴァルト「やんのか!?」
ウーロンはピキっときて、2人を上空10メートルから地面に叩きつけた。
2人「うああああああああ!!!!」
エイリ「何やってんだお前らああああ!!!!」
エイリの母「うふ...!!あははは!!愉快な方達だね...。」
エイリ「こんな馬鹿な奴らでもいざとなったらかなりたくましいんだぞ!!」
エイリの母「なにそれ!」
リンキ「はじめましてぇ!リンキと申します!」
ヴァルト「ヴァルトです。」
エイリの母は2人に近づき、言った。
「エイリをよろしくお願いします。」
エイリ「これって…!」
エイリの母「ええ…旅を許可します。」
エイリ「やったあああああ!!!!」
リンキ「さあ乗れよ…!ここに乗ったらお前もこの旅の一員だ!!!この手を取れ!」
ヴァルトは何も言わずに微笑む。
エイリは手を取り、ウーロンに乗った。
エイリ「やっほーーーいいい!!!!!」
エイリの母は見た。自身の子供の3年ぶりの笑顔を。そして…成長を嬉しく思い、笑った。
母は強いそれを表したのがこの回だと思います。
リンキとヴァルトと旅に出ることになったエイリは果たしてアンリを見つけることはできるのでしょうか....。
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